真価 | 心の波

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連休が続くこの時期や


お盆、正月など


休日が続くと



20代の頃に働いていた


旅館での出来事を思い出す。



渓谷の麓にある


静かな山手の温泉宿で



山菜料理や川魚


地元の素材を使った料理が


人気のある旅館だった。



一泊がお一人様当たり


1.5万円~5万円・・もする


プチ料亭的なスタイルだったので


お客様の層も幅広く



芸能人や著名人の方々が


お忍びで訪れる


田舎の質素な宿だった。




そんなある日の出来事・・




イベント行事の便乗もない


平穏な日々が続く時期になると



料理長や幹部の兄さん方は


交代で連休を取り始める。


同時に中堅や下っ端にとっては


次なるステージへの


ポジション争奪戦ともなるので


チャンスの時期でもあった。



お店の態勢としては


特別な予約が入らない限り


手薄な組織状態ともなるけど


館内のメンテナンスや


在庫の整理・調整の時間として


大切な時期にもなっていた。



そんな中で


V.I.Pの常連さんから


急遽、飛び込みの予約が入ったのだ!



大切な接待なので・・


女将さんは連絡を受けて


慌ただしく仲居さんらに指示を出し


自らも動いていたが


調理長の休みに気が付くと


機嫌が悪くなっていたww



でも、大切な常連さんだけに


表情を切り替えて


愛想よく対応していたww




高級な器に


高級な素材で調理された


高級な料理を盛り付け



高級なお酒と共に


高級な方々がお泊りされる


接待の場は


最高級の”椿の間”だった。



シーズンオフだけど


お一人様一泊が


3万5千円也。



泊まり2名

食事だけ2名


会社役員○○様
△△会社との接待
コンパニオン2名
・・・・



厨房の予定板に


細かく指示がなぐり書きされ


不手際があってはならないと


女将の目は血走り


厨房や仲居さん達にも


厳しいチェックが飛んでいた。



その接待の場に


同席されていた


綺麗なお姉さまからは


川魚が苦手とか・・


豚肉はダメとか・・


飲み物は○○とか・・



珍しいタバコの買い出しにも


ダッシュするフロントww



まさに、お客様は神様♪


として様々な注文にも


快く対応していた


ww



・・・・



その一方で


ご夫婦の銀婚式の記念
子供さん達からのプレゼント
御祝膳としての料理に一部変更・・

○○県から自家用車
初めてのご利用
雑誌を見て予約・・・


”藤の間”の50代夫婦・・

お二人で一泊3万円也。


厨房の伝言板には


以前からの予約だったので


丁寧に詳細が書かれてあった。


すでに仕込みも準備も整っていたので


若手と下っ端で対応を任され


女将もマネージャーも


VIP対応に追われて


その他のお客様は


放置状態・・




・・・


その後


常連さんの部屋から


下膳されるお皿には



高級な器に盛りつけられた


高級な素材の数々が


高級な箸で何一つ


つつかれることもなく



無造作に放置されている


お皿の数々を目にした。



挙句に・・


酔った常連の方々と


お姉さま方の賑やかな声が


川のせせらぎを


完全に消してしまう程



筒抜けとなっている


シンプルな和室の館内に


響き渡っていた。




一方で


銀婚式のご夫婦は・・



すべての料理を完食されて


丁寧にお礼までおっしゃっていたと


仲居さんに聞かされ


同僚と思わず


ガッツポーズしてしまったww



食事の後にもゆっくりと


温泉を堪能されていたようで



翌日のお帰りの際には


フロントで感謝の言葉と共に


厨房や仲居さんに宛てて


手紙が添えられていた。



「初めて口にする数々の料理に


 美味しさと感動で


 胸が一杯になりました。


 皆様のおもてなしと


 優雅な自然の中で時を忘れ


 素晴らしい最高の記念日となりました。


 また機会がありましたら


 今度は大勢の家族と一緒に


 この感動をまた味わいに参ります・・」


・・・・


その手紙の内容が嬉しかったことの反動で


あの時のお店の対応が許せなくて


僕は女将に抗議した・・


ww



あとから料理長と2番手の兄さんにも


マネージャーにも


かなり怒られたのを覚えている。


ww


この世界をなめるな!と


・・・・



今になって思う・・



お店にとっては売上も


常連さんも大切で


経費で豪勢に接待される


VIPの存在も大切だった。



同時に


自然と温泉と料理を


心から堪能されるお客様も


大切だった・・



繁栄のためにも


存続維持のためにも


町の活性のためにも


自然を感じるためにも


経済のためにも


文化のためにも


人々の豊かな感性のためにも




そのすべてが


温泉宿の真価であった・・




にもかかわらず


僕は一方だけの偏った考えで


身勝手な判断で


女将に抗議してしまったのだ。


www



旅館の事情や


お客様の事情は



必ずしも金額設定の


価値を提供しているとは限らない。




このブログ上で


いろんな方々が


紐解くように


表現されている内容は


本当に奥深い。





それぞれの価値は


その時々に必要だった・・



ということを



さりげなく伝え



押し付けずに



何気ない表現で



気付かせてくれるから



僕の心のわだかまりは



読む度に


爽やかな秋風のように


過ぎ去って行く。





本当にいつもありがとう・・


ありがとうございます!!