今は昔、90年代ごろ、デフレが続き、

外食産業でも値下げ競争が過熱していた頃、

大手回転寿司チェーンでも、ある一時期、

1皿6-70円台の品目が、

ベルトに並んで回っていた時代がありました

 

その時、魚のネタで最も安かったのが、

イトヨリ(ダイ)でした

味の云々以前に、

貧乏性で、安いものを食べねばと思ってしまうサガで、

イトヨリの皿を、

多く取っていました

あの時以来、イトヨリダイは、

回転寿司のメニューで見たことはありません

 

その時は、イトヨリダイの知識はあまりなく、

ましてや味の違いも分らず、

本当にイトヨリダイだったのか、

不明なままです

 

○○ダイと呼ばれる、

あやかりダイは沢山あります

体型が側偏していて丸みがある、

いわゆる魚の典型的な体形で、

刺身になる白身の魚は、

何とかダイと呼ばれがちです

「腐っても鯛」日本の文化のタイ信仰、

でしょうか

 

とはいえ、本物のタイというべき、

スズキ亜目タイ科と近縁とされる、

フエフキダイ科や、イトヨリダイ科の魚たちは、

タイと名付けても、

ウソではないかもしれません

 

イトヨリダイは、

マダイより細長く、色も薄い姿

体側に走る金の筋が目立ち、

尾鰭の上端が細長く優雅に伸びています

これが名前の由来とのことです

小ぶりのものは、熱帯魚と言われてもおかしくない、

可憐な姿です

 

うまく調理すると、

タイ以上に美味とされますが、

水っぽく身が崩れやすく、

料理する人の力量が試される魚との話も聞きます

 

本来は40㎝にもなる、高級魚のはずですが、

どうやら底引網で獲られる小ぶりのものは、

安価で、多く練り製品の原料にされるそうです

もしかすると、

かつて一瞬回転寿司に出回ったものは、

そのような、

普段は余り生食されないものだったかもしれません

(イトヨリのイメージとは似つかない、

淡泊すぎる味でしたし)

 

旬は秋-冬ですが、

先日、明石魚の棚で、

丸々と大きなイトヨリが売られていて、

目を引きました

瀬戸内海周辺では、

隠れた高級魚です(2023.4)