タイトル:「DANCEHALL MAGIC
アーティスト:BRADIO
DANCEHALL MAGIC(初回生産限定盤)(Blu-ray Disc付)

 前作「Joyful Style」をリリースした後、一時的にかつて在籍したHERO MUSIC ENTERTAINMENTに戻っていたBRADIO

恐らくワーナーミュージックとの契約が満了したからだと思われますが、今年に入ると、かつてMAN WITH A MISSIONが所属し、今はHUSKING BEEやLEGO BIG MORLが所属する日本クラウンへ移動
5月に満を持して、3枚目のフルアルバム「DANCEHALL MAGIC」をリリースしました

BRADIOと言えば、ワーナー移動直後の「Yes」がかなり濃いファンクアルバムとなり、「Joyful Style」は聞きやすいファンクアルバム
さて今回はと言うと、もうタイトル通り
キーワードはダンスミュージック
1stの「Yes」の方向性に近い作品となりました

とはいえ「Yes」ほど、こってりしたような作品ではありません
オープニングにして、

「キミのいいとこみてみたい 
幾千億の光よりもっとスゲェーから 
キミはもっとスゲェーから 魅せな 
キミじゃないとか意味がない 
ハッタリだってしゃんとすりゃもっとスゲェーから 
キミはもっとスゲェーから 魅せな 」

といきなり褒めすぎな「ソウル•ギャラクシー」が遊戯王のオープニングに起用されたように、上手い具合にキャッチーさも残しています


けれども「Joyful Style」よりもルーツ色は濃い
「Diamond Dust Popping Life」「DANCEHALL MAGIC」、ファンク好きな方には「これ、あの曲オマージュしただろ(笑)」と指摘されても、反論できない程ど真ん中にオマージュしています(笑)
まあBRADIOは過去に「Uptown Funk」や「September」カバーしてますからね(笑)
これはお咎めなしでしょう

それにBRADIOのファンクは、世界で主流となっているファンクは大きく異なるもの
「Catch A Vibe」のメロウなテイストは、歌謡曲の影響が無いと生まれないようなメロディーの良さ
「オワラナイ」でキャッチーなカッティングリフが鳴るのも、メロディーやポップに重点を置くからなされたもの

「へこたれモードの日だって 苦しくても焦るなよ
そりゃハートの成長痛だから 強くなれるチャンス」
「明日に向かってそのまま
キミの背中を 全力で見送んぞ ほら」

とあなたを鼓舞する歌詞も含め、日本流のファンクをBRADIOは行っています(You Tubeのコメント欄に海外からのコメントが多いのはそういうことです)

逆にファンクではないBRADIOはどうか
この作品では「69 Party」「Buster!」が該当
「69 Party」は派手なホーンにブルージーなギターが狂乱騒ぎのように鳴り響き、

「スクロールって現代版の甘美な毒です
犯されてんだ 変だ 指が止まんねぇな
足枷になるよな情報がネガティブなモンスター生み出す
生活そんなんに振り回されたくねーっしょ!」

とスマホ中毒となっている現代人を揶揄するような「Buster!」は、BGMを落とすことによってヘビーなアンサンブルをぶつけるのはハードロックのよう
BRADIOがファンクを抜くと、見せるのはロックバンドとしての姿
BRADIOの根本はロックバンドですからね

「ストレスばっか どうにもなるまい
かませ有頂天 ヤケクソの舞
カラ破って思い切るのが有能
先制きって攻撃あるのみ
合わない人には聞いてるフリで相槌 縦ノリ 肌艶も良好」

と現代人の仕事への愚痴が綴られ、曲名もやけくそな感じが充満しすぎな「YATARA Dance」はスラップベースを中心に添えながら、後半は派手になっていきますが、このアルバムで1番重要な曲は「運命へ」でしょう
ファンクやソウルミュージックを混ぜてスケールの大きなバラードとしつつ、

「オレたちならうまくやれる
何もかもがきっと大丈夫さ
はち切れそうなキミを待つ!」

とこれは運命へ相対せんとするBRADIOとFPPの共同戦線曲
「俺たちなら何でも乗り越えられる」
そういった強い意思が籠もっています
言うならばお守り
いかなる試練にも力を貸してくれるような武器です
自分は出来損ないではない
成し遂げられる
そう思わせてくれる取っておきの1曲です

そしてアルバムラストは昨年の野音で披露されていた「BAN BAN TONIGHT」
運命へ立ち向かう覚悟を決めたから、最後は「踊り明かそう」
そんな感じでしょうか
全員で踊り尽くしている様子を想像できました

今回のアルバム、正直に話すとダンスミュージックが好きな方には向いているアルバムです
されど、そうでない方にはピンと来ない可能性があります

その理由は、グルーヴに特化されていること
本来のファンクってメロディーよりもグルーヴに比重を置く
なのでこのアルバムって、世界的なファンク近付けています
故に似た曲調も多くなる
初心者には入りづらい作品かもしれません

裏を返すなら、ダンスミュージックが好きな人には最高な作品
それがこのアルバムだと考えています

「Yes」は真行寺の内心が思い切り出る、ハードな場面もありましたが、

「笑いたいがために 生まれたんだオレは」

と「Diamond Dust Popping Life」で、

「生活のため必死に踊って 愛を求め必死に踊って
怒って 不安で それ隠して笑って また踊って あかし刻んで」

と「DANCEHALL MAGIC」で歌うなど、暗い場面はそんなにありません
まさにダンスホールの魔法に魅せられる1枚でした