えびすだいこく100キロマラソンの振り返りです。
 
レース終了3日で極端な筋疲労はなし。信号ダッシュもできる。今朝5キロだけ走って、もちろん速くは走れないが、走ることはできる。昨年の奥熊野をサブ10でクリアした週は階段昇降自体が困難であったことを思い出すが、今回は暑さで負けて筋力を使うところまでいかなかったということかと分析している。
 
同じ職場の超ウルトラランナー氏が「サブ10を当たり前にする知り合いが今回のえびだいは11時間半かかったそうです」といっていた。私の仕上がりタイムも程々なのかもしれないが、全体順位の中の比率で評価すると、最近ないくらい悪いのも事実。あまり褒められるパフォーマンスではなかったと言い切っておくが、敗因はよく分からない。暑熱馴化にはそれなりに取り組んでいたはずなのだが。。。
 
「前日移動観光編」
 この大会のことは以前から「格安料金なのにすごく手厚い」「海岸線を巡れる」「ゴールが出雲大社」「累積標高は割と低め」と聞いており、以前から関心があった。今年初めて申し込みをしたところ運よく抽選に勝ち抜くことができた。前泊はスタート地である美保関でもいいのだろうが、宿泊場所のバリエーションとか前日の過ごし方を考えるとオーソドクスに松江でしょう。土曜日に飛行機で移動するのが普通で、羽田―出雲(松江到着10時)を選ぶものだろうが、足立美術館に立ち寄りたい私は羽田―米子がデフォ。でも、そうすると7時前の羽田発のフライトになり、電車遅延でもあると即死する。夜行バスで移動すれば日程は鉄板。来年以降隠岐の島ウルトラに出場するような場合も夜行バス移動を利用するかもしれないわけで、いい予行演習になりそう。ということでウィラーの夜行バスを移動手段に選択した。
 
 3列シートで足はややつかえるものの乗った瞬間から爆睡モード。袋井で一度起きただけで朝6時の大山PAに着いていた。
 
 
 腰は硬くなったが、行程としては悪くないか? 米子で降りると美術館開館まで時間が余りすぎるので松江まで行ってしまって、ホテルに荷物を預け、朝食を取ってから最寄り駅の安来に移動、そこから美術館へのシャトルバスに乗車する。朝9時前というのにシャトルは乗り切れないくらいの人待ち。流石に人気がある。
 
 
枯山水、日本画を堪能する。大観の作品を大量に鑑賞できて、いい感じで時間が流れているではないの、と明日のレースの出来へつなげようとする私であった。
 
松江に戻ったのが13時過ぎ。松江城、小泉八雲亭と定番を押さえていく。
 
 
 
松江は37年ぶり。前回のことはさっぱり覚えていないのだが、松江城国宝指定のために様々環境整備も行われたというので、大分よくなっているのかも。お団子をいただいたり等まったりと過ごす。
 
 
小泉八雲記念館で色々と足跡を再認識するにつれ、「怪談」を読みたくなった。記念館で視聴できる「秘密結社鷹の爪」の「3分でわかる耳なし芳一」は秀逸。流石に島根ゆかりです。
 
土曜日は朝の内は割と涼しかったが、昼過ぎからは結構な暑さ。日曜日はさらに気温が上がるという。これは昨年のいわて銀河とどっこいどっこいか? あの時は30キロ過ぎからセーブモードに切り替えたのが功を奏し、仕上がり10時間36分にはなったが、順位は悪くなかった。今年は年初以来の怪我のせいもあり、実力は低下しているはず。累積標高はいわてよりはえびすの方が少しあるはず。10時間半なら御の字、11時間が標準か、とやや弱気の想定を立ててみた。あの激坂の高山ですら11時間20分だったので弱気すぎるかもしれないが・・・前半はアップダウンばかりだが60キロからは宍道湖畔を走ることになりタイムは落ちないはず。前半のビハインドを気にしない、という心持だけは決めた。(結果的には大外れになるのだが)
 
