2024-2025WEリーグに向けて各チーム始動しています。まだ、異動が有るかも知れませんが、体制が発表されたチームから、2023-2024リーグ戦のコーナーキックのまとめと、新チームの予想を書いていきます。
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2018年からMycujoo配信やなでしこリーグのYouTube配信が始まり、2020年は全試合YouTube配信、WEリーグ:2021-2022からはDAZNとなり、各チームを均等に観戦できるようになりました。
浦和に関しても、合計75試合、攻撃395本・守備245本のデータを蓄積しています。
2023-2024リーグ戦(皇后杯含む)では8試合、攻撃50本・守備29本を分析・集計しています。
以下に浦和の2023-2024WEリーグのコーナーキックの状況の概容と、2024-2025WEリーグの予想を記載していきますが、原則下図のような配置を基に述べていきます。
青字:16試合以上先発した選手 緑字:16試合以上出場した選手
橙色:11試合以上出場した選手 赤字: 5試合以上出場した選手
黒字: 上記以下の選手
* :夏期入団選手 + :冬期入団選手
$:昇格・2種登録選手 下線:引退・移籍など
長期離脱:
MF8猶本 2024/01~10ヶ月、FW9菅澤 2024/06~3ヶ月、FW10安藤 2024/01~10ヶ月、GK21鈴木2022/05~8ヶ月
DF7高橋は 2024/03~2024/05
退団
DF2長船2024/06マイ仙台、MF4佐々木2024/06マイ仙台、FW11清家Brighton(ENG)、GK21鈴木2024/05引退、MF22一法師2023/10引退、DF20高橋美2023/12上海農商銀行、DF25河合2024/01立教大、DF28西村2024/07愛媛L、FW32渡邊2024/07退団、FW33森田2024/07引退
(2024/08/14時点)
攻撃と守備体制の例として下図を示します。
WEリーグ第17節4月27日
(1)2023-2024シーズンの全般傾向。
以下赤字のデータはこのブログで記事にした試合からの独自データです。
詳細は3-12を参照ください。
リーグ戦で4得点・4失点。
2015年以来、安定して黒字を出していたが、2022-2023始めての赤字転落。
2023-2024も黒字にはならなかった。
攻撃はフリー先着率は8.0%(リーグ7位)、シュート打ち率は34.0%(同2位)。
正面~ファーサイドで、3石川選手を中心に圧倒的なヘディングの強さを見せ、競り勝つ戦い方をした。
守備は、フリー被先着率は13.8%(同11位)、シュート被弾率は37.9%(同12位)と、守備は良く無かった。高身長の主力選手の離脱が響いたようである。
レベルを(A)~(E)で評価。あくまで私の視点です。
① 高さ関係:メンバー的には揃っているが、離脱者が相継いだ(B)
2023-2024シーズンの主力メンバーは、3石川選手(172cm)・15島田選手(168)・11清家選手(166)でリーグ上位の強さだったが、
2長船選手(170)・7高橋は選手(168)・9菅澤選手(168)・10安藤選手(166)らが怪我離脱などで低稼働率。19塩越選手(166)がキッカーに回ったため、攻撃ではさらに低くなった。
② 軸になる攻撃:ファーサイドでの攻撃(B+)
以前からニア狙いの傾向が強く、9菅澤選手を軸としていたが、その9菅澤選手が低稼働率。
2023-2024は3石川選手を中心とした正面~ファーサイドでの攻撃を狙うようになった。
低稼働率だったものの7高橋は選手が出場したときは、ほぼ無敵の状況だった。
③攻撃の工夫・戦略:比較的シンプル(C)
2021PSMまではリーグでも多い方だったが、2021-2022リーグ戦から減少し、2022-2023リーグ戦での企画頻度はリーグ最下位に落ちた。2023-2024は22回(50本中)で、リーグで並の企画数だった。
11清家選手の連続得点記録のために、チーム全体が協力、そこで一気に企画が増えたので、この数字だが、それ以外では、比較的シンプルに攻めていた。
上記のように、単純に3石川選手らが強いので、小細工は不要ということだと思う。
④守備力:平面戦は悪くないが、高さ不足で・・(D+)
フリー被先着率は13.8%(リーグ11位)、シュート被弾率は37.9%(同12位)と悪かった。
理由は上記のように、離脱者が多過ぎて、16水谷選手(158cm)・17遠藤選手(157)・18柴田選手(155)らもゴール前での競りをせざるを得なかったから。
