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テーマ:

Tomoki Takacho
SPEED SPECTER / ANOTHER MASH UP feat. BLACK JACK
FUCKTORY REFUSE; February 7, 2016

先月、開催されたSPEED SPECTER / ANOTHER MASH UP feat. BLACK JACK
BLACK JACKは2012年からスタートしたLoud Style DesignSEMBLのコラボレーション・レーベル。

SPEED SPECTERとはLoud Style Designのクリエイター高蝶智樹のライブ・クリエイション・ツアー。
各地を旅し、ライブで作品を制作する。

そのツアーの一環として2月7日にFUCKTORY REFUSEにて開催されたSPEED SPECTER / ANOTHER MASH UP feat. BLACK JACK。
ANOTHER MASH UPは通常のSPEED SPECTERと異なり、フューチャーされたブランドのコンセプトやテイストを解釈して制作する。

今回のSPEED SPECTER / ANOTHER MASH UP feat. BLACK JACKでは方向性を示すワンメイクの制作が行われた。

本来であれば、新作に合わせた制作がされる予定だったのだが、
僕らがBLACK JACKの新作を用意できなかった為に、
予告編も兼ねたエキシビジョンとなった。

高蝶のクリエイション、BLACK JACKの新作を楽しみにしてお越しいただいた皆様、申し訳ございませんでした。

新作が間に合わない事情がありながら、今回のような開催となってしまったのは
私、MAKIOの責任です。
事前に相談しておけば、もしかしたら中止ではなく、違った形でのクリエイションというのも、可能だったと思われます。
ご来場いただいた皆様と関係者にご迷惑をかけてしまい申し訳ございません。



僕はエキシビジョン前日になるまで連絡をとらなかった。

そして、前日、中止ではなく、新作が出来上がっていない旨を伝えた。
高蝶はそれを受け止め、がっかりした感じだった。
前日の連絡、それでも、高蝶はもしかしたらという期待を持ってくれていたと思う。

翌日、会場であるFUCKTORY REFUSEに着くと、高蝶に「今日は緩くやるから」と言われた。
「食べますか?」と勧められたので、
高蝶のカレーをいただく。旨い。
どのような事情であれ、心遣いを忘れない。


キーマカレー風カレー

エキシビジョンの為、久しぶりにお客様にも開放されたFUCKTORY REFUSE。
現在はまだ、改装途中との事。


高蝶がメタリカのベーシスト、ロバート・トゥルージロ(Ex.スイサイダル・テンデンシーズ)のインタビューの際に使用した斧も。

BLACK JACKのMEND PIECE ONE MAKE-TMEND PIECE-HOODIEMEND PIECE-STAND COLORを除くアパレル・アイテム。
うんざりして一時期(SEMBLでは)やめていた黒だったが、BLACK JACKではそれがメイン。というか黒しかない。(高蝶モデルのMEND PIECE SHIRTSのみ例外)
カットソーもデニムも古着を使用しているので、パーツ毎の黒の表情が異なる。
黒の豊かさ、黒と一口で言っても単純ではない。
心象。



13時にオープンし、一人、二人と、お客さんが到着するも全く始まる気配のないクリエイション。
なぜ今日はこんな緩いのか?の説明がされた時には既に16時前だった。

説明をする事で自らが置かれている状況を再認識した高蝶は、こんな状況でクリエイションをやらないといけないのか?という気持ちが強くなったと言う。

そもそも新作が間に合わなかったのは僕なのに、
高蝶のエキシビジョンとはいえ、状況の尻拭いも自分次第とは割に合わないと思うのは当然の事。

また、高蝶の胸の裡で、当分アクセサリーとしてのシルバーは制作しないとしていたBLACK JACKに於いて、パーツをつけるべき本体がないのは実際問題、制作が不可能という状況だった。
(BLACK JACKとしての単体アクセサリーは2014年1月12日のライヒスマルクをベースにしたArmed And Readyが最初で最期という事になる。)

