ニュース報道が真相を衝いていない、ただのコピーであることを示す例があるので、取り上げたい。 

 先ほど、丸川環境大臣が石炭火力新設を容認したというニュースをNHKで取り上げていた。似たような記事が今朝の読売にも出ている。
 
 以前は昨年11月18日のこの日経記事のように「ただ、現時点では大半の電力会社が目標を達成していない。そのため経産省は個別の会社ではなく、電力会社が共同で目標を達成することも認める方向で検討している。」とあった。この流れで新旧電力会社は「自主的枠組」を検討してきたのであるが、この枠組は今回の措置の中では排除されるとの説明が経産省から出ている。しかし、このことはニュースでは取り上げられていない。同じ流れの中で環境省が同意したように今日のニュースは読めてしまうが、実は違っている。

 環境省がOKを出したのは、経産省が「各社とも44%以上を非化石電源から調達」を受け入れたからだ。では44%以上を非化石電源で埋める方策がどこにあるのかということになるのだが、どこにもありはしない。そもそも現時点では最も非化石電源率の高い北陸電力ですら20%を越える程度に留まっている。44%にしようとすれば原子力を相当に復帰させるか、再生可能エネルギーのシェアを上げなくてはならない。

 しかし、我が国政府はいずれも口では「原子力は必要な電源」、「温暖化対策に再生可能エネルギーは必要」といいつつ、具体的にサポートする手立てを打っていない。原子力については、規制委員会に丸投げで法律的な裏付けのない「有識者会議」が再稼動の可否を仕切ってしまっている。再エネについては電力買取制度下の課徴金がうなぎ上り(現時点で450円/月程度なのが3年後には3倍程度か? まだ竣工前の太陽光が数千万KW単位で待っている・・・)で役所は抑制をかけようとしているし、そもそも再エネの系統接続が青天井に出来るようなインフラになっていない。仮に原子力、再エネが増加したとして、各社がそれらの電源を調達できるような市場も存在しない。

 このことはエネルギーや環境に近い仕事をしている人達は皆、わかっていて、困惑している、というか憤激している。実は。

 数字を出せば事実がくっついてくるだろう、といういかにも社会主義的な手法であり、この国は自由主義経済を信奉しているのか甚だ疑問である。役人たちはテストの答案を書くのは得意かもしれないが、事業者が安心して金を使える環境を作り出すのは下手だというのが私の所感だ。こういう居丈高な姿勢でいい結果になったことなどほとんどないのだが。政治家でいえば菅直人と諫早湾干拓、前原と八ツ場ダムとかですかね。他人に何かをさせたいなら、まず自らが実行するべきであることもわからず、数字合わせに汲々とするのは今に始まったことではないとはいえ、この国の政府、本当に大丈夫なのか? そして役所からのネタをそのまま記事にして喜んでいる主要メディアもグダグダである。