◇感染者が出た施設用の備蓄と言うが・・・

 

2020年6月12日付で厚生労働省は各都道府県に対し、新型コロナウイルス感染症拡大防止策の一環として、全国の都道府県に対してマスク、ガウン、フェイスシールドを50万セット、手袋330万セットを配布すると通知しました。

 

この活用法については、「福祉施設」が対象となりますので、医療用とは別口の資材確保ということになります。ところが、この資材の供給については、「感染者が発生した施設」に供給することが想定されており、そのための「備蓄」であるという但し書きが付いています。

全国の特別養護老人ホームや障がい者入所施設などは、施設内での感染防止にとても厳しい管理体制とスタッフ各位の高い意識から、これまでもコロナ禍における感染防止に余念なく取り組んできていますが、特に作業の都度使い捨てとなる「手袋」の供給に不安を抱えていると言うのが現況です。

 

「感染者が発生」してからでは、遅いのです。日常的に使用する「手袋」が供給と抑制的な使用方法について最善の努力をしていてもなお、その供給が途切れた瞬間に「感染」は発生するので、「感染者が発生」してからでは遅いのです。この途切れる瞬間(モーメント=契機)が、国からの備蓄資材投入の重要なタイミングになります。

 

私は昨日、厚労省と埼玉県の担当者とこの点について話し合いました。

 

厚労省に対しては、「感染者が発生した事実をもって、備蓄資材の放出を許可するという条件が強調されすぎると、感染拡大を未然に防止できる契機(モーメント)を見逃すことになるので、各都道府県の裁量を認めるべきではないか。」と申し入れました。

 

埼玉県に対しては、「感染者の発生によらなければ、備蓄資材の供給は出来ないという固定的な解釈に立たずに、内規を定めて、供給が途絶えてしまう不測の事態に対応できるような管理体制を立てて欲しい。このことは厚労省も妨げないよう、申し入れたところである。」と申し入れました。

 

330万セットの手袋が、「感染者の発生」を待っているような事態は本末転倒だと思います。施設入所者の家族や出入りする人々、さらにその家族に感染者が出れば、その施設には「濃厚接触者」が現実に発生します。その時点で、入所者自身に「感染」が無くても、資材の供給がたまたま切れてしまう事態が重なれば、その施設のクラスター化の危険性が増すわけです。


施設管理者は、「マスクの供給が厳しい」などと供給業者から通知を受ける度に不安に駆られます。責任感が強ければ強いほど、その不安はストレスに変わります。そのような事態に寄り添うことが政治の役割であり、行政の使命なのだと思います。

 

皆さんはどう思われますか?

 

ポリティカルセオリスト

瀬戸健一郎