皆さん、こんにちは。大津です。


本日は「大学病院の緩和ケアを考える会」
で講演させて頂きました。

170名もの医療者の方々が参加され
熱心に耳を傾けてらっしゃいました。

私が演壇に立ったのは、最後、それこそ
(昼過ぎから始まり)夕食前のしんどい
時間帯であったにも関わらず、寝ている
方など皆無で参加者の皆さんの熱意を
ひしひしと感じました。

大学病院にもこれだけの緩和ケアの
担い手がいるのだ・・と思うと心強くも
感じました。有り難いことですね。


緩和ケアの重要な力として、
もちろん薬剤の使用があります。けれども
それだけでは車輪の一方に過ぎません。
もう一輪はコミュニケーションであり、
正しい言葉を使用してゆく、ということで
もあります。

私はある時、代替医療系クリニックの機関誌
(どうやって入手したかは秘密です)
で「モルヒネで人は死に至らしめられている」
という甚だ間違った記事を見かけ、愕然とし
たことがあります。

何も知らない一般の方が見たら、それこそ
信じてしまうかもしれません。

もちろん正しいモルヒネの使用で命を縮める
ことなど一切ありません。
けれどもこういった情報に常々さらされてい
ましたら、いつかそれを信じてしまうかも
しれません。

他にも、医療者がまず使用を止めていかねば
ならない言葉の数々があります。

「治療はもうできないので、緩和に専念しま
しょう」

「緩和ケアに移行しましょう」

「緩和のある病院に移りましょう」

「あなたの病気は緩和の領域です」

「モルヒネで命を縮めるかもしれませんが、
最後の手段としてやってあげましょう」

「鎮静で呼吸が止まるかもしれませんが、
そのほうが楽になるかもしれません」

などなど・・。

残念ながら未だ「使われまくっています」
(上記がおかしいことがわからない皆さんは
ぜひとも私のブログの”医療”カテゴリーの
一連の記事をご覧になってください)

なおブログ読者の皆さんは大丈夫だと思いますが、
念のためではあります、これらの表現は全て
誤りです。

緩和ケアは常に併用するものです。
苦痛を和らげ、命をも延ばす可能性があり、
受けて損になることなどひとつもないものです。

「緩和ケアに移行しましょう!」
こういう言葉を一般の方はそのまま受け取り
ます。それが拡大再生産されて、世に間違った
知識が広がります。

緩和は終わりであるのだ、と。治療ができなく
なった人が行うものなのだ、と。

もちろん間違った言葉を使わないように教育
してゆくことも重要ですが、少しでも緩和を
ご存知の皆さんは常々正しい表現を広める
ように意識的になって頂ければ有り難いです。

嘘も100回言えば、真実になる、と
言われますように、間違ったことでも頻繁に
言われるといつしかそれが真実になってしまう
のは人の世を観察していれば散見されるもの
であることは皆さんもよくご存知のことでは
ないかと思います。正しい情報を伝えていかね
ばなりません。嘘の100回に負けないように
正しいことを1000回言わねばなりません。


医療の話はここまでで、ここから非医療の話
になりますが、今、日本は世界的にみて情報戦に
劣勢と感じます。

先日ある英語メディアのページを
見たときも、日本の領土問題についての記事に対し
圧倒的に日本の周囲の国々からのコメント
があふれていて、日本人はほとんど発言
しておらず、結果として質量ともに激しい劣勢と
なっておりました。

中には明らかに意図的な記事も、日本人の
あまり知らないところで日々量産されています。

このページで示されているように、
↓↓
http://ksuzuki.iza.ne.jp/blog/entry/2822835/

このウォールストリートジャーナルの記事も
確かに日本語版と英語版を比べてみると本当に
ひどいです。

日本人名で
非常に偏向した記事を英語紙で書く記者も
います。そもそも日本にも「日本のことが嫌い」
な記者や新聞がこれまで嘘をたくさん書き連ね、
結果的にそれが他国に利用されるようになった
のは周知の事実であります。

上に引用されているウォールストリートジャーナル
でも、「ナショナリスト=国家主義者、民族主義者」
という言葉が使われています。

正しい情報を国外に発信するのは
ナショナリストではなく、できるだけ歴史に
忠実であろうとする真摯さの表れでありましょう。
それが「ナショナリスト」と断じられてしまう、
表現されてしまうところに、いかに日本がこれまで
世界に真実を発信してこようとしなかったか
(あるいはしてきたけれども劣勢であるか)、
だからこそ世界にどんなイメージで見られてきたのか
ということが理解できると思われます。
海外からすると「嘘」を言っていると思われている
ので、自分の国に都合のいいことを言う、だから
ナショナリストと見られてしまうのでしょう。

まあそんなことを言ったら、世界は自分の国に
都合が良いことを言っている国ばかりで、日本は
「(やってもいないことを)自己卑下」する世界的
にも珍しい国でありましょうが。しかも間違った
ことをしまくってもこれっぽっちも反省しない国
もたくさんある中で、67年以上謝り続けている
稀有な国だと思います。

いずれにせよ、戦後生まれ世代が大半の現代で
私たちは歴史を紐解くしか昔を知りようがありません。
歴史に非常にバイアスを含んだ考えが記されていれば
いつかそれが本当の「歴史」になります。
恐ろしいことです。

これから生まれて来る若者が、本来受けなくて良い
卑屈な思いにさいなまれるようなことがないように、
また周辺の国も国家に押し付けられた日本への憎しみ
を背負わないでも生きていけるように、私たちは
あらゆる言葉で、あらゆる機会に発信し、もちろん
国もそれ専用の部局も作って(もうあるのでしょうか?)
全世界に情報を発信して、情報戦に全力を注がねば
ならないと思います。嘘の100回に負けないように
正しいことを1000回言わねばなりません。

やらなければいけないことは山ほどあるのに
命は数十年、それもばりばり働けるのはそれほど
長い時間ではないので大変です。

燃え尽きてしまってはいけませんが、
皆さんお互いに励んで参りましょう!

それではまた。
失礼します。