カゲプロ台本置き場(仮)

カゲプロ台本置き場(仮)

管理人の刹那が趣味で書いたカゲプロ台本を落としていくブログです。
使いたいという方がいらっしゃったら使ってやってください。
使う場合は連絡をくれるとありがたいです。
依頼されればそれ用に台本書いたりもします。
たまに腐向けな小説も書くのでご注意を

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カノ(拝啓 楯山文乃様
如何お過ごしでしょうか。
こちらは、まあ上手くやっています。
僕達は元気に今日を生きています。
けれど、僕はあなたのいない日々が――)

(手紙を書いていたカノの手が止まる)

カノ「・・・なんて、ね」

(手紙を掴んで破いてゴミ箱に入れる)

カノ「・・・何度やったら、僕は諦めてくれるんだろう。」

(ゴミ箱の中には破り捨てられた手紙の屑が溢れ返っている)

カノ「はーあ」

(椅子を回転させながら宙を見る)

カノ「僕はとても幸せです!幸福です!
・・・はぁ、バッカじゃねぇの」

SE 雷と雨の音

カノ「・・・雨、か。
姉ちゃんさぁ、どうしてあの時僕だけ抱きしめてくれなかったの。
僕の事が嫌いだったから?
いやあ、それはないよね。ごめん。」

(机の端に置いてあったアヤノのマフラーを手に取る)

カノ「・・・幸助とつぼみが知ったら、きっと怒るよね。
今じゃもう形見だもんね。
でも、これくらいの幸せくらい持っていても許される位の事は僕したんだよ。
まー絶対知らないし、これからの知る事なんてないとおもうけど、さっ!」


(マフラーを机に置いて立ち上がる)

カノ「あーぁ、死にたいなあ
辛いなあ、幸せに、なりたいなあ。

・・・っ!?
うぇ、げほっ、こほっ!!
ぁ、っは・・・!!」

(口を押さえて、部屋を出てトイレに駆け込む)

カノ「うぇぇ、っ、」

カノ(みんなまだ起きてるから、声抑えなきゃ。
ああ、いやでもそうすることに意味なんてあるのかな?)

カノ「・・・もう、どうにでもなれよ」

キド「カノ?」

(キドが外側からトイレの扉をノックする)

カノ「っ!?」

キド「ドタバタしてどうした?もう十時だぞ?
具合でも悪いのか?」

カノ「ぁ・・・」

カノ(なんで震えてるんだよ、収まれ、収まれよ・・・!!)

カノ「ちょーっとお腹痛くなっちゃってさ。
でももう大丈夫。出すもの出したらスッキリしたから」

キド「お前・・・もうちょっと言い方ってもんがあるだろ・・・」

カノ「え~?今更じゃない?」

キド「リビングに一応薬出しておくから、また酷くなったら飲めよ。
俺はもう寝るからな」

カノ「うん・・・」

(キドがトイレから離れて部屋に戻る)

カノ「・・・変わらないところは変わらないな。」

(カノがトイレを出てリビングに向かう)

カノ「もうみんな寝たのか・・・。
ここってこんな広かったっけ・・・あ」

(机の上に置いてある手紙と薬を見つける)

キド【安静にしろよ。お前は何かと無理をしがちだ。
もうちょっと頼れ、馬鹿】

カノ「はは・・・なんだよ・・・。
こんなの・・・死にたくても、
死に切れないじゃないか・・・」

(手紙を手に取りながら、泣きながらはにかむ)

カノ「もう一週間だけ・・・もう一週間だけ生きてみようかな」

カノ(自分が置いてきた幸せを見せられてるみたいだった。
2人はきっと姉ちゃんから貰ったものを忘れていない。
そう出来ることが、何より羨ましい。)

(部屋に戻って椅子に座ってペンを手に取る)

カノ【拝啓、楯山文乃様。
如何お過ごしでしょうか。
僕は今でも・・・】

カノ「あなたのいない日々が辛くて・・・
あなたにまた笑ってほしくて、
泣きそうです。」


カノ【拝啓、愛するあなたへ】


カノ(拝啓、楯山文乃様。
とてもくだらない事なのですが、聞いてください。
僕は今・・・)

モモ「わ、私と一緒に逃げてください!!」

カノ(あの大人気アイドルに手を引かれて町を走っています)