「当日編」
 松江南口からスタート地点へのバスが出る。どうも腹が緩い。出切ればいいわけで、実際に出切ったのだが、体調的にどうなんだろう? 当日受付、お土産手渡しをするとスタッフの皆さんから、「せんすさんからお土産をいただきました!」と紹介があり、拍手をいただける。参加賞は手厚くて、箸(3セット)、参加シャツ(悪くないデザイン)、出雲大社の絵葉書が入っている。プログラムも内容があるのだが、当日もらってもね。。。というところはある。2Fで装備を整えるのだが、ここがキネシオテープもしており、非常に狭い。外に出るともう明るくなっており、中の海の向こうに大山がみえる。きれいだなぁ。スタート時間前に最後の残党を処理し、移動。ああ、本当に神社の入り口がスタートなのね。知っていればお賽銭を投げに行ったのに。
 
 
 スタートしてゆるゆると行く。直ぐに登りが入り、海岸線を見下ろす。朝日の中、素晴らしい光景。前半戦は点在する漁村を巡る。漁村は海抜ゼロのところにある。漁村間をつなぐ道路は丘、山を経由している。(平地だったらそもそも水田になっているわけだ) これが案外厳しい。標高図でみると大したことがなさそうに思えたのだが、実際に走ってみるとこれでもかこれでもか、という感じの繰り返しである。ただ、山陰海岸の景色が目に優しく、まだ道路は日陰なので特に問題はない。最初の5キロは29分台でクリア。次の5キロはアップダウンがいよいよ厳しく、苦しい感じがあったが、GPS時計上9.8キロのところで10キロ表示が出現。これは距離ボーナスをもらえるのか? ところが次の5キロがなかなか出てこない。15.2キロのところで表示があり、がっかり。まぁいいや。今日はサブ10狙いじゃないから。このペースを維持できれば目標タイムにはなる。とにかく無理せずに行きたい。
 
 海の透明度が高く、砂が光の中で輝いている。海藻の香りが濃いエリアがあり、はるばる来た感を募らせる。エイドは給水のみのエイドの狭間に給食エイドがあるのだが、提供される食べ物は果物メインのところが多く、炭水化物はコンビニおにぎりとアンパンのエイドがさらに間を挟んで、というところ。ドリンクは水、スポドリ、麦茶、コーラでまずは十分なのだが、「熊野だとビールとかコーヒーもあったかなぁ? ヨーグルトもあったよね」とか思い出すのは罰当たりかな。照り返しはすさまじく朝の7時過ぎにはもう被り水をしたくなるのだが、特に盥に水が張ってあるということも、氷がざくざくになって置いてある、ということもなく・・・ずっとこのままだと今日は相当辛いことになるな、と悪寒した。
 
 上り下りを繰り返すこと8回を経て、100M級の峠越えがまず一発。キロ6分の維持はできない。25-30で34分を要し、3時間2分。サブ10ペースを維持するつもりもないので、特に残念には思わない。さらに40キロを過ぎて島根原子力前の峠越え。ここは実に厳しい。5キロ38分台が出現。途中で氷を配っているお兄さんの私設エイドがあり、ありがたくいただく。ペースがいくらか回復するが50キロを5時間16分で通過。伊豆大島を除いても、ここまで遅いのは2014年の野辺山以来か。とはいえ、コースの建付け上仕方ない、ここからは松江の近傍を通過し、平坦になるはずだから、ペースの乱高下もないだろうと踏んだ。
 
 ところが・・・
 
 総括編でも触れたが、平坦部に出てからの45キロが地獄。国道脇、日向を延々と走る意味が私は分かっていなかった。
 
 昨年のいわて銀河はこの日よりも温度自体は高かった。しかし、山間部を行くルートであり、相当に木陰であったと思う。道路自体を走るので、走りにくいということもなかったし、被り水はあった。牛乳ゼリーがおいしかった。対して、後半のえびすだいこくは、延々宍道湖畔で風景が変わらない、先が見えない、木陰がない、自動車の排気ガスにさらされる、歩道が狭く、傾いているので、時には側溝蓋の上を走り続ける場合もある、とマイナス要因が様々。そういえば野焼きに3回遭遇した。煙いのはもちろんだが、違法行為では? この45キロはトラウマ、よってたかって私を潰そうとしている?と被害妄想になりそう。5キロ40分超が普通に出はじめ、「私が衰えたのか」と自問自答する。
 
