番勝負で見えることこれで3度目の渡辺と丸山。土日開催とファンにはうれしい建付けだったのに、将棋は丸山の無謀攻めの結果、早々に結果が見えるものとなり、早い時間で渡辺の圧勝。過去2回とも4-1であったことを考えると今期も繰り返しかな、と早くも匙を投げる用意をしている私がいる。

 

この将棋は直前のA級順位戦三浦-渡辺を踏まえたもので、1図の△4二角が渡辺の修正手順。5三を強化しているのがポイントで自陣角を放っても先手の飛車を活性化せずに桂馬を召し取れば優勢になれるとの判断によるもの。先手の攻めは前のめり気味だから妥当にみえる。

 

 

対して丸山は▲3四飛△2三銀にいきなり▲3二飛成と突撃をかけてあっさり非勢に落ちたのだが(どういう事前研究だったのだろうか?)、▲3五飛△4四歩▲7一角△7二飛(飛車を真っ直ぐ上がると潰れるみたい)▲5三桂不成△同金▲同角成△同角▲8五飛△8二歩と後手を歩切れにし、▲2五飛△5四銀▲2九飛とすれば駒損ではあっても悪くもないように思える。後手は下手な攻めをすると逆撃を食うので、神経を遣いそうだ。

 

先手の主張は自陣が低くて飛車を渡しても使わせないで済む、というものだったはずだが、2図までいくと前提はあっさりと破綻していた。渡辺のことだから、相当に手前の段階で形勢、終局まで見切っていたことだろうし、丸山にも番勝負で苦労せずに勝てると上目線になれたのではないかと思う。

 

 

丸山は以前、相手の棋風を分析して周到な対策をする側だったのが、今では作戦範囲が狭すぎるのできっちりと相手に準備される側になってしまっている。つまり加藤一二三と同じサイドになってしまったと思うのである。この辺りの建付けがB1安定勢力になってしまっている近年の成績の背景にあるのではないか? もう棋風の改造は難しいのだろうか? 佐藤、谷川に名人戦で連勝したころはタイトル二桁は確実と思ったものだが。。