カノ「ちょっ、君、はや、はやすぎっ!!
足痛い!!」

モモ「我慢してください!!今止まったら後ろの波に飲まれちゃいますよ!!」

カノ「いやていうかそもそもなんで僕は君と走ってるの!!??
手を離してくれれば解決すると思うんだけど!!??」

モモ「ええ!!??もう遅いですよ!!
ああ追い着かれる~~~!!!」

カノ「ちょっ、え、速度上げな・・・あああああああああ!!!??」




モモ「ご、ごめんなさい・・・。大丈夫ですか・・・?」

(モモがベンチに座って息を荒げているカノを心配そうに覗き込む)

カノ「あ、うん・・・多分、大丈夫じゃ・・・ないかな」

モモ「ちょっと待っててください!今お水を・・・」

カノ「あ~~!!待って待って!!その姿で出て行ったらまたさっきみたいになるでしょ!!?」

モモ「は・・・!!そ、そうでした・・・」

カノ(なんか・・・変な子だなあ・・・。
テレビで見てるときはそんな印象なかったんだけど。
でも、アイドルなんてそんなもんか。
スポットライトに当たって輝いてても、所詮は一人の人間だ)

カノ「えーっと、君、如月モモちゃんだよね?」

モモ「え!?なんで分かったんですか!?」

カノ「さっきから思ってたけどさては君馬鹿だな!?」

モモ「し、失礼ですね!!数学なら十点取れます!!」

カノ「え!?はい!?もう僕どっからつっこめばいいの!?」

カノ(な、なんか凄い調子狂うなあ・・・)

カノ「あー・・・うん。
馬鹿って言ったことは謝るよ。
えーっと、君は何の変装もしないで、町のど真ん中にいたのかな?」

モモ「へ、変装はその、忘れちゃいまして・・・」

カノ(わ、忘れた!?馬鹿どころの話じゃない、この子アホだ・・・)

カノ「へ、へぇ。それで?」

モモ「か、買い物に行きたくて・・・それで」

カノ「な、なるほど・・・?」

モモ「・・・実はお仕事をサボってきたんです。」

カノ「は!?」

モモ「学校行ったら仕事!!仕事終わったら仕事!!
もうそんな生活に飽き飽きしていたんですぅー!!
そもそもなりたくて、なったわけじゃないし・・・」

カノ(アイドルの裏事情を知ってしまった・・・え?
大丈夫だよね?夜道刺されたりしないよね?)

カノ「そ、そうなんだ~」

モモ「でも、私が頑張らないといけないんです。
お母さんは病気で動けないし、お兄ちゃんは部屋から出てこないし・・・」

カノ(な、なんか話題がどんどんディープな方向に・・・)

モモ「なんで・・・なんでこうなっちゃったんだろう・・・。
お兄ちゃんも・・・なんで・・・あの人が自殺なんてしなければ・・・」

カノ「じ、さつ」

モモ「自殺って最低な行為だと思うんです。
だって、凄く自分勝手です。
残された人の事なんてかんがえてな・・・」

カノ「それは違う!!!!」

モモ「え・・・?」

カノ「それは・・・違うよ・・・。
あ・・・」

カノ(僕は何を言ってるんだろう。
何を、言おうとしてるんだろう)

モモ「・・・いいえ、違くなんかありません!!!
周りの事なんて考えてたら、自殺なんかするはずありません!!」

カノ(信じきってる顔だなぁ、
だから余計イライラする)

カノ「・・・本当にそうかな?
仕方ない事情があったとしたら?
それでも君はそう言えるの?」

モモ「え・・・?」

カノ「自分が死ねば、他の人間は助かるって言われたら、
君は自分の存在を選べる?」

モモ「そんな、の・・・」

カノ「出来ないよね?だって、選んだら君は一人になる。
だったら、前者を選ぶんじゃない?」

モモ「でも、そんな状況ありえな・・・」

カノ「現実は小説より奇なりって言うじゃな~い。
君が見ている世界は君の視点だけのものだ。
知らないのに、違うって言える?」

モモ「・・・いえ、ない」

カノ「・・・な~んてね」

(カノが手でモモの涙を拭う))

モモ「え?」

カノ「ちょっと意地悪だったかな。」

(カノがベンチから立ち上がる)

カノ「あ、そうだ。
これあげる」

モモ「え?わっ!」

(カノが自分のパーカーを脱いでモモに投げる)

カノ「今のまま通りに出たら、また騒ぎになっちゃうでしょ」

モモ「え、でも・・・」

カノ「・・・あんまり必要のないものだったから大丈夫。
それに夏にこのパーカーはきつかったし」

モモ「・・・なんか似てます」

カノ「え?」

モモ「お兄ちゃんに・・・似てる」

カノ「そ、そうなの?」

モモ「だから、余計なお世話なのは分かってますけど・・・
少し心配になります。
すぐ、消えちゃいそう」

カノ「・・・。
・・・いや、すぐには消えないよ。
この先一週間くらいは、ね」

モモ「え?」

カノ「さあて、どこからが冗談でしょう?」

モモ「・・・待ってください」

(モモがカノの服の裾を引っ張る)

