川柳ねやがわ

 

川柳仲間と句会を開催し句報の発行を行っています。
句会は月に1度  第3火曜日に寝屋川市内で行いますが、最近は投句の方も増えています。お住まいの区域は問いません。句会への参加、投句をお待ちしています。
句報をご希望の方は電話•LINE等で、ご一報ください。無料で送らせて頂きます。
参加を迷っておられる方は、まず一度見学にお越しください。
廣田和織(和夫)090-4905-3024    LINEでのお申し込みも歓迎です。

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    2024年5月度句会報告  

                          

 

《たった十七音で思いは伝わる?》

                         廣田 和織

人間は自分以外の人とコミュニケーションをとる為に言葉を生み出しました。そしてより多くの人に、より遠くの人に、より正確に、情報を伝えるために文字を生み出しました。

それでは言葉と文字さえあれば情報は正確に伝わるのでしょうか?

「多くの外人観光客が訪れました。」という文章では、「多く」って何人くらい?去年より多いの?ほかの観光地と比べてどうなの?

「外国人」ってアジア系?ヨーロッパ系?「観光客」って家族ずれ?バックパッカーみたいな人達?カップル?これらを系統図のように一項目ごとに辿っていけばその先にある答えは人によって全く違うものになります。

ここから川柳の話になります。これだけ言葉を費やしても情報や思いを正確に伝えるのは難しいことなのに、川柳は、たった十七音で自分の思いを赤の他人に伝えなければなりません。

正確に伝えるという意味では不可能です。という事は正確である必要はないという事ではないでしょうか。

必要最小限の情報を十七音で提供して、あとはいろいろな経験を積んできた読み手にその情報からその人なりに読み取ってもらうことになります。そして共感してもらう。

しかし、「そうそう」「あるある」「なるほど」「へえー」と思ってもらう為には言葉を吟味し、てにをはに悩み、リズムを整える必要があります。十七音しか使えないのですから。

「当たり前や」「それがなかなか出来んから苦労してるんや」という声が聞こえてきそうです。

川柳ってそういう悩ましい文学なんですね。

最近になってやっと、うっすら見えてきたような気がして文章にしてみました。

 

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☸ 自 選 抄

                  

