能登半島は、数回訪れたことがあります

珠洲にも1回、国鉄能登線(能登鉄道)廃線前、

東端まで走っていた時代、足を運びました

 

それらの時、

あまり高級なところには機会がなかった一方、

地元の新鮮な魚を扱う能登の食堂で、

安く美味しい魚を頂いた経験があります

その際、

これはフグでも安い方だけれど、

新鮮なら本当に美味しいですと、

勧めて頂いたのが、ゴマフグでした

 

ゴマフグ(フグ科トラフグ属)は、

広く日本海側を中心に魚獲の多い種です

体側にぼんやりとした黄色い線

そして胸鰭,臀鰭も黄色で、

皮膚に小棘が有るのが特徴の、

大型で細身のフグです

 

筋肉と精巣以外はほぼ猛毒で、もちろん、

ふぐ調理師以外には、決して任せてはいけません

身も弱毒で、

1kg以上食べると影響あるとのことです

 

一方能登はじめ石川県では、

フグ卵巣の糠漬けが食べられており、

その多くがゴマフグ猛毒の卵巣です

未だ無毒化メカニズム未解明の、

不思議な料理の材料なのです

 

フグ類はしばしば、

他種同士の交雑種が漁獲されており、

例え無毒とされる種や部位であっても、

プロの調理したものに限る大きな理由です

 

ゴマフグでも、

トラフグ,マフグ,シヨウサイフグ等、

トラフグ属各種との交雑が報告されています

交雑魚の多さも、形態の類似も、

爆発的に種分化をした、証拠と言われています

一方各種で、毒のある部位に大きな差があり、

トラフグ属がとてもやっかいなところです

 

そのゴマフグは水っぽく、

それほど味が良くないというのが、

相場ですが、あまり出回らないながら、

新鮮なものは驚くほど美味です

 

上に書いた能登のお店で、

春はこれが1番と言われ賞味したのが、それでした

当時は能登ふぐという言い方は聞きませんでしたが、

美味しい能登の魚の記憶第1は、

あの時のゴマフグです

 

珠洲は勿論、

今多くの能登の方々が苦しんでおられます

これ以上被害が続きませんように

1日も早く被害を回復され、

観光で来ておられて怖しい思いをされた方々とも共に、

能登の豊かさを、

また分ち合われますように(2023.5)