当日の給食状況に触れておく。塩熱サプリ、羊羹、エナジージェル、350MLペットを用意していたが、どうも塩熱サプリは胃に突き刺さる。希釈して摂取するしかない。ペットボトルは最初から水を入れ、途中からは麦茶の補給を受け続けるが、エイド間で全量消費。エイドのおにぎりはやや量が多く、アンパン中心の補給。みそ汁は大変おいしかった。特に75キロのシジミの味噌汁は3杯いただいた。もう、終わりかけていたのだろうな。
 
スタッフの皆さんの献身には文句なく、炎暑の中ルート誘導に励んでおられるのには頭が下がる。いってみれば、お葬式の交通案内を延々としているの同じといったら喩が変か? 身体への負荷はすごいはずだ。
 
 宍道湖畔を一畑電車が走る。私だけではなく皆、「棄権してこれに乗って出雲大社まで行きたい」とか「これ乗ってショートカットしたい」(!)とかあらぬことを考えたのではないか。時々、盥水やホースシャワーのあるエイドがあり、ここでは体を冷やせるのだが焼け石に水。さらに溶けた日焼け止めが目に入り、特に左目を開けることができない。疲労が疲労を呼び増幅していく。
 
 
 午後3時半で気温が24度と道路脇の温度計に表示があった。体感は遥かに上。よろよろとゴールに向かう。前後のランナーは完全に固定しており、信号待ちで何回も一緒になる。それも85キロくらいから私はついていけなくなる。私をペースメーカー代わりにしているのかな、と思わされる挙動のランナーが2人いたが(私が追い付くと歩くのをやめて走り出す)、この2人の姿もみえなくなった。
 
 残り5キロに至り、どうやら12時間切りはできそう。2014年の野辺山よりは速いが、2013年の秩父(84キロ:ピーカンで国道延々部分あり)と比較しても、いい勝負か? 相当に走力が落ちたのか? 微妙に上り坂。大社は丘の上にあるものだろうな、とひとり納得。ゴール直前でこの日何度目かの信号ストップ。少しイラつき、渡って右折かと思い速度を上げたところで「直進です!」と声をかけられ、彼に咎はないと思いつつも「ちゃんと方向を明示してくださいよ!」と苦情を言ってしまう弱い私。ゴール前に継走の人達がいてゆっくりと進んでいる。まくるほどでもないと思い、タイミングを計って私もゴールインしました。継走の人達に嫌な思いをさせられることはほとんどなかったし応援もいただいたので苦情はないけれど、この状況を批判する人はいるかもしれないか、と思いました。
 
 ゴール後カキ氷をいただき、旅館に移動。エアコンの効いた部屋に入り、悪寒。あれ、本当に体調不良だった? 出雲大社付近には夕食を摂れる食事どころがないので、コンビニまで移動して調達。コンビニまでのルートはレースの最終盤。応援をする。
 
 
 
まだ間に合いそう。もう少したつと修羅場になるのだろうか。旅館に戻り温泉に入り一息。ひどい一日だったけれど、それなりに思い出深いものでもあった。
 
「翌日編」
出雲大社を早朝お参り。参拝者がほとんどおらず、静謐。雅楽の練習を神職さんがしている。参拝は早朝に限るな。ウサギの置物があって癒される。
 
 
 
早めに松江に戻り、お堀めぐりでまったりしながら山陰の休日を楽しんだ。
 
 
 
松江は金沢ほど大規模ではないけれど、十分に見どころのあるところだと思う。
 
これから富士登山競争に向けた準備に移るのだが、相当に強化を入れないと覚束ない。心しないといけないなぁ。