荒川 鈍甲

手を添えて看取るほかない星が降る

父母はないが流れる信濃川

葬送曲は郷の浜辺の波の音

井澤 壽峰

愛よりも打算で乗った玉の輿

友情は男結びの固結び

川登る鮭銀鱗の水飛沫

池田 武彦

取り調べ何かいやだねしたくない

良いことをした人ちゃんと名乗ってね

愛である愛はつきない永遠の愛

市川 紫

三万円食欲不振のネコ受信

隣国はロシア中国北朝鮮

廃炉にするがこんなに大変なものを作るな

後 和代

捨てようと古いバッグに現金が

顔洗いだんだん増えるしみとしわ

爺じだよ五 六歩あるいて飛びこんだ

籠島 恵子

てっぺんで吹いた風なら下りてくる

シンプルな生き方おしゃれだと思う

後姿顔はあとからついてくる

加山 勝久

出番です南海トラフ ウオームアップ

女なら子供を産めと有識者

非正規に結婚子供夢の夢

川本 信子

古茶瓶億年後にはミュージアム

青葉風うけてルンルン晴れ女

甘かったペット飼うにも要る覚悟

久世 高鷲

子の悩みもらい泣きして聞かされる

恋の痛手根掘り葉掘り野暮が聞く

子の悩み受け取りぐっと抱きしめる

定 千惠子

来訪と連絡受けて大掃除

写真みて母との想い出感謝する

近頃は共に過ごすも少なくて

西来 順子

目も耳も受ける心も良くしよう

思い出し今叶えたい昔の夢

ドキドキを求めてまた見るメロドラマ

高田 博泉

天国へ続く線路は敷いてない

追いついた時はライバルもういない

賽銭の音は神様聞き分ける

伊逹 郁夫

豆腐の白さにまたも騙される

初恋にばったり会った青いバラ

階段に足の弱さが身に沁みる

冨山ルイ子

GW ふとんで寝ている

GW 娘達出掛け

GW 土産をあれこれ

平松かすみ

ペアルック絡み合ってる洗濯機

主婦として反省してる仕舞い風呂

拉致の娘を待ってる母の気になって

廣田 和織

携帯に繋がらなくてホッとする

鶴亀の寿命も戦火なくてこそ

折れかけた心に妻という添え木

藤村 亜成

真剣を持たず男になれようか

副作用治す薬の副作用

まだ五指はしっかり握るペンと箸

松岡 篤

三分でマイク切ります我が省じゃ

孫五歳失恋したと泣きじゃくり

怪我せんかへそにピアスというおしゃれ

南 高志

旅の空人の情けが身に沁みる

家がいいなのにまたぞら旅をゆく

見納めと言いつつまたも旅に出る

山上 銀杏

電池ないスマホが何度も言ってくる

やめられない止まらないラッカセイ

よくもまあ変な事件が次々と

山野 双

朝一番今日はいい日と言ってみる

見上げれば故郷に続く空がある

三つ葉でも幸せくれるクローバー

 

 

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天位の句

「燃える 」         村田 博 選

燃え尽きて新たな夢へギアチェンジ    信 子

 

「ぶつかる」         髙杉 力 選

ぶつかってやっと本音が言えました          郁 夫

 

「どきどき」                       荒川 鈍甲 選

そばに居るだけでドキドキするあなた       朝 子

 

「自由吟」                          籠島 恵子 選

クレパスの朝日は元気よく昇る                 力

         

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席題 「燃える」 村田 博 選

バラ園のバラも燃えてる上天気      平松かすみ

焼き払い未練を絶ったラブレター    井澤壽峰

酒炎上の車座正座から胡座             川本信子

心の太陽は今も燃えている             中村 惠

燃える丈燃えて人生さようなら        高田博泉

燃えもせずくすぶっている裏の金     山野双葉

残り火が燃えつき卒寿ジ・エンド     久世高鷲

燃えるほど山の明るさ恐れ増す        定千恵子

目がさめるバラ咲きみだれ心燃ゆ     後 和代

決意して燃える心に追い風が           定千恵子

勝って燃え負けても燃えるから強く   松岡 篤

こわすのは惜しい焼くのも又惜しい   高田博泉

燃え尽きて髪真っ白になるラスト      藤村亜成

アフリカの燃える夕日に我も燃え      市川 紫

鳴き続け命を燃やす蝉しぐれ            伊達郁夫

まだ燃える燃やし切るまでは死ねぬ   藤村亜成

モクモクのさんまちびちびコップ酒   久世高鷲

焼き肉の火かげん気にして食べそこね 西来順子

落日の中で四コマ目が燃える             伊達郁夫

猫ちゃんが燃えてるトタン屋根の恋    平松かすみ

燃えるまで時間がかかる老いの恋       廣田和織

メラメラと燃えて嫉妬に狂う愛          藤村亜成

花いちもんめ八十路の恋に燃えている 荒川鈍甲

残り火が一番赤い恋もある                山野双葉

炎天下球児が燃える甲子園                南 高志

酒二合老いた酒豪が燃え尽きる          廣田和織

佳・能登の町ヤル気が燃える力瘤           伊達郁夫

佳・任されて燃える男の心意気              中村 惠

佳・好奇心命を燃やすエネルギー           廣田和織

佳・燃えている人はうしろを振り向かぬ  高田博泉

佳・嫌なこと全部燃やしてやり直そ        松岡 篤

人・くらくらと燃えてみたくて天城越え  高杉 力

地・燃え残る亡母の見事な大腿骨           山野双葉

天・燃え尽きて新たな夢へギアチェンジ  川本信子

軸・人間を燃やすバイトは高く付く    村田 博

 