モモ「これ、貰ってください」

(モモが赤いクマのキーホルダーを差し出す)

(ちなみにこのキーホルダーは昔アヤノがくれたもの)

カノ「え?これは、えっと?」

モモ「・・・今必要のないものになっちゃったんです
だから、貰ってください」

カノ「・・・うん、分かった。
大事にするよ。
じゃあね」

モモ「はい」



カノ「赤い」

(歩きながら貰ったキーホルダーを見つめる)

カノ「赤いものは、あれだけで十分って思ってたのに。
なーんで受け取っちゃったんだろうな。」

カノ(ああ、そうか)

カノ「あの子がちょっと姉ちゃんに似てたからだ」

カノ(外見は全く似てないけど、
笑い方とか、悲しそうな顔とか
そういう、あんまり形には出来ないもの)

カノ「消えちゃいそう、ね。
その言葉そっくりそのまま返すよ、如月モモちゃん」

カノ(彼女は多分とてつもなく大きなものを抱えているのはなんとなく分かった。
僕も同じだし。
いや・・・それはどうかな。)

カノ「無理をしないでって世界一頼りがいのない言葉だよね」

カノ(だから、口にはしなかった。
そもそも彼女は他人だ。もう会うことはないだろう。)

カノ「・・・ちょっと冷たすぎるかな、僕。
あー・・・そうだ。キド達になんて説明しようかな」

カノ(怒られるだろうか、それとも呆れられるだろうか)

カノ「・・・どっちもに一票。
だってもう僕は、あの服を着る資格はなかったんだ。
2人をずっと裏切ってるんだから。」

カノ(ヒーローとは間反対の悪役みたいだ。)

カノ「・・・ヒーローにはこの先もなれないんだろうなあ。」

カノ(あいつにはあるのかな。
あーいやムカつくから考えないようにしよう)



カノ「ただいまー」

キド「遅かったな、ってどうしたその格好!?」

マリー「あれ、カノ。パーカーは?」

カノ「人に貸したんだ」

キド「は!?」

カノ「今にも泣きそうな顔して笑ってたから。
僕ちょっと体調悪いから、部屋で寝てるね。
ご飯で出来たら起こして」

キド「あ、ああ・・・」

(カノがリビングから出て行く)

マリー「人に貸しちゃったってどういうことだろうね?」

キド「泣きそうな顔をして笑ってた・・・いや、あいつらしいといえば
あいつらしいんだがな」

マリー「そうなの?」

キド「あぁ。あいつは凄く優しくて、本当は弱いやつなんだ」

マリー「カノが・・・弱い・・・。
うん、でもなんとなく分かる気がする。
カノはなんか亡霊みたい」

キド「亡霊?」

マリー「ずっと同じところを漂ってるみたい」

キド「それは・・・。」

マリー「そういえば、カノさっきクマさんのキーホルダー持ってたけど、
元々持ってたもの?」

キド「キーホルダー?いや・・・。
・・・!
なあ、マリー。
そのクマの色って何色だった?」

マリー「色?赤だったよ」

アヤノ【友達の妹ちゃんがもうすぐ誕生日らしくて、
これ買ってきたの。どう?可愛いでしょ】

つぼみ【確かに・・・可愛いね】

アヤノ【でしょでしょ~!喜んでくれるといいな】

キド「いやそれは考えすぎか・・・。
そんな偶然が起きるわけない・・・よな?
でも世間は狭いって言うしな・・・」

マリー「キド?どうしたの?」



(カノが自分の部屋に入って、ベットに倒れこむ)

カノ「なーんか・・・変な感じ」

カノ(ずっと身に着けてたものだから、寂しい気持ちになるかなとか思ったんだけど。
逆に清々しい気持ちだ)

カノ「うーわ、なにそれ最低じゃん。僕」

カノ(こういうの、なんていうんだろう。
枷が取れたって感じ?)

