気仙沼のミステリアス陶芸家 斎藤乾一氏気仙沼の土を使って、登り窯で焼いた斎藤乾一さんの器は気仙沼の青い海の色をしています。おおざっぱな第一印象は、小洒落たトレンディさとは縁遠いけど、一度使い始めると、日用に欠かせない優れものに大変身。我が家にある斎藤さんのブルーの片口は、トマトや漬物などを盛る時には、必ず登場という不思議な器です。ぐっとゆがんだ口のかたちといい、鮮かな色彩といい、力強く、命があるような器に反応した赤い果物、緑の野菜のなんと美味しそうなこと。斎藤さんは、器を作るだけでなく、絵や詩も良くします。自然や人間に対する温かな心が読み込まれた、それら作品も大好きです。毎年春、窯の後ろの林の中で林間展を催されますが、お尋ねした時、林間に白髪をなびかせて佇む斎藤さんの姿は、「野のアーティスト」ともお呼びしたらよい風情でした。「アボガドに口はないのか風が吹く。アボガドに友は無いのか鳥が鳴く‥」アボガドの詩も好きだ。自作の花器とともに林間にたたずむ姿は仙人のよう。ここで春には林間展をやる。