親ががんになった子ども、そしてその患者さん、ご家族を支援する団体であるホープツリー。

 

 

NPO法人Hope Tree

 

 

その代表である大沢かおりさんが「がんになった親が子どもにしてあげられること」という本を出されました。

 

 

 

 

拝読しましたが、その筆致は優しく、そして悩み苦しむ方々を支える強い力を感じるものでした。

 

 

当てはまる患者さんやその配偶者の方にぜひお勧めしたい本になっていると思います。

 

 

本の中から、印象深かったところをいくつか紹介します。

 

 

○ がんと診断された時に、18歳未満の子どもがいた患者さんの数は、全国で年間約5万6000人(p19)

 

ブログ著者コメント(以下同) ※ そんなにいらっしゃるのです。

 

 

 

○ 子どもたちは家族の変化に対して、とても敏感であるという事実です。 とても些細で、目には見えないほどの変化であっても、親が思っている以上に、「いつもと違う何かが起こっている」ということに気づく力が、子どもたちにはあるのです(p25)

 

○ がんが子どもに与える影響を考えて、自分ががんになったことを責める親御さんはとても多く、その気持ちは痛いほどよくわかります。でも、だからこそ声を大にしてお伝えしたいのは、親ががんになることは、子どもにとってマイナスの経験ばかりではないということです(p41。強調ブログ筆者)

 

○ そもそも子どもは、守られるだけの存在なのでしょうか?  子どもを支えられなければ、親失格なのでしょうか? 絶対にそんなことはありません(p44。強調ブログ筆者)

   

○ 子どもは、大人が思うよりもたくましいものです。ほとんどの子どもたちは、つらい経験をしても、あなた自身、そして周囲の人たちの支えによって、再び幸せになることを学び、その力をもって、人生を謳歌していきます(p57)

 

※ 子どもは強いです。周囲に見守り支える人がいれば、本当に。

 

 

 

○(思春期のお子さんで) あまり感情を表に出さない子もいる(発達段階的に適切なこと) (p115。強調ブログ筆者)

 

※ この本の秀逸なところの一つは、思春期のお子さんを持つ親御さんへのアドバイスが豊富なところです。思春期のお子さんへは、がんを患う親御さんも戸惑いをもって接していることをしばしば感じています。感情をあまり出さず、息子や娘が何を考えているかわからないと嘆かれる方もいます。ただ、それが「発達段階的に適切なこと」と捉えることができれば、少し楽になるのではないでしょうか。

 

 

 

臨死期の患者さんへのアドバイスもたくさんあります。

 

○ すべてのがんになった親が、最期に何かをなす必要はない。ましてや、何か残るモノを遺すことが唯一の正解とは限らない(p164)

 

○ 体力の衰えが激しくもう何もできないという人であっても、「何も遺すことができなかった」と自分を責めることはありません。指先ひとつ動かせなくなってもなお、お子さんのためにできることはあるのです(p164~165。強調ブログ筆者)

 

○ 実は、何も遺さず旅立っていかれる患者さんは多いです。でも、彼らはお子さんと最期まで真摯に向き合い、かけがえのない思い出をつくり上げました。かたちとしては何も残らなかったけれど、一緒に過ごした時間と思い出こそが、子どもの心の中に残る宝物になるのです(p165。強調ブログ筆者)

 

※ 本当にその通りです。真剣に病気に向き合い、人一倍お子さんのことを思っているがんの患者さんは、しばしば「できていない」「できなかった」とくやみ、嘆かれます。しかしそうやって、真剣に悩み生きたことこそ、お子さんにとって最大の贈り物であると思います。たとえ短かったとしても、大切なのは時間ではありません、人として生きたその姿をありのままに見せることはかけがえのないものであり、どれだけ時が経っても色あせないものなのだと思います。

 

 

個人的には、p196からの、39歳で亡くなった親御さんが、お子さんに自身が死ぬということを伝えたエピソードに心が動かされました。

 

悩み苦しみながらも、しばしばご自分では「何もできない」「弱い」と過小評価しながらも、本当は強く生きて、子どもたちに多くを遺された親御さんたちの姿を思い出しながら読みました。

 

当該の患者さんやご家族ばかりではなく、医療者にも一読の価値ある本だと思います。