カノ「僕は今どこにいるんだろう。
・・・赤いなあ」

カノ(ずっと後ろから見ていた色。
本当はもっとそばで、並んで見たかったけれど。
こんな風に近くで・・・)

(カノがキーホルダーを掴んで投げようとする)

カノ「・・・はぁ。何やってんだか」

(ベットから降りて、机の椅子に座る)

カノ【拝啓、如月モモ様。
如何お過ごしでしょうか。
大きなお世話かもしれませんが、
一人で抱え込むのは良くないと思います。
それを望んでいる人はきっといません。
あなたの周りには色んな人がいるはずです。
なんでもいいと思います。
ほんの一言だけでもいいんです。
本音を吐いてみてはいかがでしょうか】


カノ「・・・なんでこんなにすらすら書けるんだろう」

カノ(姉ちゃんへの言葉は何一つ定まらないのに)

カノ「我ながら綺麗事過ぎない?
ていうか凄くあれだよね、ブーメランだよね」

カノ(僕とあの子って似てるのかな?
そうしたら姉ちゃんと僕は似てるって事にもなっちゃうよな。)

カノ「それは絶対違う・・・ヒーローと悪役は全く別のものだ。
姉ちゃんは完全なヒーローだった。
ううん、本当はモモちゃんみたいに・・・」

モモ【なんで・・・なんでこうなっちゃったんだろう・・・】

カノ「普通の女の子だった」

カノ(なんでこんな簡単なことに気づけなかったんだろう。
なんか、おかしい。笑いが止まらない)

カノ「ふ、あははははっ!
本当おかしい!
僕は結局最後まで姉ちゃんをヒーローでいさせただけだ!
何も出来なかった!何も・・・」

カノ(僕は悪役でさえない。
けれど、ただの男の子でもない。
世界一馬鹿で、卑怯な、どうしようもない
成長も出来ない、けど衰退もしない
同じところをいったりきたりしてるだけの)

カノ「姉ちゃんにすがり付いてるだけの亡霊だ・・・」

カノ(僕は何も見ていなかった。
姉ちゃんが好きなんて、ふざけるのも大概にしろよ。
姉ちゃんしか見ていなかった。
僕が楯山文乃という人間を殺した。
見殺しにした)

カノ「もう呆れてものもいえない・・・」

(マフラーを手にとって外に出る)

キド「カノ?何処行くんだ?」

カノ「ちょっと散歩しに行こうと思って」

マリー「散歩?でもこの後雨降るよ?」

カノ「ちょっとだけだから大丈夫だよ
じゃあ、いってきます。」

(外を出て、走り出す)

カノ(どこがいいだろう。
ああ、あそこがいいな。
昔姉ちゃんと話した公園)

カノ「はぁ・・・、はぁ・・・」

(公園に着く)

カノ「・・・何にも変わってない。
あの時のままだ。
あー・・・どうしよう。
何か掘るもの持ってくればよかったな。
手でもいけるかな?
土が柔らかそうなところは・・・」

(雨が降り出す)

カノ「わぁっ!?もう!?
でも、丁度いいか」

(雨にぬれながら、手で地面を掘る)

カノ「うわあ、なんか泥みたいで気持ち悪い。
よいしょっと、まあこれくらいでいいかな」

(掘った穴にマフラーを投げ込む)

カノ「・・・ごめんね、姉ちゃん。
大丈夫、そっちには行かないよ。
亡霊は亡霊らしく消えるだけ」

(マフラーを埋める)

カノ「なんかもうやる事なくなっちゃったな・・・。」

モモ【自殺って最低な行為だと思うんです。
だって、凄く自分勝手です。
残された人の事なんてかんがえてない】

カノ「ああ、そうかもね。
うん、君の言うとおりだ。
いや、姉ちゃんは考えていてはいたんだろうけどさ。
・・・呪いみたいだ。僕はあの日姉ちゃんに呪いをかけられたんだろうな。
みんな綺麗事だ。自分が可愛いだけだ。
エゴの塊でしかない。」

カノ(でも僕には姉ちゃんが・・・凄く綺麗に見えてしまったから)

カノ「仕方ないよね。うん、仕方ない。
僕は自分が可愛いよ。
姉ちゃんが好きな自分以外どうでもいいんだ、もう。
義理とはいえ姉弟なのに、なんでこんなに違うんだろうね。
母さんとも似ていなかったから当然か」

カノ(ずっと息をすることに耐えられなかったんだ。
姉ちゃんのいない世界で姉ちゃんが好きな僕は生きられなかった。
だから、死ぬ。
それだけの事だ
ああ、なんて浅ましい。
姉ちゃんが光なら、僕は無だ)

カノ「ああ・・・最後にもうひとつだけ、やらなきゃ。
呪いになってしまったらごめんね、モモちゃん。
でも、ここにいた証を残させてほしいんだ」


カノ(全て、終わりにしよう。
僕は生まれてはいけなかった。
本当は幸せなんて夢見る資格すらなかったんだ)

