2005-05-26

19.彼からの告白

テーマ:彼女じゃない恋愛

「昨日は楽しかったね。途中、寝ちゃってごめんね。私、朝弱くて、いつ家に帰ってきたんだろうなんて思っちゃった。ホント、ごめん」

私は、彼に敢えて朝の記憶はないと強調して言った。

私は知らない、何も知らない。

キスなんて、彼女のいる彼とキスなんて、とんでもない。

彼がどう思ったかなんてことは解からない。

「楽しかったな。お前が寝てる間、何度襲うと思ったか」

本気なのか冗談なのか、彼の言葉に弄ばれる。

「うそ!あなたは紳士だもん」

この二人の記憶は消さなきゃいけない。

たとえ真実であろうとも、消さなきゃいけない事実なんだ。

私の言葉の意味が解かるよね・・・。

お願い、嘘をついてください。

「そうでもないよ。寝顔、可愛かったし」

彼は言うつもりなんだろうか。

彼がキスをしたことを打ち明けたら、私たちは一体どうなってしまうんだろう。

「彼女のいるあなたが、好きでもない子に手はださないよ」

私は彼の目にどのように映ったんだろう。

動揺を隠せない私は、彼にどんな風に伝わったんだろう。

「うそうそ、何もしてないよ」

彼がついた嘘は、少しだけ私を傷つけた。

でも、よかったんだ・・・そう、思いなおした。


彼のキスは、いつもと変わらない日常が何処かの国のおとぎ話へと変えていった。

そんな夢をみたこともあったな・・・と。


いつもと変わらない朝が来て、いつもと変わらない夜を越えてゆく。


今夜も同じ夜が始って、私は明日を迎える為に布団へ入った。

携帯アラームのセットをしようと携帯を手に取る。

まさにその瞬間、携帯は着信メロディーを響かせた。

彼からだった。

キスをなかったことにした私だけれど、彼への想いは変わらない。

嬉しかった。

だけど、その嬉しさは悟られちゃいけない。


「はぃ」

「もしもし、はぃじゃないやろ?」

「もしもし」

「何してた?」

「寝るトコやった」

「ちょっといいか?」

「うん」

「誤解せずに聞いて欲しいんやけどな」

「何?」

「俺、お前の事が好きや」

「ありがとう」

「いや、誤解せずにとは言ったけど、本気やねんけど」

「うーん・・・ありがとう」

「・・・・まぁいいや」

「で?」

「あぁ・・・もぅいいや。彼女がいる俺が何言うても仕方ないもんな。けど、伝えたいと思ったから」

「うん」

「俺、初めて一目惚れしてん。初めて会ったあの日に。ずっと、この気持ちがなんなのか解からんかった。今でも解からへん。彼女も勿論好きやし、別れる気もない。そやけど、俺はお前が好きや」

「私はどうしたらいいの?」

「そうやな・・・ごめん。返事なんてせんでえぇよ。伝えたかっただけやから」

「うん。多分、あなたは彼女を愛してると思うよ」

「あぁ、それは自分でしっかり考える。できれば傷つけたくないけど、正直でいたい」

「うん」

「ごめん、おやすみ」

「おやすみ」


彼からの突然の告白だった。

だけど、何かが違う。

彼女のいる彼からの告白。

付き合う気なんて全くなくて、私をどうしたいわけでもなくて、望みのない期待もない告白。

私って一体なんなんだろうな・・・。


彼に好きになってもらいたい。

そんな儚い夢はあっさり叶ってしまった。

だけど、彼はその次の夢を切り裂いていった。

彼の勝手な告白によって、私は好きでいることさえも失われてしまったのだろうか。

私はこの先、何を願えばいい。

何に向かって頑張ればいい。

私は、実質フラれたのかもしれないな。


ズルイ。


私だって、正直でいたい。

だけど、やっぱり私は、彼女がいるそんな彼を好きでいることに抵抗を感じてしまう。

迷惑でないのなら・・・ずっと好きでいさせて欲しい。

私も、何も望まないし期待もしないから。



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コメント

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2 ■> ammoniteさん

こんにちわ。全然関係ない話かもしれませんが、夜しかも寝る前程共鳴力が強いと思うのは私だけでしょうか。私もよく朝方近くまで誰かのブログを読み続けている事があります。目を止めて頂いて感謝です。そして、過去の記事へのコメントも感謝します。ブログの形式をとっているので記事にあったコメントを頂ける事が何より嬉しい事です。迷惑どころかありがたいです。最新記事と言っても既に過去の話です。最新記事も私にとっては過去ですが、5年も前のこの記事でさえ、リアルタイムで心に残る私の想いに変わりはありません。
そうです、そう言えたのならばきっとこんなに強くて頑丈な殻は出来なかっただろうななんて思います。私は殻の中にいます、そう言える人が彼だったのかもしれない。そう、だけどそう言えても殻から出る事はしなかった。そんな理由を見つけられたのもずっとずっと先の事です。外に出てみようかなそう思えた時、初めて自分が作り出した殻に守られていることに気付いた。それを言い当てた彼もまた分厚い殻の中に居た。殻を作り上げたものだけが知ることですよね…。

1 ■途中なのですが

今夜、寝る前に何の気なしにクリックしたこちらのブログに惹きつけられてこんな時間になってしまいました^^; 
最初からとても共鳴するものがありました。年齢も環境も随分違うのですが、せのりさんの記事はまるで自分の日記のように思えました。
全部読んでからコメントしようと思ったのですが、読んでいる私にとっては「今」がリアルタイムなわけで、追っかけコメントも面白いかと思い、ここからは過去記事に勝手に書かせていただきます。ご迷惑でしたらご遠慮なく削除してください。

強いですね。何がって殻が。バーテンダーさんの攻撃はかなりピンポイントで強力だと思うのに、それでも割れない殻。いいとか悪いとかではなく、すごいと思いました。
殻に守られているのだけれど、殻から出たい。でも、内側からは絶対に割れない。割ろうとする腕に力が入らない。何故ならそれに守られないで生きる方法を知らないから。そんなだった自分が被ります。
思い込みでお門違いなコメントだったらごめんなさい。

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