こんばんは。世田谷区千歳船橋「せたがや漢方堂」の横山です
今日は下半身のむくみに良い漢方薬のお話です。
むくみは東洋医学では、「水滞(すいたい)」がある状態と考えます。
水滞とは、読んで字のごとく、水の滞りのことです。
水滞も体の発生する部位によって、原因が様々ですが、今回は、下半身に水滞が現れた場合について、つまり下半身のむくみについて説明します。
下半身のむくみの主な原因は、腎虚(腎機能低下)です。
東洋医学でいうところの腎とは、腎臓だけでなく、副腎や泌尿器など、腎臓に関連する臓器のことをひっくるめてさします。
腎が元気でしっかり働いてくれれば、体の余分な水分を腎臓で濾して尿をつくり、体外に排泄してくれます。
夕方になると足がむくんで靴が入らなくなる、一日立ちっぱなしでいた日は、ふくらはぎがパンパンになってしまう、といった経験をどなたもしたことがあると思います。
それは、夕方になると体が疲れるように、腎機能も疲れてきて、水分代謝がうまくいかなくなってしまうからです。
また、腎が一番嫌う体勢というのが、「立つこと」なのです。
腎は横になっているときに一番良く働きます。
日中はあまりトイレに行かないのに、夜中に何度もトイレに起きるという方がいらっしゃいます。
それは、腎機能が弱ってきている証拠なのです。
さらに、腎は寒さに弱いです。
つまり、寒いところでの立ち仕事をしている人は、常に腎をいじめていることになります。
看護士さんや美容師さんに、ひどいむくみでお悩みの方が多いのは、そういったわけなのです。
腎虚でむくんでいる方は、いくらエステに行っても、足はすっきりしてきませんよ
そういった方には、漢方薬がお勧めです
漢方には、補腎薬(読んで字のごとく腎を補う薬)が、色々あります。
代表的なのは、六味地黄丸です。
そして、六味地黄丸に冷えを取る生薬を2つ足した八味地黄丸。さらに、利尿作用を強める生薬を2つ足した牛車腎気丸などなど。
腎虚の人が、これらの補腎薬を飲み始めると、お小水の出がとてもよくなります。また、夜間のトイレも減ってきます。
補腎薬だけで、足のむくみが解消してくる人もいますが、むくみのある人は、気虚(気が不足していること)やお血(血液が汚れていること)を併発していることが多々あります。
そういう方には、補腎薬だけではなかなか効果が上がらないので、気を補う薬や血流を良くする薬を一緒に飲んでもらいます。
当店でむくみが改善した例をご紹介します。
50代 女性
ふくらはぎのむくみのお悩みでご来店。
夕方になるとむくみは更にひどくなり、くるぶしがかくれてしまうほど。
足首というものをしばらく見ていないとのこと。
加えて最近では、しびれや痛みもでてきてしまい、整骨院でマッサージをしてみるもなかなか改善しないとのこと。
また、静脈瘤も悪化してきて、長く立っていると、痛むことも。
足先は常に冷えているとのこと。
確実に腎虚とお血の症状とわかったので、補腎薬とお血の薬を飲んでいただきました。
飲み始めて2週間くらいで、お小水の出がとてもよくなってきたとのこと。
その後、2週間おきにご来店いただくたびに、足を見せていただいていましたが、毎回少しずつ細くなってきていました。
最初は、ふくらはぎ全体が冷たく、パンパンにむくんで固い感じでしたが、まるで氷が解けていくように、ふくらはぎが柔らかくなってきました。
氷が解けて水になり、その水はお小水としてどんどん出てきているようです。
2か月を過ぎたころから、夕方のひどいむくみは改善し、くるぶしも見えてきました。
このころから、つらかったしびれや痛みも改善してきたとのこと。
3ヶ月を過ぎた現在は、足首もかなりすっきりし、足は常に暖かいとのこと。
静脈瘤もかなり薄くなってきました。
まだまだ細くなりそうなので、現在も服用中です。
むくみを改善しようと、水をたくさん飲んでいる方が時々います。
塩分の取りすぎ、お酒の飲み過ぎなどで、一時的にむくんだ場合は効果があるかもしれませんが、慢性的にむくんでいる腎虚の方は、これをやると逆効果ですので、ご注意ください
むくみのご相談は→女性のための漢方薬専門店 せたがや漢方堂