121.バッサリ心晴れ晴れ | 彼女じゃない恋愛*愛した男には彼女がいた
2005-09-09

121.バッサリ心晴れ晴れ

テーマ:彼女じゃない恋愛

心が騒いで眠れなかった。
打たれ弱いと思う。
誰かに冷ましてもらわないと、落ち着かない興奮。
イライラ?ムカムカ?モヤモヤ?よく判らない心は朝日で少し薄らいだ。
<おはよう。仕事忙しいの?>
携帯が映し出す「送信しました」の文字が疑わしかった。


ボーっと部屋に座りこむ。
自分の髪をイジイジ触るのは私の癖だ。
イジイジしながら彼の事を考える。


大きく息を吸い込み意気込んだのは、私の決意。


私は出かける支度をして、家を出た。
向かった先は、美容院。
受付を済ませて、しばらく待った。


名前を呼ばれ、シャンプー台へと案内される。
顔にタオルをおかれ、シャンプーされる。
シャワーをかけられる。
排水溝がたまにジョボジョボと音をたてている。
私の髪が飲み込まれているのだろう。
想像すると少し気持ちが悪い。
ヌメヌメしたものとか付いていないだろうかと。


「今日は?」
シャンプーが終わり案内された席で担当らしき女性に鏡越しで話しかけられる。
「とりあえず、切ってください」
「どれくらい?」
「えっと・・・」
ずっとロングに憧れていてショートヘアというものに全く興味がなく困った。
「輪郭が少し嫌いなので隠してもらえればどんなでも」
「ショートにするってこと?」
「あ、はい、どんなでも」
「おまかせでってことね!」
「はい」
「ぶっちゃけね、あなたが入ってきた時ブロー大変だなって思ったのよ」
「あはは」
「最近ショートの子多いでしょ」
「そうですね」
「久しぶり!これね、バッサリ行くの気持ちいいのよ」
「そうなんだ」
「いっちゃっていい?」
「あ、どうぞ・・・」
ジョギ・・・ジョギ・・・ジョギ・・・。
はさみで髪を切る音が聞こえてくる。
とてもゆっくり聞こえてくる。
確かに、気持ちよさそうかもしれない。
トレイにのった、さっきまで頭から腰までぶら下がってた髪を見せられる。
綺麗に切りそろえられていた。
「綺麗な髪よね。持って帰る?」
「いえ」
貰えば良かったかもしれないけれど、なんか重い感じがした。
自分がどんな思いで髪を伸ばしていたかなんて知らないけれど。


「どうしようかな。・・・でも、また何で?」
「え!?」
少し動揺した。
「いや・・・好きな人がショートが好きだって言うから」
「思い切ったね!でも解かるよ、その気持ち」
そういうと、彼女は男性美容師の元へスタスタと近寄り私を指差し何やら話している。
しばらくして、男性美容師と共に戻ってきて私の髪を弄りながら二人は話し続けた。
「そうやなー、この辺ふわっとして、サッと流して・・・」
何が何やらさっぱりだ。
「彼のタイプって知ってる?」
男性美容師が話しかけてくる。
「え?!」
「芸能人とか」
「あぁ、ハセキョウとか言うてましたけど・・・」
またしばらく二人で私の髪を弄り倒した後、男性美容師は去っていった。
「とりあえず、こんな感じでどう?」
彼女に見せられたヘアカタログは、ハセキョウとは全く関係なかった。
「今ね、男の心をぐっと掴むあなたに似合う髪形考えてこれでと思ったんだけど」
「あ、じゃ、それで」
ハセキョウになれると思ったのが間違いだった。
私は全くハセキョウとは似ても似つかない。
でも、ま、可愛くなれればそれでいい。


ご機嫌な彼女は乗りに乗ってヘアカラーも勧めてきた。
「可愛くしてください」
それだけの思いで、3時間美容院に居座った。
裏鏡をあてられ、自分の後姿を確認する。
誰だかサッパリ解からない。
頭がフラフラする、頭が軽すぎる。
サッパリした。
なんか、心晴れ晴れって感じ。


店内の男性美容師が私の周りに集まってきて、お世辞のシャワーを浴びる。
本当に、褒め殺された、死ぬかと思った。
この美容院は中学から通っているが初めてのホストサービスだ。
精算を済ませ「ありがとうございました」の代わりに「頑張ってね」と送り出される。
この店、いつからこんなにフレンドリーになったのだろうか。


<私、結構変わったよ>
家に帰って、彼にメールを打った。
<何が?どんな風に?>
直ぐに返事が返ってきた。
<心がスッとした>
<良かったんじゃない>
<ね、私に興味ない?>
<何で?>
<良かったねって終わっちゃったし、それに着信あったら気にならない?>
<何やった?>
<教えない、言わない>
<言えよ!>
<知らない、忘れた>
<そんな筈ないやろ>
<もう心は晴れました>


彼はそれ以上聞いてこなかった。
もっと興味を持って欲しかった。
私から話をして聞き流されたくなかった。
今の彼に話したって、通りぬけるだけだもの。

彼は今何に夢中なの・・・。
私の嫉妬は何処へ向いているんだろう。
彼女?仕事?
仕事だったなら・・・いいな。


鏡と向き合った。
彼と次いつ会えるだろう。
早く、会いたい。
早く、褒められたい。
きっと彼は優しく髪を撫でてくれる。


鏡の前で笑ってみたら、少し悲しい顔をしていた。
可愛くなれる笑顔の練習をしよう。



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