2005-09-01

117.行かないで・・・

テーマ:彼女じゃない恋愛

ケーキを食べる為ファミレスの駐車場に車が止まりエンジンが切られた。
私はどうしたらいいのだろう。
「よし、せのりのおごりやからいっぱい食べようっと」
彼は無理やり楽しそうにしているように思えた。
彼の言葉は棒読みくさい。
「せのり」
彼が固まったままの私を呼ぶ。
「せのり」
何度も呼ぶその声は徐々に不安げに変わっていく。
「ケーキ、食べたくないんか?」
彼はずっと私に話しかけていた。
私は流れた涙を拭くタイミングを見つけられない。
ケーキなんてどうでもいい。
彼のため息が聞こえてくる。
「とりあえず、食べへんなら出よ」
そういうと彼は車を走らせた。
彼は多分、かなりイライラしていたと思う。
期待していたわけじゃないけれど、寧ろ放っておかれた方が今は気が楽なのだけれど、少しだけ残念に思った。
いつもなら、もう少し踏み込んでくれるじゃないって・・・。
あっさりしすぎてた。


車は徐々に見覚えのある場所へと向かってた。
次に止まった場所は、私の家の前。
これって帰れって事だよね。
何も言わずに車を降りようかとも考えた。
だけど、私は動けなかった。
これを優柔不断というのだろうか。
それとも他力本願。
何も言わない何もしない私は、彼の言動伺ってる。
近くてもだめ、ストライクど真ん中で打ち抜いて欲しいと。
私が解からない分、気付いて・・・。
「お前、さっきから何で泣いてんの?」
「泣いてないよ」
「じゃぁ、こっち向けよ」
私はハンドタオルで顔を隠して彼の方を向いた。
「ふぅ・・・何で泣いてんの?」
「・・・・」
「黙ってたら解からんやろ」
「・・・・」
「俺、何かしたか?」
「・・・・」
「黙って泣いて解決することか?何も言わんなら一人で泣けよ。俺が今ここに居る意味がない。俺はずっとお前が泣きやむのを待ってなあかんのか?泣き止んでから連絡くれるか」
「怖い・・・怒ってるん?」
「怒ってないよ・・・俺が悪いんやろ?言うて欲しい・・・何で泣いてんの?」
彼はやっぱり怒りながらそう言った。
「解からん・・・」
「解からんことないやろ」
「言葉にできひん」
そういうと、彼は私をギュッと抱きしめた。


この時私は少しパニックを起こしていた。
言葉にならない感情たちに体が支配されていた。
優しくされたいとか、抱きしめて欲しいとか、どうでもよかった。
何も考えられずにいた。
言葉にならない感情が求めてるものはもっと別なものだった。
涙が女の武器になるのは、嘘なきだけだ。
本当に泣いてしまったら、手がつけられない・・・。
本当に手にしたいものを手にするまで涙は止まらない。


私は抱きしめられる彼の腕が怖くなった。
男の人の匂いが怖くて怖くて堪らなかった。
なんで・・・こんなにも簡単に抱きしめられるの?


無意識に私は彼の腕をはらいのけ突き飛ばしていた。
優しく抱きしめる彼を突き飛ばしていた。
突き飛ばして、自分のした事少し後悔した。
彼を裏切ったようなそんな感覚。


体を丸め顔を隠し、彼の車の中で孤独を創りだした。
それでも彼の車から降りなかったのは何故かな。
側に居たいけれど、一人にして・・・そんな矛盾した思い。
ビクビクと震えながら、そこにとどまった。
彼は何を思うのだろう。
こんな女を目の前に何を思うのだろう。
彼女はこんなことしないかな・・・。


彼は、何度も泣いている理由を聞いてきた。
そして、力いっぱい私の手首を握って、私と向かい合おうとしてた。
私はそれを必死に拒んだ。
痛くて、怖くて、悲しくて、あげた言葉は全て違う感情に思えて、何だか解からなかった。


