3.11 | 片岡千次郎 憚りながら…

片岡千次郎 憚りながら…

憚りながら…、平成26年元旦よりブログ始めました!
どれだけ更新出来るかわかりませんが、お芝居のこと、プライベートのことなど色々書かせていただきますー!
よろしくお願い致します!

五年前の今ごろ、私は南座の花形歌舞伎に出演しておりました。

通し狂言で昼夜二回、女方やったり、立回りでトンボ返ったり…慌ただしい毎日でした。

昼一回公演のこの日、
私の母の誕生日でもあるこの日でした。

立回りの出番前、南座一階ロビーで、出番直前、準備体操をしていたところ、
グラグラ…、ロビーの灯り(シャンデリア?)もグラグラ…

あれ?えらい長いなぁ…

なんて感じつつ、ロビーの案内係さんから、関東の方がきついみたいとお聞きしましたが、きっかけがきたので、舞台へ。

出番終わって楽屋に戻ったら、ただならぬ空気で…

テレビを見ると、お台場辺りで黒い煙が上がっていて…

東京にいる皆は大丈夫かな?
と、すぐに国立劇場に出演していた同期に電話したところ、

奇跡的にも(こういうときは電話混線してつながりにくくなりますが、)すぐつながり、
「やばい、めっちゃこわかった、ありえへん、こんなんはじめてや」など騒然とした様子でしたが、
とりあえず、皆が無事な様子には安堵しました。

ですが、その後に東日本のいたるところでかなりの被害が出ていることを知りました。

その後、私はちょっと私用があり、大津の方へ車で出掛けましたが、
その出掛けた先でも、テレビで東北の被害状況の拡大を見て、言葉もありませんでした。

そして、その帰り道、高速道路で、被災地に向かうであろう、数十台、いや…、もっともっと、数百台をこえる消防車、救急車の長い長い列とすれ違いました。
あのときのものものしい雰囲気は忘れられません…。

その後は師匠や東京にいる皆にもなかなか連絡がとれず…

明くる朝には、連絡はとれましたが、それぞれに色々大変だった様子で

南座もその後の公演について、どうするか、色々話が出てましたが、
少し内容の変更をし、
公演は変わらず続行しました。

国立劇場は途中で中止になりました。



阪神大震災の時は中学二年生。
そして、五年前の東日本大震災。

直接的な被害は私自身にはなかったものの、感じた恐怖は今もはっきり覚えています…

ですが、被災された皆様のことを思うと…

ですが、ここ数日間の震災関連のテレビを見ていると、被災地の皆様が笑顔で前向きに過ごされている姿に、逆に私が元気付けられるようでした。

まだまだ手付かずなところ、

こんなにも整ってきているのだなと思うところ、
色々と見ました。

今このときも、復興にむけて尽力なさっている方が沢山いらっしゃると思います。

天災は恐ろしい、ですが、
人の力も凄いなぁと!
そして、日本人って温かいなぁと!

自分も何か!とも思いますが、無力な自分にむなしさも感じます。

今自分にできることは、一人の日本人として、一人の歌舞伎役者として、精進を重ね、日本の伝統を守りながら、日本の文化をより多くの方々に親しんで頂き、楽しんで頂きたい!
それが、皆々様の活力ともなれば、この上の喜びはございません。
お芝居見て、また明日から頑張ろう!って思って頂きたい!
そんな、お客様の心に深く、熱く響くお芝居が出来るように、精進を重ねたいと思います。


あのときの記憶、今の想いを忘れないため、ここに書き記させて頂きました。