宿題 「ぶつかる」 髙杉 力 選

ぶつかった句会飲み会ある方に           村田 博

おもいっ切りぶつかり合って無二の友  大内朝子

ぶつかって見つけた素晴らしいヒント  土田欣之

妻と僕あいだの子どもエアバック     穐山常男

甲子園初戦相手はシード校                  加山勝 久

美女歩く脇見をしたらぶつかった      中川彰一

ぶつかってほっこり温い機微に触れ   長尾千賀

嫁にください彼女の父に直談判     北村賢子

折れるまで続く議論に無い妥協     藤田武人

ごっつんこ泣いて笑って仲直り     山野双葉

衝撃の強さは本音対本音        籠島恵子

ぶつかれば答えが出ると信じてる    高田博泉

ぶつかった相手の方が吠え立てる    藤村亜成

閉めたはず忘れてドアにごっつんこ   後 和代

曲り角ぶつかった縁赤い糸       南 高志

ぶつかって大きさを知る父の壁     廣田和織

ぶつかってみれば優しい父だった    伊達郁夫

ぶつかった縁が取りもつ長い友     高田博泉

ぶつかってそれから勝負大相撲     南 高志

衝突も有って互いにする飛躍      井澤壽峰

国連は武力衝突には無力        村田 博

ぶつかってそれから恋が芽を出した   伊達郁夫

齢なのでぶつかることは避けている   廣田和織

ほろ酔いで当った奴も千鳥足      南 高志

ぶつかった意見は混ぜていい味に    松岡 篤

ぶつかりそうまずは私が一歩引く    西来順子

佳・大統領選挙どちらもどちらだな    川端一歩

佳・夫婦ゲンカ最後に侘びるのは夫    久世高鷲

佳・ぶつかってくだけても良し子は伸びる 市川 紫

佳・好きだから無理難題をぶっつける   村田 博

佳・ぶつかって初めて知った子の気持ち  山野双葉

人・千度ぶつかり河原の石は丸くなる   荒川鈍甲

地・ぶつかって来るなら胸を貸してやる  中村 惠

天・ぶつかってやっと本音が言えました  伊達郁夫

軸・初めからこんなに丸い訳じゃない   高杉 力

 

宿題 「どきどき」 荒川 鈍甲 選

レクサスの新車初乗り胸弾む      久世高鷲

動悸打つ恋と思えば不整脈       村田 博

正座した妻が話があるという      伊達郁夫

唇が徐々に近ずく初デイト       久世高鷲

五十年経っても会うと緊張し      市川 紫

憧れの君にばったり胸が鳴る      南 高志

ドキドキは日々の物価が上がる事    山上銀杏

先生を招く砂場の落し穴        平松かすみ

まだ動悸止まらずいけないものを見た  藤村亜成

ドクターが美人で困る不整脈      平松かすみ

癌検査主治医無言で腕を組む      川本信子

鼻揃えゴールインの結果待ち      藤村亜成

早鐘の如く胸打つ初見合        井澤壽峰

学芸会むすめの出番次の次       加山勝久

宝くじあと一桁で五億円        加山勝久

ドキドキをズキズキに替え流行る歌   碓氷祥昭

銭湯のドア一瞬のチラリズム      藤田武人

古稀越えもちょっとドキドキクラス会  山野双葉

白衣見て上がる血圧脈拍も       山野双葉

初恋のあのドキドキは忘れない     大内朝子

川柳句会二十歳の女性来ると言う    川端一歩

いっぱいの場数踏んでもなお動悸    土田欣之

手を握る握り返した汗と汗       土田欣之

ガン手術ドキドキしたが寝てました   川端一歩

間違った鼓動恋ではなさそうだ     中村 惠

ドキドキとしながら今日も待つ選句   入江秀雄

佳・プーチンは寝ても覚めても怯えてる   川本信子

佳・スポットライト当るとセリフ出てこない 穐山常男

佳・天の句をドキドキ待つよ中之島     池田武彦

佳・好きな人未だに動悸がドーキドキ    山上銀杏

佳・悪友がスピーチをする披露宴      高杉 力

人・地球儀の鼓動を防ぐ策が無い      碓氷祥昭

地・母さんがドキドキしてる娘の見合い   平松かすみ

天・そばに居るだけでドキドキするあなた  大内朝子

軸・川柳の極みどきどき披講時        荒川鈍甲

 