平面戦は頑張れたが、最後のところで厳しいのは致し方ない所だった。
30石川選手は相手エースをマークして、2022-2023に続いて強い所を見せていて頼りになる。
(2)データ
A.なでしこリーグ・リーグカップ、WEリーグ公式記録より
B.独自収集データより
あくまで、私が観戦・ブログ化した試合が対象ですし、独断と偏見で判断して集めたデータです。
①シュート率・被シュート率の集計表とグラフ2枚。
②左右CKの集積図
(3)詳細評価
以下話が長いです。興味のある方は読んでいただければ幸いです。
A.攻撃詳細
2023-2024リーグ戦は、4得点。
8猶本選手・11清家選手・15島田選手・2長船選手各1点。
攻撃はフリー先着率は8.0%(リーグ7位)、シュート打ち率は34.0%(同2位)。
3石川選手を中心に正面~ファーサイドで、ヘディングの競りが抜群に強かった。
ただ、得点は全てニアサイド~ニアポスト前からのモノ。
たまにしか先着できないが、点が入ったニア側、
シュートは打てるが、点が入らないファー側。
と言う構図になったシーズンだった。
a)ニアでの合わせ(B)
以前からニア狙いの傾向が強く、9菅澤選手を軸としていたが、2023-2024は稼働率が低かった。そのため、11清家選手・15島田選手が中心となって走り込んでいた。
独自データで、先着率40%(平均33.4%)でやや良い程度。
4点取った結果から評価せざるを得ないが、例年に比べると「決め手」の印象は無い。
b)中央からファーでの競り(A)
高く、体格もあって強い選手が多く、ここ数年良い成績であった。
この4年先着率は25.9%→36.8%→40.9%→30.4%(平均34.0%)と並やや下に低下していたが、63.0%と爆上げ。
3石川選手は地上戦が上手くなったし、7高橋は選手が強いと言うこと以外にも、
19塩越選手がキッカーを務めて、伸びる球質で蹴っていたことも競り勝てる要因に挙げられる。
独自集計した50本中ショートコーナー2本・ローボールからのミドルシュート1本。
2021-2022シーズンはよく揺さぶってたが、ほとんどやらなくなってしまった。
d)キッカーと戦術選択(B)
2019年はキッカーが分散したが、2020年以降は8猶本選手が専門化し、「味方しか慣れていない球筋」となったハズ。
その8猶本選手が長期離脱し、2023-2024の独自集計は、8塩越選手(8/20)、水谷選手(6/4)8猶本選手(5/5)他。(左/右)
19塩越選手の球質は低く伸びて、正面~ファーサイド向きで、3石川選手などにとって合わせやすい球質だったと思う。
ただ、シンプルにやっていて、企画性や戦術眼というものはあまり感じられなかった。
e)ピックプレー(D)
おそらく、受け手の各選手が走り込みに専念しているので、2018年シーズンからピックプレーは減っている。
代表戦で見せていた9菅澤選手も、浦和ではやらない。ブロックしてくれるよう頼んでいないのだろう。
2023-2024もその傾向で少なかったが、
11清家選手の連続得点記録が伸びるにつれ、得点を取らせるためのピックプレーが増えていた。
したがって、チームとしてピックプレーの有効性を認めているはず。
でも、気を緩めると忘れられてしまうのかな?
f)ゴール前密集隊形(-)
2021-2022シーズン珍しくも、複数回確認しているが、2023-2024リーグ戦では2期連続で私は確認していない。
作戦的には単純に密集を狙って上げるだけで、それ以上のことはしないと思うが、
ヘディングに優位な選手が多いので、採用すること自体は、私は賛成である。
g)相手ゴールキーパーの守備範囲限定(B→D)
GK脇にセットするのは、ここ数年10安藤選手の役目だったが、怪我離脱後は5伊藤選手など。
うまさ、高さ共に落ちてしまっている。
h)その他
特にはない。
B.守備詳細
a)基本守備体系
① 2022-2023同様に、マンツーマン中心の2人ゾーン固定配置。FP9人守備で11清家選手を前戦に残す方式を採っていたが、主力の高身長選手が次々に離脱したため、その余裕はなくなり、シーズン中盤以降はFP10人守備となった。
2名のゾーン固定配置するのは、主に以下の通り。
ニアポスト脇:8猶本選手(第8節以降離脱)→6栗島選手。
ニアポスト前約5m:15島田選手。
②ショートコーナーには、相手の力に合わせて対応。
積極的に対応したり、しなかったり。
③ゾーンディフェンスはG前密集陣形対策。
・以前から、相手攻撃側陣がゴール前に集まって密集を作って来たら、ゾーンディフェンスに切り替えている。
・相手が一旦密集を作った後に散開した実戦例の記録は無い。
b)各選手の傾向・特徴
フォーメーションを冒頭の図だとし、記述する。
