判明した「人魚のミイラ」の正体 | 大放言・毒を吐くブログ アメーバ版

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※造形物だったとは…

岡山県の寺院で秘蔵されていた「人魚のミイラ」と呼ばれる謎の一品、現代の最先端技術を駆使してその正体を突き止める調査が行われていた。その結果

「19世紀後半に作られた造形物」

と言う事が判明したと言う。これを根拠にした「人魚の存在」は否定されてしまうと言う結果になってしまった。科学的結論が出てスッキリした、と言うべきか?それとも夢を完膚なきまでに破壊する調査をする事に疑問を持つか?人それぞれではあるが、不肖筆者としては前者の立場である。


※古文書の内容は嘘だったと言う事か?

この「人魚のミイラ」、上半身はまるで人間の様な姿だが、下半身は明らかな魚類のそれであった。しかもご丁寧に「18世紀中頃に土佐沖で漁網にかかったもの」と記した古文書まで添付されていたと言う。所有している寺院がどういう経緯で取得したのかは謎のままだが、少なくともこの寺院では「秘物」として大切に保管していたそうだ。

その形状は我々が「人魚」と聞いて想像する姿そのものだと言え、これの存在を根拠に「人魚の実在」を本気で考える人が居ても不思議はない程だ。何せ我々人類は海洋の事について判っている、と胸を張って言える要素はほんの僅かな部分でしかないのが現状だ。我々の知らない海洋の何処かで「人魚」が実在するとしても不思議はない。

※悲報と言うべきか?それとも…?

そういう論争に決着を付けるべく最新技術を駆使して科学的調査を行う、と言う事自体は不肖筆者としては当然の成り行きだと思っている。勿論そこから導き出される結論に関わらず「秘宝」としての価値が暴落する訳ではないと思うし、それを崇めるのは個人の内心の問題であると言える。従って科学的見地に基づいた客観的な表現と解釈して頂ければ幸いである。

結論を言ってしまうと下半身は「ニベ科の魚」が使用されており、上半身は動物の骨や毛、歯、更に石膏、粘土、漆喰、綿、布、紙等を原料に作られた造形物であり、それらを合成して「それっぽく見せた」物だったのだと言う。まさに「ニベもない」結論だとも言えるのだが。

※ではどうやって作ったのか?

更に剥がれ落ちた鱗から19世紀後半に作成されたであろう事も判明した。つまり添付されていた古文書はその時点で内容が捏造されていたか、もしくは別の何かに添付されていた文書が何らかの理由で現物が失われたものの、何故か文書だけが残っており、それが流用されたかであろう。更に接続部分にはフグの皮が使用されており、パッと見では判らない程精巧な作りだったと言う。19世紀後半、と言う事は幕末から明治にかけて、と推測されるが、当時の技術でどの様にしてこの様な精巧な造形物を作り上げたのだろうか?その技術、と言うのもそれはそれで謎である。

※「あって欲しい」と言う形になっていればそう思い込むのは無理もない。

当然製作者が誰であれ、どういう経緯でこれを作ったのか?と言う謎も存在する。後世の人間に「人魚は存在する」と思わせたくて敢えて手間隙かけてこの様な精巧な造形物を作ったのだろうか?

かつて「ピルトダウン人」と呼ばれた物があった。「古代人の化石」として持ち込まれたが、その形状は当時考えられていた人類の進化の定説とは一線を画しており、その位置付けや誕生の経緯について学界を大いに悩ませていた。しかし、詳細な調査の結果、それは古代人とオランウータンの骨を加工して合成した捏造品だと判明、しかし真犯人は誰なのか未だに確定していないと言う。この様な精巧な造形物に研究の最先端を行く学者が悉く騙されたのは「ミッシング・リンク」と言う「発見されて欲しい」とその道の学者であれば誰もが内心思っている点を的確に突いていたからである。悪く言ってしまえばこのピルトダウン人を捏造した人物同様、後世の人間を騙す目的で製作した、と言う事になる。製作時期から100年近く前の時代に発見された、とする古文書をわざわざ添付している辺り、意図的なもの、と解釈出来る。しかも我々も心の何処かで「人魚が本当に存在していたら良いな」とでも言うべきロマンを持っている。そこで的確にそういう心理を読んでこういう物を作ったのであれば製作者はその製作技術だけでなく、人の心理を読む事に長けていたのだろう。

※何気に製作技術は高い。

勿論そういう悪意ではなく、「単に自分の技術を後世に伝えたかった」と言う純粋な目的で製作したと考える事も出来る。調査ではミイラを保存する為にどんな技術を用いたのか?と言う点を解明する事も目的の一つだったそうだが、作成時に保存用の薬品などは使われていなかった、と言う調査結果だったと言う。それで100年以上保存する事が可能なのだから、それはそれで非常に高い技術が使用されていた、と言う裏返しでもある。同様の物を現代技術を駆使して製作するとすればどれ程の手間がかかるのか?また、当時の技術でどの様に製作したのか?など、興味深い点もまだある。それらが解明される事はあるのだろうか?

また、同様の「人魚のミイラ」はこの一体ではなく、確認されているだけでも国内に10体以上存在していると言う。その中でも奄美大島にあるそれは既に「精巧に作られた人工物」と判明しているらしい。であればこれが同一人物または組織によるものなのか?と言う疑問も当然出てくる。その物自体の正体は今回判ったが、造形物であるならその製作背景などまだまだ解明されるべき謎もあると言える。それらが判明する事はあるのだろうか?この「人魚のミイラ」にまつわる謎はまだ尽きない。