宿題 「 自由吟 」 籠島 恵子 選

想い出が山ほどもある中之島                南 高志

公会堂レトロな魅力赤煉瓦       南 高志

美女だけが名前残せるバラの花     村田 博

今年また母の日迎えはや八十路     北村賢子

いつの日か遠い景色になる平和     穐山常男

散り際の桜のうそは許せそう      吉永みどり

新緑の季節は命まで生気        大内朝子

戦火消え平和な地球待ち望む      北村賢子

追い抜いていく後輩の光る汗      土田欣之

見も知らぬ臆病神に取り付かれ     中村 惠

デパートで欲しいものなし枯すすき   伊達郁夫

持ち時間知っているから突っ走る    伊達郁夫

赤トンボ囁いたのは風の私語      伊達郁夫

エリートになった積りでやるゴルフ   高田博泉

小糠雨ならママチャリで走ろうか    平松かすみ

昇り詰め感じ始めている孤独      高杉 力

ムダ足をいとわぬ汗が実を結ぶ     廣田和織

乱起こす力はあるがない度胸      藤村亜成

憧れは紅色だった白いちご       山野双葉

したたかに生きて老後を闊歩する    久世高鷲

澄んだ空好きでポツンと一軒家     松岡 篤

幸せの扉はいつも開いている      中村 惠

ここまで来たもうコロナにはかからんぞ 松岡 篤

ゆっくりと歩く昨日を脱ぎながら    穐山常男

廃校の花だんに揺れるヒメジオン    市川 紫

佳・雑踏へフェイクニュースが流れ着く   廣田和織

佳・花いちもんめ貴女がほしい五月晴れ   荒川鈍甲

佳・切り取り線少しずれても大差ない    村田 博

佳・ブライドの引き立て役にかすみ草    平松かすみ

佳・気の利いた反論あとで思いつく     高杉 力

人・水遊び子より夢中の父がいる      高田博泉

地・油にも水にも解けて生き上手      川本信子

天・クレパスの朝日は元気よく昇る     高杉 力

軸・一輪挿しペンペン草を生けている    籠島恵子

 

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■出席者名(敬称略 二十四名 ❀初参加)

荒川鈍甲・井澤壽峰・池田武彦・❀市川紫

後和代・籠島恵子・川本信子・久世高鷲

西来順子・定千恵子・伊達郁夫・髙杉力

高田博泉・❀中村惠・平松かすみ・廣田和織

藤村亜成・松岡篤・南高志・村田博

山上銀杏・❀山野双葉・❀麻中恒子(見学)

❀柿本則子(見学)

■ 投句者(到着順・敬称略 十六名 ❀初参加)

穐山常男・福井正靖・入江秀雄・❀加山勝久

川端一歩・大内朝子・江島谷勝弘・碓氷祥昭

掃部博隆・吉永みどり・北村賢子・中川彰一

土田欣之・冨山ルイ子・藤田武人・長尾千賀

 

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■自選抄鑑賞(四月号より)

                           藤村 亜成

 

椿落ちてもまだ情念の色のまま   荒川鈍甲

椿は花弁が個々に散らず萼と雌蕊だけ木に残し、丸ごとポトリと落ちる花である。故に作者の目にははいかにも未練を残したままの姿に映ったのだが、それを「情念の色のまま」と表現したところが良い。因みに花が咲き終わる姿に、桜は散る、梅はこぼれる、椿は落ちる、牡丹は崩れると、表現され花の特徴をよく表し面白い。

騙されて笑い飛ばして四月馬鹿   井澤壽峰

毎年四月一日はエイプリルフールと称し悪戯や嘘をついても良いとされる風習があるが、いつどこで始まったかその起源は定かでないらしい。いずれにせよこの句のように「ワハハハ」と笑いとばせるような邪気のないネタバレで他愛ない嘘や悪戯でなければならないのは勿論だ。こんな日が年に一度くらいあっても愉快である。

思い出が揺れる名前が出てこない   籠島恵子

歳をとると昔のことをよく思い出し懐かしむことが多くなるといわれる。私もそうだがぼんやりとは思い出すがまるで、名前や顔が出てこない。全く記憶力が悪いと諦めてたが古いことを忘れることはむしろ健康で、それより最近のことを忘れるとヤバいらしい。認知症を疑われるからだが、その為にも川柳をすることは防止に役立つ。

私の踏む足跡が過去になる      川本信子

この句のポイントは「過去になる」にあると思う。

「踏む足跡」は今まで生きて来た証となる作者の実感としての軌跡である。しかしその実感が希薄になっていることに一抹の哀しみと寂しさを窺える。

ブレーキの効かぬお人だ饒舌だ    久世高鷲

この作品ともう一方で「正直に言ったばかりの仲違い」の句が並んでいた。両句とも人の良さが浮かび上がる。人が良いから饒舌になり抑止が効かず、言わなくても良いのに正直に言って仲違いを起こしてしまうのだ。でも好人物だからきっと嫌がられはしないだろう。

