ワインに気づいたとき | ***Le Vin***ワインと人のつながりと。

***Le Vin***ワインと人のつながりと。

ソムリエとして活動する中で、ワインだけでなく自然食や栄養学にも関心を持つ。現在はグルメ会へのワインセレクト・料理提案をしたり、知人への贈答用ワインの相談に乗ることも。

こんばんは!いつもありがとうございます☆

 

 

最近は、人と人とのかかわりについて考えることが増えてきました。

 

『この人間関係って、いいな』と思うこともあれば、

『もう少し、なんとかならないかな。。。』と思うこと、

『思わぬところで、思わぬ人がすごい人だったんだ!!』という体験・・・

(これは、SNSだけでつながっているかつての同級生が、モノスゴイ美的センスを持っていたことを知ったり(チョークアートの先生をしていて、すごい本物っぽいんです!)、親戚の大叔父さんがとんでもない美術コレクターだったり、という・・・、私が子供過ぎて知らなかった事がぽろぽろと見えてきています!!クールだと思っていた地元の友だちが、案外人間関係に細やかだったり)

そして、私が地元で開催したイベントを見て『うちの店でなんかやってみて!!』と言ってくれた家具屋さんが居たり。

 

 

私、本業以外に『出張ソムリエ』として・・・

 

ほかの店や、ワイン会をやってみたい人が私を呼んでくれるようになるのって、いいな!

 

・・・そう、思っているんですね。

 

 

もちろん、それは本業ではないのでほとんどボランティアです。

 

でも、『ワインって、難しい。わからない』っていうかつての私みたいな人が『これなら飲める!おいし~い!』って言ってくれるときとか・・・

 

『ワインの基礎知識を知って、もっと楽しみたい!!』という人が居るなら、呼んでもらって出張するのはすご~~~く嬉しいんです。

 

新しいことを知るのって、すごく楽しいですよね!

 

今日、それこそお客様とお話していてふとこぼれたんですが、

 

 

高級ワインをおいしいと思ったのってどんなタイミングだったかなあ

 

 

という話になったんです。

 

 

高級ワインと言いますが、『赤ワイン』といっていただいてもいいかもしれません。

 

 

私は学生の時期に、アルバイトで今の会社の一店舗に入りました。

ワインをたくさん扱っていましたが、なにぶん文学部だったので、まったくワインに関しても存じ上げませんし、そもそもワインを飲んだことはありませんでした。

 

初めてワインを飲んだときはおいしいのかまずいのかさえ分からず。

 

店のワインを飲み比べて、最初に私好みだな、と思ったのはイタリア南部の土着品種、プリミティーボのワイン。

 

その後、スペインのガルナッチャ、テンプラニーリョなど、濃くてジャミーでインキーなタイプが好きでした

(解説すると、

ジャミー・・・ジャムっぽい、煮詰めた果実のニュアンス

インキー・・・インクのような香りのする

という意味です!)

 

 

小さいころ、梅肉エキスに助けられたらしい私は、もともと梅干しが大好き!梅じそ大好き!!な子供でしたから、プリミティーボの魅力が私の好みに合致したのもうなずけます。

 

イタリアだと、サリーチェサレンティーノが今はだんとつ好きです。

白は、昔、フラスカティが好きで、今も好きですが・・・インツォリアなど、シチリアの土着品種がけっこう好きです。

 

 

そして、フランスワインって、何でこんなに魅力的なんでしょうね。

 

白でも秀逸な、ピュリニー、ムルソー、サンセール。グラーヴのソーヴィニョンブランや、等級によって魅力が変わるシャブリ。

 

赤は本当に万華鏡です。

 

各地域の個性あふれる赤。

 

地域の中でさえミクロに分かれる土壌のミルフィーユ、ブルゴーニュ。

 

そしてそこに天候という神のいたずらと作り手の努力が重なる。

 

ワインを愛し始めたら、とうぜんのようにフランスにいったん帰着します。

フランスに慣れた舌になると、イタリアが濃く感じたりしますし、経験値によって好みってかわるんだなあって思います。

 

 

こんな風にワインへの愛を語れるようになったのって、いつからだろう。

 

 

今思えば、そのタイミングは、古酒を飲んだときだったと思います。

 

10年以上寝たワインが、熟成してえもいわれぬ儚い魅力を露呈したとき。

 

 

開けたなりはちょっと硫黄くさいような還元臭が漂ったのに、5分もしたら生き生きとしだして、バラの花や果実の香りがあふれてきたというあの、なんともいえない感動体験。

 

海老茶に染まる一瞬前の、上気するようなばら色。

 

古酒って、ブルゴーニュだと若い頃は繊細で頑なでとっつきづらい印象なのに、それが時を経てやわらかく包み込むようで、それはボルドーであれば最初の頃は『渋い!!』って顔をしかめるほどだった味わいが、『まろやか!!』と変わっていった、それが本当に魅力。

 

 

イタリアの赤ワインの楽しみ方は、その場でおいしいということかな。

フランスワインって、『このワインを特別においしく楽しめる手法はどんな?』って、楽しむ前に熟成と温度管理、楽しむときにはデキャンタの有無とかの、細かい作法が必要になってくる。

 

それを楽しむのがフランスワインという部分もあり。という感じですね。

 

楽しむための試行錯誤をしてもらって飲んだワインは確かに美味しかったんです。

 

まるでシルクのような舌ざわり、すっと消えそうなのに後から迫ってくる甘やかな果実香と長い余韻。これを飲めただけで贅沢、という感覚。

 

どこかのタイミングで、この『おいしい』と評価されるワインを『本当においしいんだあ!!!!』と理解したんですね。