・走り込む相手に対応しているのは、30石川選手・11清家選手・19塩越選手・17遠藤選手。密着守備タイプが多いが、11清家選手は比較的離してマークする。
c)マンツーマンのマークの強さ(D+)
・フリー被先着率は13.8%(リーグ11位)、シュート被弾率は37.9%(同12位)と悪かった。
3石川選手は高くて平面戦も頑張っていて優秀なのだが、主力の長身選手の離脱が多く、普通ならゴール前で競らない選手も守りに就いた。
特に攻撃側選手の4人目に17遠藤選手(157)、5人目に16水谷選手(158cm)、6人目に18柴田選手(155)が付くことになった局面が頻繁に有って、高さ的にかなり厳しい。
とは言え、平面的な動きでは、まだ負けが目立っていて、リーグ下位だと、評価している。
5.14点(平均:5.15点)と並。
30石川選手は平面戦でも相手エースをマークしながら、5.04と優秀な値。
**採点は、3点完璧なディフェンス勝ち、4点ディフェンス勝ち、5点イーブン、6点オフェンス勝ち、7点オフェンスフリー、8点オフェンス"ど"フリーで評価。
・ヘルプディフェンスに不安。
密着マークするタイプが多いので、自分のことで手一杯になりやすいのだろう。
ヘルプディフェンスが出来るのは2023-2024の主力には見当たらない。
d)ゾーン配置選手(ストーン)の強さ(B-)
ずっと9菅澤選手が"デン"と構えていたのだが、2023-2024シーズンは稼働率が上がらなかった。15島田選手の配置が多くなって、まだ、ボールオンリー。走り込んでくる選手を横目で見ながらの対応は、まだ出来ているとは言い難い。
e)逆襲力(C)
シーズン当初は11清家選手が前戦に残っていて油断ならなかったが、チーム事情で守備に回ったので、逆襲力はダウン。
f)統制(B-)
まずまず統率されている。
一本目や交代後に、マークミスでフリーの選手を出すことも滅多に見ない。
ただ、選手同士で指示が盛んに行われているということも、誰か中心になって締めている様子はないので、選手と言うより日頃の訓練と、コーチ指示が的確なのだろうと、私は思う。
(4)過去の傾向・推移
a)キッカー
2015年猶本選手・2016~2017年筏井選手で固定されていたが、2018・2019年は多くの選手が務めていて、分散してしまった。
2020年以降は猶本選手が復帰してプレースキックのスペシャリストを務めている。
戦術的には、2021-2022シーズンは工夫が見られるようになったが、2022-2023はほとんど工夫は無い。
2023-2024は19塩越選手がメインキッカーを務めた。
b)ヘディング力
2016年は長船選手頼みに近かったが、2017年に菅澤選手が加入、
清家選手・南選手・高橋は選手・石川選手ら、下部から上がってきた若手が次々に主力として定着し、リーグでも上位を継続している。
c)攻撃のメインターゲット・頼れるプレー
2016年までは無かったが、2017年菅澤選手の加入で、ニアでの合わせの軸が出来る。
2019年以降は高身長の若手に期待してか分散傾向にある。
2022-2023は、9菅澤選手中心に戻している。
2023-2024は、9菅澤選手が低稼働率で、ファーサイドの3石川選手狙いが増えた。
d)ピックプレー
・2016年は高さ不足も有って、試行錯誤から始めていた。
はっきり言って不格好で、結果も出ていない。
・2017年は菅澤選手加入で前年の試行錯誤が生きた形になっていた。
・2018年から、高身長の若手の台頭でピックプレーは減っている。
・2021年のPSMでは、盛んに行われたが、リーグ戦以降は少なく、その後も増えていない。
e)守備の統制
良く訓練されているのは変わらない。
(5)2024-2025年シーズンの予想など
11清家選手が海外挑戦で抜けるが、2023-2024シーズン中に怪我離脱した主力が、徐々に復帰するだろう。
怪我の発表内容からすると、
9菅澤選手は、少し遅れるくらいで復帰するだろうが、
8猶本選手・10安藤選手は、早くても年内は試運転状態だろう。
守備力に関しては、2023-2024と余り変わらないだろう。
そもそも11清家選手は前戦に残って、逆襲を狙っていましたので。
やや平面戦が不安で、ヘルプも出来ないが、強さと高さでカバーするのだと思う。
攻撃力に関しては、2023-2024同様にファーサイド狙いで始まるだろう。
9菅澤選手が復帰すれば、ニアも使うようになって、分散するのだと思う。
(2024/08/14時点)。
履歴
2020/01/13 作成
以上です。
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