カノ「姉ちゃんが・・・くれたんだ。
ああ、なんだ僕にもまだ残ってたじゃないか」

カノ(なら、もうそれで十分だ)



(音を立てずにカノが家に入り、自分の部屋に行く)

カノ「ああ、あったあった。
確か封筒に切手は貼ったから・・・手紙とこれだけ入れれば」

(カノがモモ宛の手紙とキーホルダーを封筒に入れて、のりで蓋をする)

カノ「・・・これ、どうしようかな。
ああ、まだ一枚だけ残ってた」

(カノが近くにあった手紙を引き寄せて、ペンをとる)

カノ「何言っても言い訳にしかならない気がするけど。
ああ、僕は2人にも呪いをかける事になるのか。
うん、でも大丈夫。
2人には姉ちゃんの綺麗な呪いが残ってるしね」

カノ【拝啓 木戸つぼみ様 瀬戸幸助様
如何お過ごしでしょうか。
僕はいなくなりますが、どうか
お元気でお過ごしください。
今までありがとうございました。
僕と生きてくれて、笑ってくれて、泣いてくれて、
僕を愛してくれて
ありがとう。
2人が本当の幸せをつかめる日を祈っています 
                       鹿野修哉】

カノ「これで、終わり。
ああ、住所書かなきゃか。
事務所に送ればちゃんと届くよね。
スマホスマホ・・・えーっと・・・。
うん、これでよし。
彼女がいつか笑えるようになればいいな」






キャスター【ニュースです。
先日未明、廃ビルから十七歳の少年が飛び降り自殺を――】

モモ「わ、うちの近くだ。
私より一個上かー・・・なんで自殺なんか・・・
なにか、あったからだよね。
あ、まずい!もう家でなきゃ!」

(モモがリビングを出る)

キャスター【鹿野修哉君は遺書を残していたため、警察は自殺とみなし
家宅捜査を――】




(モモが事務所に入る)

モモ「おはようございまーす!
あれ、マネージャーさん。その封筒なんですか?」

マネージャー「ああ、これね。今日の朝事務所に届いてたのよ。
でも差出人が不明でね、中に何か入ってるから
とりあえず今開けてみようと・・・あら?」

(封筒からくまのキーホルダーが落ちる)

マネージャー「キーホルダー?」

モモ「これ・・・」

(モモがキーホルダーを拾う)

モモ「なんで・・・いらないものって言ったのに・・・」

マネージャー「手紙も入ってるわね。ファンからのプレゼントかしら?」

モモ「貸してください!」

マネージャー「え?ど、どうぞ」

モモ(もしかしなくてもあの人だ・・・!どうして)

モモ「・・・」

(モモが手紙を広げる)

【拝啓、如月モモ様。
如何お過ごしでしょうか。
大きなお世話かもしれませんが、
一人で抱え込むのは良くないと思います。
それを望んでいる人はきっといません。
あなたの周りには色んな人がいるはずです。
なんでもいいと思います。
ほんの一言だけでもいいんです。
本音を吐いてみてはいかがでしょうか】

(モモが涙を流す)

モモ「ぅ、ぁ」

マネージャー「モモ!?」

モモ「ぁ、ああぁぁ・・・!!」





【拝啓 名前も知らないあなたへ
如何お過ごしでしょうか。
私は今元気で過ごしています。
あなたの助言通り、周りを頼りながら
大事な友達に支えながら
頑張って、精一杯生きています。
あなたが亡霊のように消えていないことを誰より祈っています。
                  如月モモ】


キド「・・・実は団員はもう一人いたんだ。」

モモ「え?いたって・・・」

キド「つい一ヶ月前に死んだんだ。
姉さんと同じように、飛び降り自殺をしてな」

モモ「姉さん・・・?ねえ、団長さん。
そのお姉さんと団員さんの名前ってなんて、いうんですか」

キド「姉さんは楯山文乃で、その団員は鹿野修哉っていうんだ。
ああ、そういえばカノは写真が残ってたな。こいつだ」

モモ「え・・・」

モモ【拝啓 鹿野修哉様
嘘つき。
私はあなたを許せません。



でも、あの時私を助けてくれてありがとう。
あの人への気持ちを返してくれたことは、やっぱり許せないけど。
知ってますか?
霊は、消えるわけではないんですよ。
ずっとそこにいるものなんです。
だから、そこから見ていてくださいね。
私が死んだら、今度は私があなたの気持ちを返しに行きます。
気長に、待っていてください。