藤井聡太全冠制覇ということで、テレビで特番もあり、一般メディアの記事もそれなりに出ているが、クォリティが熱心な将棋ファン目線では相当に力不足である。とはいえ、一般の人々に何かが伝わればいいものなのだ、と話半分くらいにしておくのが大人なのかもしれない。

 

獲得賞金1億2千万円超えの藤井八冠の影響で他の棋士の収入が減少? 「勝負の世界なので仕方ないが…」将棋連盟元理事が複雑な胸中を語る(デイリー新潮) - Yahoo!ニュース

 

<引用>
 「実力が拮抗している群雄割拠の時代なら、1位の棋士の収入もそれほど多くないけれど、藤井がタイトルを独り占めしてしまえば、自ずと他の棋士の取り分は減るでしょう」  そう指摘するのは、日本将棋連盟元理事で、雑誌「将棋世界」編集長も務めた田丸昇九段である。 

 この所見は正しくない。藤井が4冠でも全冠制覇していても、大半の棋士には関係がない。大半がタイトル戦や棋戦優勝に絡まないのだから。影響があるのはS級の棋士達で、具体的には渡辺、豊島、永瀬は減るだろう。これに続く広瀬、斎藤といったところは微減くらいで、他の棋士はそもそも藤井とめったに対戦すらできないのだから、何かを言えるはずもない。そもそも藤井ブームで棋戦の協賛は増えており、将棋界全体のパイの拡大は明らかだ。 

 元理事、編集長と飾っている田丸はスマホ冤罪事件の際は妥当な所見を出していたが、今回はメディア側に発言を切り取られたのだろうか?と訝しいくらいの低品質記事であった。
 

 2つめ。

 

 

 これは実際にみていたが、質問内容がこちらと被っており、渡辺本人がいうように別の質問もあったのでは・・・とは感じる。

 

 

 とはいえ、冒頭に書いたように熱心な将棋ファンではない一般ピープル対象番組であれば、切り口が陳腐であるのも所与だろう。所詮、テレビ局ごときに充実を期待できるはずがないのである。ご本人は生放送が地震でとんで録画に切り替わり(ローカルな小さな地震で全国放送を全部消し飛ばす必要があるとは私は思わない。対象地域だけ地震速報を続ければよかろう。)、健康診断後の疲労等もあり、NHKの渡辺の紹介が「タイトル4つを取られた」と無礼で向かっ腹が立つところもあったにしても、出演した以上は過不足なく振舞ってもよかっただろう。制作側が力不足だと見切っていれば、上から子虫を見下ろすような心持で接していればよかったと思う。まぁ、子虫を踏みつけたくなる心持になるのも理解できなくはないが。

 

 とはいえ、本格藤井特集があるのであればそれは観たい。以前、竜王戦で永世七冠を賭けて羽生が渡辺と戦って3連勝4連敗で敗退した時に、NHKが特番を組んでご本人にあれこれ訊いた番組を今でも覚えているのだが(最後になぜ渡辺さんが勝ったのでしょうか?と訊かれた羽生は「それは渡辺さんに訊いて下さい」と切り返した場面が思い出される)、あれはなかなか良い番組であった。キャスターを羽生、佐藤、森内の誰かに据えて藤井と対談させるとか(遺憾ながらMC能力はこの三人にはあまりないだろうか?)、Abemaで考えてくれないだろうか。