ヤマイズミアツシの阿佐ヶ谷気分

ヤマイズミアツシの阿佐ヶ谷気分

中央線沿線で活動する役者の日常。
劇団「八幡山ほしがりシスターズ」で活動中
ホームページ→http://yamaism.boy.jp
Twitter@odakyugirls

黒田勇樹監督作品「恐怖!セミ男」セミ男役
原宿シアターカプセルにて2015.9/6-8上映¥1,000円
映画予告↓

はじめまして。

テーマ:

サブカルとは何ぞや?

何者にもなれない人間の最後の駆け込み寺。

メインカルチャーとは対をなす存在?

 

十代の頃の記憶。

少年犯罪と校内暴力ど真ん中の世代だった。

毎日、鬱屈を抱えて生きていたので虚無的な物に惹かれた。

添加物たっぷりのスナック菓子やカップラーメンばかり食べているからキレやすい十代が増えたとマスコミは連日報道した。

「キレる十代」

尖った眼をしたクラスメイトが押し込められた教室で体育教師と素行不良な生徒が殴り合う。

宙を舞う教科書。

授業中にガラス割れる音。

学生服で煙草を吸う子供を注意できない大人。

窓ガラス越しに見える風景は四角。

絶望の共有くらいしかできないよね。

 

頑張っても、無駄努力しても報われない風潮が蔓延る中での

反抗の手段として人生を能動的に生きる。

自殺完全マニュアルがベストセラー。

新世紀エヴァンゲリオンの碇シンジの決断。

椎名林檎の歌詞。

ドラゴンクエストに出て来る、決して諦めない若者。

今を一瞬、一瞬を生きる。

学校では教えてくれない。

サブカルが教えてくれたこと。


テーマ:

◯シーン1

 

「この度は金獅子賞ノミネートおめでとうございます」

と私に向かいあっている四十代半ばのインタビューアーの男が言った。

「ホワイトカカオを原料にしたチョコレートが受賞に繋がったのでしょうか?」

「パティシエの腕による功績が大きいと思います」

「しかし、これだけのホワイトカカオを手に入れるのは大変な苦労があっと聞きましたが」

「ええ。ホワイトカカオは南米の奥のある部族の山でしか取れません、この山はとても神聖な山で入るのにとても苦労しました」

「素晴らしい!ぜひそのお話を聞かせて下さい」

男は椅子から身を乗り出し頬は高揚としている。

 

「ええ。いいですよ。あれは私がまだ日本でサラリーマンをしていた時の事です。その当時の私はキャバクラにハマっていまして、一人の女性に熱を上げていました。彼女の名前は月姫。もちろん源氏名ですけどね…彼女は流れるように美しい黒髪をしていて白い肌が妖艶な雰囲気を醸し出していました。私は彼女の気を引く為に店に通ったり、プレゼントを贈ったりしましたが、全然相手にされませんでした。ある日、彼女は私にホワイトカカオで作ったチョコレートが食べたいと言い、そのチョコレートを食べさせてくれたら付き合ってもいいと言いました。私は喜んでホワイトカカオを探す旅に出ました。

 ホワイトカカオは南米のペルーの奥地の山でしか取れないとても貴重な物です。中身を割ると紫色の果肉がぎっしりと詰まっています。私はまず現地の住人達の信頼を得る事から実行しました。一緒に井戸を掘るのを手伝ったり、屋根を直したり食卓を囲むうちに次第に仲良くなっていきました。今では彼らは掛け替えのないパートナーです。彼らの信頼を得ることができ、ようやくホワイトカカオの生えている山に立ち入る事を許されました。

 ホワイトカカオを手にいれた私は日本に帰国し月姫の居る店に向かいましたが、すでにその場所は空き家になっており月姫とも連絡が取れませんでした。

途方にくれた私はホワイトカカオを抱えてあるチョコレート店を訪ねました。私はオーナーに此のカカオでチョコレートを作って欲しいと頼みました。オーナーは私の無茶な頼みに応えてくれました。ホワイトカカオで作られたチョコレートを口にすると今までに感じた事のない衝撃を受け、月姫と過ごした日々を鮮明に思い出す事ができました。

 それが縁で今もオーナーは、私にホワイトカカオの注文をしてくれます。もし私があの時、彼女に出会わなければ今の私はないでしょうね」

インタビューアーの男は私の顔をじっと眺めている。

「…今でも彼女の事が好きですか?」

「ええ。できる事なら彼女に会ってお礼を言いたいですね」

「本日は貴重なお話をありがとうございました」

 


テーマ:

◯ カフェ「マジカルフルーツ」・店内

 

N「旬のフルーツを店長の気分で提供するこの店は、今日も訳ありな客が訪ねる」

 カフェのカウンターで頬づえをつき店長と話す慎二。

 店には店長と慎二しかいない。

慎二「店長、今月十二万もゲームに課金しちゃったよ」

店長「あら。何でそんなに使ったの?」

慎二「昔、好きだったアニメとゲームがコラボしてて主人公のキャラはSSランクのガチャ。いわゆる星六個のスーパーレアのガチャなんだけど、それ引くのお金使っちゃった…」

店長「…バカじゃないの?」

慎二「そうだよね…来月の家賃払えるかなー」

店長「払えるの?」

慎二「今月は休みなしで働かないといけないから、辛い!」

店長「頑張って〜」

慎二「軽いっ。ちゃんと返済できるか不安で不安でしょうがなくて夜、最近眠れないんだけど。何とかして」

店長「そんなドラえもんじゃないんだからさ…」

慎二「だめ?」

店長「のび太くんはしょうがないな」

慎二「…全然似てないよ」

 店の奥に行き小口のダンボールを持ってくる店長。

 ダンボールの中にはさくらんぼが入っている。

慎二「さくらんぼ?」

店長「そう。さくらんぼ食べるとメラトニンて言う催眠効果があるみたい。詳しくはグーグルで調べて」

 さくらんぼを手にとる慎二。

慎二「酸っぱそう」

店長「酸っぱいさくらんぼの方が効くみたいだよ」

 さくらんぼをダンボールに戻す慎二。

慎二「…すっぱいの苦手」

店長「面倒くさいな」

 さくらんぼをミキサーに入れスイッチを押す店長。

 店内にミキサーの音が響き、息を飲む慎二。

慎二M「ソシャゲなんか運営がサービス終了したら終わりなのに、なんであんなに課金したんだろう。俺って本当バカだよな」

店長「はい」

 さくらんぼジュースを慎二に渡す店長。

慎二「ありがとう」

店長「飲んでみて」

 恐る恐る飲む慎二。

慎二「まろやか!」

店長「でしょ。蜂蜜いれてみた」

慎二「飲みやすい」

店長「今夜はぐっすり眠れるね」

 さくらんぼジュースを飲み干す慎二。

慎二「働きたくないよ」

 楽しげに笑う店長。

N「カフェ・マジカルフルーツは今日も常連客の笑顔で溢れる」

 

つづく

 

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