中東和平の行方/シャロン路線を掲げ続けよ | 世界日報サポートセンター
2006年01月08日 12時07分54秒

中東和平の行方/シャロン路線を掲げ続けよ

テーマ:今日の社説


 昨年夏のガザ地区入植地撤去で、イスラエルとパレスチナの共存に一つの道筋をつけたシャロン・イスラエル首相が、脳出血で倒れた。これにより、パレスチナ情勢は再び不安定化するのではないかとの見方も出ている。しかし、進展し始めた和平への道を絶ってはならない。


首相代行の路線が重要


 右派政党リクードなどイスラエルの右派の間では、ヨルダン川西岸地区、ガザ地区など、すべての占領地はイスラエル領と主張する「大イスラエル主義」が受け入れられている。


 シャロン首相自身も、占領地のパレスチナ人の国外追放を示唆するなど、この大イスラエル主義を支持していた。対パレスチナ強硬派で知られるシャロン首相が、大きく舵(かじ)を切ったのは一昨年あたりだろう。昨年初めには、ガザ地区からの一方的撤退を表明。パレスチナ分離策の一環として西岸で「分離壁」を建設し、これを受け、自爆テロが大幅に減少した。


 ガザ撤退は当初、実現不可能とみられていた。国内の右派、宗教者、入植者らからの反発も強かった。一時は、首相暗殺の可能性も指摘されたほどだ。


 しかし、こうした障害を乗り越えて、昨年九月に撤退を完了させたのは、シャロン首相の強力な指導力によるところが大きい。


 シャロン首相の「転向」の原因は、長期化するパレスチナとの紛争に伴う予算、人命の損失などの大きなコストだ。占領地を手放してでも、パレスチナを切り離すことがイスラエルの国益にかなうとの判断があったようだ。また、国連、米国などがパレスチナ独立への支持を明確にしたことがあろう。国連、米、ロシア、欧州連合(EU)が和平交渉のたたき台として新和平案「ロードマップ(行程表)」を作成したことも大きい。


 シャロン首相は、パレスチナとの共存に反対するリクードに見切りをつけ、新中道政党カディマを旗揚げしたばかりだ。三月に実施される繰り上げ総選挙では、左右二大政党を抑えて第一党に躍り出ることが確実とみられている。


 五日に首相の重体が伝えられた直後に実施された世論調査でも、依然としてカディマへの支持は強く、四十議席前後を獲得し、第一党になるとの結果が出た。それだけ、シャロン首相が敷いた和平路線に対するイスラエル国民の期待が大きいということだろう。


 だが、新党への支持が今後も続く保証はない。シャロン首相が政治の舞台から姿を消すことで、カディマは指導者を失い、空中分解するのではないかとの指摘も出ている。


 首相の入院を受け、首相の信任の厚いオルメルト副首相が首相代行に就任した。カディマは、同首相代行が後継党首に納まるとみられ、シャロン路線をいかに引き継ぎ、国民の支持を集めるかにパレスチナ和平は懸かってこよう。


 パレスチナ支援を積極的に進め、東京でのシャロン首相、アッバス・パレスチナ自治政府議長との三者会談を目指していた日本政府は、シャロン首相危篤の報を受けた際、戸惑いを隠せなかった。

 米国でも、和平の機運が後退することを懸念しており、ブッシュ大統領の中東政策が大きくつまずくことになりかねない。



明確なシグナル送り続けよ


 イスラエル政府の体制立て直しまでには時間がかかることが予測される。しかし、この和平の機運をしぼませることのないよう、日米はじめ国際社会は、パレスチナ和平推進への明確なシグナルを送り続けるべきだ。



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