ドラマ見てときめく心で若返る    西来順子

今では遥か遠い過去になるが、テレビドラマを見て恋にときめいた若いあの頃を想いだす。もう一度あの頃の新鮮な心を取り戻そうではありませんか。ご主人と、ネ、順子さん。

親がもう忘れていても忘れぬ子    高田博泉

この”忘れぬこと”を嫌な事、悪い事ではなく良い事、嬉しい事と解釈したい。とすれば親の育て方が良く素直に立派に成長された親孝行な子供さんに違いない。博泉さんが羨ましい。

死にそうな量の薬で生きてます    伊達郁夫

高齢者になると足が痛い、腰が痛い、糖尿、頻尿

、血圧、高脂血症、歯痛、目薬など医者にかかると次々と薬剤を処方される。そしてそれに伴う副作用に胃薬や尿酸値を下げる薬など、増えるばかり。

”副作用治す薬の副作用”等と今回の私の句だが正に悪循環で、死にそうなほどの薬の量になる。

生きていたどうにか生きていたらしい 冨山ルイ子

ヘルペス(帯状疱疹)にかかられてからもう随分になるが、その苦痛をずっと句に綴られている。高齢になられて、その苦悩は切実でしょう。だからご家族にも予防の為のワクチンを打ってもらったそうだ。せめて句にすることで辛いストレスから少しでも、癒されることを願うばかりだ。

春色ドレスここ一番の勝負服      長尾千賀

ようやく訪れたポカポカ陽気の春。ここが出番の春色ドレス。「春色ドレス」と「勝負服」でウキウキしている女性心理が巧みに表現され微笑ましい。

そんな折、千賀さん、折角の吟行句会がコロナに感染し出席がフイになる。どうか早く回復されて、ここ一番、6月句会には春色ドレスでご出席されるようお待ちしています。

もしかしてロマンス詐欺の電話かも   平松かすみ

当家でも家人に電話がある時は、それぞれ個々にプライベートでスマホ電話に掛かって来るが、N TTの自宅の電話に掛かる時は大抵営業案内の電話である。または、この句のように詐欺まがいの電話かも知れないので、どうしても用心しながら受話器を取ってしまう。ましてや独居老人は特に気をつけねばならず、いやな世になってしまった。

夢ばかり食べて胃薬欠かせない     廣田和織

あれもこれもと夢を追いかけるがなかなか実現しない。どれもこれもが消化不良である。こんな時の妙薬(胃薬)を作者は持っているに違いない。だから欠かせないのだ。果てその妙薬とは?

ナメクジになってまばゆいツツジ這う  藤村亜成

5月初旬、眩いばかりに太陽を浴び鮮やかな色彩で赤、白、ピンクとツツジが咲き乱れる。思わず目を奪われ舐めるように魅入っている様子をナメクジになぞらえツツジを這うと表現している訳だが敢えて害虫の気味悪いナメクジを持ってくることでツツジの艶やかさを強調した作者の意図には独りよがりがあったかもしれない。

にっこりと近づいてくる悪い人     藤田武人

確かに本物の悪人は決して顔に出さず、ニコニコと善人面を装ってくるに違いない。逆に一見悪人面をしてとっつき難い人が為になり利益をもたらすことも多い。表面だけで人間の善悪は判断できない。真理を突いた作品である。

私は確かに年寄り早い朝        山上銀杏

若かった頃は起こされなければ何時まででも眠れたのに、年取ってからは目覚めが早い。何時までも若いと思っていたが改めて年を取ったと認識する。

「私は確かに」と強調する上8が年寄りの中4を強調する珍しい構成だが却って下5を説明するのに成功している。

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■四月句会(前号)入選句から鑑賞

                             池田 武彦

 