BLACK JACK : THE TERRITORY : 2nd After
http://ameblo.jp/sembl/entry-11876282590.html

昨年、2015年11月に高蝶と打合せ、そこで「セットアップが作りたい」との僕の意思を受け、十分に準備をしてきた高蝶が怒髪天にならなかったのはこちらでどうしようもない事情が出来てしまった為。
申し訳ない。
今となってはどうしようもないが、他にやりようというのはあったはず。

日帰りで遠方から来たお客さんが痺れを切らし、(当然だが、帰ったお客さんも)
何とかお願いしますと懇願して、やっとの事、高蝶が作業を始めてくれた。

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制作したのは今後のBLACK JACKの予告編的なアイテム。
曰く「ファスナーの引き手」との事。



古着、つまりは元の持ち主にとって価値のないものとして認定された洋服を切り刻み、継接ぎによってつくられるBLACK JACKをイメージして作られたソレはベースになるシルバーパーツを金箔よろしく平たくしたシルバーの布で包み、破り(削り)を入れた「物」としか表現できない物。

以前にLAの展示会、INSPIRATION Vol.05 -But I like it!-に参加した際、出店していた古着屋のジャンクコーナーを見て二人とも気になっていたハンマーの形をしたペンダント・トップ(?)。
「面白いね」
「単に物だっていうのがいい」
高蝶がこの手のものが好きなのは意外だったというか、そこでまた彼のピースが僕の中で埋まった感じがあって、印象的な出来事だった。

今回の作品のベースもドリルとか工業用品のパーツを模したまさに「物」。
既製品でない既製品のパーツというのもFAKEのFAKEという面白さを感じる。

僕にとって役に立たないというのは洋服にも通じる大切な部分。

洋服が現実的、実質的な部分しかなければ、間違いなく洋服に興味なんか持たなかっただろう。
そこに自分自身が何かを自由に見出せるからこそ洋服は面白いと思ってる。

(高蝶のやり場のない怒りにより)制作には至らなかったが、ボタンの制作予告もあり、今後、BLACK JACKの制作への手がかりを貰った。

実は11月の時点での打ち合わせを受けて、僕の予想では、BLACK JACKはもっとただの「物」になると思っていた。
ただの「物」という表現は分かりづらいかもしれないけど、SPEED SPECTER / BACK TO THE PRIMITIVE -THE TERRITORY-で高蝶が制作したような「物」としか表現できない物の事だ。

BACK TO THE PRIMITIVE -THE TERRITORY- Jan 12/15'
http://ameblo.jp/sembl/entry-11976713201.html

何かを見出すのが面白さだとしても、ただの「物」は、正直、稀にしか価値を見出せる人がいないマイノリティで、更にそれにお金を出すとなるとマイノリティの中のマイノリティ、マイノリティのスペシャリスト。
故に商売には結びつきづらく、行き場のないスペシャル・クリエイションというわけだ。
しかし、通常のライン(高蝶ならLoud Style Design、BEAST HATEJU-ZO等)でないBLACK JACKなら…という思いを感じていたのだ。
ところが、実際はそれとは違うノリの「物」へのアプローチ。
うーむ、これもまた実に高蝶らしい。(どちらだったとしても高蝶らしいのだが)

正直、僕はただの「物」は好きなクチで、その思いは未だに強くあるのだが、「物」も何分、好きなクチでして。
ハンマー型の金属ボタンがついた古着なんか見つけるとテンション上がる僕としては「物」、楽しみです。

クロージングは(高蝶のやり場のないストレスにより)罰ゲーム(詳しくはSPEED SPECTERのブログをご覧ください。)となり、お客さんを含め人々にやり場のない、モヤモヤを与えたエキシビジョンは終了したのでした...