彼の力は、殴られるんじゃないかと思うくらい強かった。
たった1度も彼は殴る素振りなど見せなかったのだけど、そんな風に思えるほどの力だった。
このまま続けたら、殴られる・・・勝手にそう思って勝手に怖くなった。
ミシミシと骨がなるのが聞こえる。
外からじゃなく、内から聞こえてくる。


「っ痛」
我慢しきれずに漏れた声に、彼はパッと私の手首から手を離した。
手首は真っ赤だった。


想いは変わらない。
何も変わらないのだけど・・・。
私は、彼の顔をじっと見つめた。
彼が私から顔を背けていたからだろうか。


彼が私を見つめ返した目はとても怖く悲しい目だった。
「帰れ!さっさと車から降りろ」
怒鳴られた。
当然かもしれない。


震える体を自分で抱きしめた。
会いたくて会いたくて仕方なくて、そんな想いが私の中で空回る。
嬉しくて、寂しくて、感情的になってしまった自分が取った行動は涙。
何故、私は言葉に出来ないのだろう。
後悔だけが押し寄せる。
こんなことなら、無感情のままの私でもよかった。
素直?コントロールできない感情なんていらない。
私には感情熱く、人と付き合うことなんて出来ないのかもしれない。
何故、彼に心許してしまったんだろう。


伝えたい言葉を飲み込んで、私は車をおり、ゆっくりとドアを閉めた。
ご丁寧にも私の家の前。
車の後ろを通って、家に帰ろう。
ゆっくりゆっくり私は足を運んだ。
過呼吸気味な呼吸を整えながら、歩いた。
体は震えてる。
車の後ろまで回ると、足に力が入らずに私は座り込んでしまった。
力が抜けると共に、抑えてきたものの全ての力が抜けたように感じた。
解き放たれた感覚だった。
私は声を上げて泣いた、大きな大きな声で泣き叫んだ。
言葉にならない声をどうしても伝えたかったのかもしれない。
寂しいよーって、言葉にならない叫び。


多分、小さな町の夜、私の鳴き声は皆に聞こえていたと思う。
そんなのどうだっていい。
一番近くに居る人には聞こえないのだもの。
私の声は届かない。
ゆっくりと動き出す車が、私の声をより大きくさせた。


行かないで。
側にいてよ。
守ってくれるって言ったじゃん。
一人にしないで。


私、壊れてしまいそう・・・怖い。



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コメント

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4 ■> ToaCoさん

ほんま、すんません。
自己中行動はやってのけるくせに、イチイチ気にしぃなんです・・・。
そう言ってもらえると安心します。

そう!益々近づきますね、感覚。

こうやってコメントで意見もらうと、本編に書けなかった気付けなかったより近い感覚に気付けて面白いですよね。

3 ■読みたいブログ。

せのりさんのブログ。
いつもすごく気になっているのでw

レスの事は、きにしないでください☆

気が向いたときにきてもらえたら幸いです^^

大きなものに飲み込まれてしまうような感覚。。わかります~
なんか、すごい不安になるんですよね;自分を見失いそうで。。とか。

2 ■> ToaCoさん

毎記事コメントくれてありがとう。
前記事のレスもまだなのに・・・嬉しいです。

私は、どうだろうな・・・。
満足のような、そうでないような。
泣いてしまった自分の感情はやっぱり判りません。
でも、いつかは伝えたいという気持ちは常に持ち続けています。
だから、今はそれでいいのかもしれません。

抱きしめられることに慣れていないのかな・・・どうなんだろう。
大きなものに飲み込まれてしまうようなそんな感覚です。

1 ■言葉に出来ない寂しさ

何か言えって言われても、何も言葉は浮かばなくて、どういったらいいかもわからなくて、軽くパニックになること、私もよくあります。

私の彼は、そういう時、黙って私が泣き止むのを待っていてくれます。。

私は、今はそれで満足かな。。

でも、抱きしめられたとき、ちょっと怖いという感情。わかるなぁ・・
不安定なときって、そっとしておいてほしいですよね。

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