深呼吸こころの鬼を眠らせる      伊達郁夫

早朝のラジオ体操をしながらその日を楽しく明るく、怒ることなく過ごせたら最高だと思います。大きく深呼吸して出発だ。

散歩道犬と一緒に深呼吸        南 高志

子育ても終わり愛犬との暮らしの今日この頃です。淀川道での深呼吸、明日からの活力にきっとなります。

ふうーと息吐いてやっとの富士登山   井澤壽峰

私も富士山は二回登りました。しんどいばかりが残っていますが、早朝夜明けのご来光は今思い出しても超最高で涙が出ます。

溶けるまでじっくり機会待つ誤解    藤村亜成

人間ですもの意見の食い違いは必ずあります。しかしゆっくり時間をかければ分かり合い納得して誤解は溶けます。

転がしてじっくり溶かすわだかまり   穐山常男

おっしゃる通りです、色々な角度から吟味したら思いがけない解決案が見つかるものです。じっくり一歩ずつ参りましょう。

寝顔からときめき貰う花明り      前中知栄

愛する人、大好きな人の寝顔を見て元気を貰い今日も頑張るぞと仕事をした日々が懐かしく思い出されます。長生きしよう。

ときめきの靴小走りになるデート    土田欣之

余り経験した事は無いんですがこの気持ち良くわかります。特に初デートは素晴しかったでしょう。小走りの表現に完敗です。

スカイツリーとハルカス並べ輪投げする 掃部博隆

日本一を争う巨大両者を並べて、なんと輪投げするというスケールの大きさに感心しました。

これぞ川柳だの作品に感服です。

迷ったら一度括弧で閉じてみる      廣田和織

夫々の生き方が有り面白いと思います。確かに

迷うことは沢山有ります。一度止まって括弧で閉じてみる、賛成です。

断捨離をしたら私が居なくなる      川本信子

百歳目指して元気に参りましょう。断捨離はまだ早い。どしどし句会で元気な明るい、面白い信子さんの句にお会いしたいです。

失せ物が出てきてうまい夕ごはん     籠島恵子

子供たちが出て行きわいわい賑やかな夕ごはんも縁がなくなり寂しいですが、珍しいおかずを食べての日本酒はやはり一番です。

握手した手の温もりにある期待      高田博泉

田舎での同窓会、久しぶりの幼な友達との抱き合

っての握手。まだまだこれからも長生きしようぜ、その手の温もり訴える。

 

四月句会入選句から鑑賞

                           川本 信子

深呼吸こころの鬼を眠らせる       伊達郁夫

誰しも心の中に鬼を宿しています。自分の身を責

める鬼ならまだしも五色の鬼が自由に外へ出たら碌な事がない。出ないように蓋をして眠らせる。それには深呼吸という蓋が一番効き目ある。

深呼吸してかぶり付く玉子焼き      長尾千賀

玉子焼といえばお弁当のおかずに色取りとしても定番。一口サイズが普通。たまに切らない長いままの玉子焼きをガブリと食べてみたい。深呼吸して息整えて恵方巻きのように。堪能します。

じっくりと眺めておこう散る桜      籠島恵子

ほんの一瞬咲いてすぐ散る桜。その儚さを「あはれ」と感じる美意識が日本文化の根底にある。散り際に一層思いを馳せるのは美しいからだ。生き抜いて、最後まで桜のように美しくありたいと思う。年を重ねてじっくり眺めている。

言い訳もじっくり聞けば一理ある     廣田和織

自分の失敗過失を正当化する為の説明、弁解を何で今更と突っぱねるのではなく、そうなった理由が必ずある。その人の身になって聞いてあげたら成る程と納得できる。和織さんのそうした優しさがこの句に表れている。

あの人は私の好みのお方です       山上銀杏

人は自分の好みで好き嫌いを分けています。好みは好きだと思う気持ちの傾向をいうが、この句の場合は人ですから、出合った瞬間か、長きに渡るのか、好みの方が見付かった。銀杏さん好みのお方をそっと教えてくださいね。

捏ねて煮て寝かせばコクある人になる   藤村亜成

捏ねて煮て寝かして発酵食品の味噌、醤油、酒がある。それは五味に濃厚な旨味をプラスする。人間も人との交わりの中で切磋琢磨して自分を磨けば包容力のある誰からも慕われる人柄になる。そう言えばコクの有る方居ました。すぐ側に。

毎日がよいこらしょ深呼吸        平松かすみ

かすみさんの年齢を聞いてびっくり。私生活も川柳人としても尊敬しています。かすみさんの口からよいしょ、こらしょを聞いた事はないが、きっと気合いを入れて深呼吸して順調に日々を抜かりなくお暮しの事と思います。どうかこれからも句会でお元気な姿を見せて下さいね。

惜春の名残水面の花筏          井澤壽峰

春といえば桜。春の始まりは桜の蕾で感じ、開花で浮かれ、散った花びらが川の一面ぎっしり覆って流れていく。春も終りだと思った時、花筏の美しさが何時までも心に残って離れない。惜春と花筏の取り合わせ、切なさが残ります。

