トガリネズミ類という、

珍しい哺乳類(真無盲腸目トガリネズミ科)がいます

 

系統分類を巡って、

今新しく発見がなされている、

珍しいグループです

真無盲腸目という見慣れない分類群が、

20世紀末に提唱されました

 

元々食虫目(モグラ目)という、

真獣類=完全な胎生の哺乳類でも、

原始的とされるグループが、

これまで有名だったと思います

その食虫目はローレシア獣上目に含まれていました

中世代初期、

超大陸パンゲアが分裂した、

ローレシア大陸で進化したと推測されるグループです

 

その中で、アフリカにいる変わり者とされていた、

アフリカトガリネズミ亜目がいるのですが、

これが、最近になって、

進化系統上遠いグループとされました

 

アフリカトガリネズミ類が、

一見似ているトガリネズミ類と、

全く別物で、

アフリカ獣上目という、

ゾウ目やツチブタ目を含む、

アフリカ大陸で進化したグループであることが分り、

アフリカトガリネズミ目が新設されました

まあ要は、

それほど分類が混乱して、

難しかったということです

 

そのトガリネズミ科の動物が、日本にもいるのです

ネズミ類と並ぶ、

世界最小の哺乳類であり、

まるで鼻(吻)の尖った、

ネズミとモグラの中間のような姿です

草原や湿原周辺の草地に生息し、

雑食の生態であることも、

ネズミ類と似ています

 

ただ哺乳類として本当に珍しいことに、

歯に神経性の毒を持ち、

獲物を麻痺させて捕らえます

小さいくせに、なかなか恐ろしいやつです

まあ、微量でもあり、

人が噛まれても、

毒は大したことはありません

 

むしろ、鼠咬症という、ネズミ類の口内にいる、

鼠咬症スピロヘータや、

細菌ストレプトバチルスによって、

発熱や患部の潰瘍の上、

重篤な肺炎,肝炎等を発症する危険性のある、

ネズミ類の方が、はるかに危険です

話が脱線気味でした

 

世界で52種記載されており、

その内日本のトガリネズミ類は、

北海道に4種,本州2種,四国1種が、いるとされています

街中にいないので、気が付かないながら、

哺乳類の中では、

日本ではどちらかといえば繁栄した方、

と考えることもできそうです

ただ近い将来、その何種かは、

1種にまとめられるかもしれません

 

その中のとりわけ小さい種、

世界最小といわれる、トウキョウトガリネズミです

これまた小ささを感じさせる、

チビトガリネズミという種の亜種です

 

ところがこのトウキョウトガリネズミは、

東京には全くおらず、

日本では北海道東・道北にのみ生息しているのです

トウキョウトガリネズミにとっては、

全く関係がない間違いです

 

明治後期に初めて採られた、

標本のラベルに、

それぞれアルファベットで書かれた、

採集地のエゾを、エドと書き違い、

鵡川を犬川と読み違いしたためと言われています

犬川は、山形県,長野-新潟両県、京都府にある、

それぞれ同名の川で、

いずれも東京とは関係ありません

 

しかし北海道から離れていることは違いないので、

和名記載の際,良く確かめずに、

この名を付けたと考えられています

 

エゾトガリネズミと変名したらと思えそうですが、

こちらは、これまたチビトガリネズミの亜種に、

その名の別亜種があるので、

むしろこのまま、

トウキョウトガリネズミで押通した方が、

記憶に残易く、

絶滅危惧種としての保護には、

役立ちそうです(2023.12)