優しげな牙にかくれた落とし穴      池田武彦

気性や言葉や態度が穏やかとか思いやりの気持ちで優しそうに見えていたのは外見だけで実は牙で人の心をかみついたり引き裂いたり、他者を陥れる策略を同時に持ち合わせている人がいるからご用心を。結婚をする迄わからない場合も多々ある。

三本も立った茶柱何かある        久世高鷲

茶柱が三本も立った朝は、思わず今日は何か良い事があると、ときめいてしまう。吉凶習慣で、人に話さない事が条件。そうだ宝クジでも買えばとか、それよりも身近な事でワクワクする事が有る筈。

高鷲さん、煎茶よりも番茶の方が茶柱が立つ確率は高いそうですよ。

ときめいた人は今でも健やかか      北村賢子

学生時代か、職場でときめいた人をふと思い出す時がある。年月は経っていても素敵な人はその時の姿のままで。その後の様子は知る由もないが、今はどうしているのだろう。お元気で、お幸せならいいのだが。優しい賢子さんの気持ちが伝わる句です。

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◎ご芳志ありがとうございました。

  北村 賢子様  切手

  髙杉 力 様  お茶菓子

  

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■川柳ねやがわ 六月句会ご案内

☆会場 産業振興センター 3階

             

京阪寝屋川駅西側出口下車。徒歩約5分

☆日時 六月十八日(火)十二時十分開場

☆出席会費 七百円

☆出句各題 3句 締切り 十三時

☆席題 「       」  お客様   選

   兼題 「模 様」  川端 一歩 選

           「余所見」 廣田和織 選

          「自由吟」 伊達郁夫選

☆投句 切手四二〇円分同封の上事務局宛

十七日必着でお願いします。

※句箋(A4コピー紙八つ切り)又は便箋でも可

句箋の場合裏に題と雅号を記入。

■ 川柳ねやがわ 七月十六日(火) 句会 予告

※題と選者以外は 六月に準じる。

☆席題 「    」 お客様  選

 兼題 「らしい」  掃部博隆 選

    「あーあ」  久世高鷲 選

    「自由吟」  籠島恵子  選

■ 近郊 他句会案内 

おりひめ☆ひこぼし川柳会

第四回 誌上大会のご案内

 

☆課題と選者(各題二句)

「角 度」      くんじろう

「 梅 」      杜 青春

「ふ ふ ふ」       もりともみち

「宝 石」           木本 朱夏

「ラ イ ト」       月波 与生

「 家 」             小島 蘭幸

「(^-^) 印象吟」藤田 武人(謝選)

☆投句要領 規定の用紙 (コピー可)

または便箋可

☆投句締め切り 令和六年七月七日(日)

消印有効

☆参加費 一、〇〇〇円(切手不可・小為替等)

小中学生は無料(専用用紙がありますの

でお問い合わせください)

☆大会誌は九月下旬発送。参加者全員に大会誌贈呈

★投句先

〒573-0095

大阪府枚方市翠香園町2‐7

藤田 武人

☎ 072-395-5453

 

くらわんか番傘盛夏句会のご案内

日時 令和6年7月28日(日)

午後一時開場 二時締切

会場 枚方市総合芸術センター別館(元メセナ)

宿題 「余 分」    中川 彰一 選

       「束の間」  お 客 様 選

       「冷たい」  中原 京子 選

       「響 く」   池田 武彦 選

席題 一題 各題 二句

会費 七〇〇円

欠席投句 便箋三ツ割に一句ずつ

七月27日迄

投句料 千円(切手不可)

句箋 裏に題と雅号(句箋表右上に投句と記入)

   

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《後  記》

・久々の吟行句会。初参加の方が5名もあり二十四名のご出席、誠にありがとうございました。行き届かぬことも多々あったかと思いますが、主催者側としましては、これを機会に毎年、ステップアップして続けてゆきたいので今後ともご協力お願いします。

・お世話役のスタッフの皆様、そしてご出席の皆様にも

会を盛り上げ、会場の準備や後片付けにもご協力下さり有難うございました。

・今回前月号の鑑賞文が池田武彦氏と川本信子氏のお二人から原稿を頂いたので、映画の鑑賞文のスペース取れず割愛しました。ご了承ください。 (亜成)

 

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発行 会長 廣田 和織

      TEL&FAX 072-822-5823

              090-4905-3024  

  《 事務局 》編集兼印刷 藤村 亜成 

    〒573‐1104 枚方市楠葉丘1―9―13

     TEL&FAX 072-867-4603