申し訳ございません。(MAKIO)



SPEED SPECTERのブログで今回の件に関して高蝶のコメントがございますので、そちらも合わせてお読みください。

仕込みもしないとね
http://speedspecter.jugem.jp/?eid=4647

きょーは何だろな………
http://speedspecter.jugem.jp/?eid=4649

BLACK JACKに於けるクリエイション・その1
http://speedspecter.jugem.jp/?eid=4650

BLACK JACKに於けるクリエイション・その2
http://speedspecter.jugem.jp/?eid=4651

BLACK JACKに於けるクリエイション・その3
http://speedspecter.jugem.jp/?eid=4652

BLACK JACKに於けるクリエイション・その4
http://speedspecter.jugem.jp/?eid=4653

BLACK JACKに於けるクリエイション・その5
http://speedspecter.jugem.jp/?eid=4654



HEATブログで今回の「物」についての紹介がございます。
僕もですが、Anjoもとても気に入っていた今回の作品、シルバーの世界ではどのように映るのか、感想等お聞きしたいものです。

ANOTHER MASH UP @ FUCKTORY REFUSE
http://www.h-e-a-t.net/news/event/7848/

テーマ:

Tomoki Takacho
SPEED SPECTER / ANOTHER MASH UP feat. BLACK JACK
FUCKTORY REFUSE; February 7, 2016

明日、2/7日曜日に東京・森下にあるFUCKTORY REFUSEにて
Loud Style Designのクリエイター高蝶智樹のエキシビジョンSPEED SPECTER / ANOTHER MASH UPBLACK JACKをフューチャーして開催されます。

SPEED SPECTER / ANOTHER MASH UP feat. BLACK JACK
FUCKTORY REFUSE

東京都江東区新大橋2-12-5
2016/02/07
13:00 START
入場無料

関連サイト
SPEED SPECTER
http://www.speedspecter.com/

SPEED SPECTER SCHEDULE
http://www.speedspecter.com/schedule.html

Loud Style Design
http://www.loudstyledesign.com/

BLACK JACKは2012年からスタートしたLoud Style DesignとSEMBLのコラボレーション・レーベル。
アイテムはシーズンレスかつ不定期にリリースされる。

これまでに、
制作過程をファンタジックに表現したフォトストーリー付ファイヤーマン・ブーツ、
ハンドプリントニット、
仕上げにハンドペイントを施した手縫いT、
一着制作するのに一週間以上を要するパーカー&スタンドカラースウェット、
ユーズドシャツを再構築したドレスシャツ、
ユーズドブラックデニムを生地として利用したセーラーパンツ、
エクスクルーシブTシャツを組み合わせたスペシャル・エディションT等
高蝶とSEMBLのセッションによって生み出されるエッジなアイテムは必見です。

BLACK JACKのシルバーアクセサリーは主に釦やファスナーの引き手といったパーツとして制作されていますが、
2015年にはSPEED SPECTER / THE TERRITORYに於いて
オールドコインを使用したホーボー・ニッケルのアイデアをミックス・アップしたレアなペンダント・トップがリリースされた。

果たして今回はどのようなアイテムが制作されるのか?

ご来場お待ちしております。

また、今回はSPEED SPECTER / ANOTHER MASH UPの開催を受けて、
SEMBL STOREにてSEMBL for ANOTHER MASH UPのコンセプトでONE MAKE MA1がリリース予定です。

テーマ:

Tomoki Takacho / Anjo
SPEED SPECTER / ANOTHER MASH UP
SEMBL STORE; January 17, 2016

SPEED SPECTERとはLoud Style Designのクリエイター高蝶智樹のライブ・クリエイション・ツアー。
各地を旅しつつライブで彫金し、作品を制作する。
高蝶はワックスと呼ばれる蝋で原型を制作するのではなく、直接シルバーの塊を彫金する非常に珍しいスタイルで制作しています。
その為、シルバージュエリーをライブ制作する事が可能、その高度な技術とスタイルは他に類を見ない。
日本国内だけでなく、アメリカにも単身乗り込み、現在では海外のコンベンションで招待ブースを用意される等、訪米を心待ちにする国外のファンも多い。

そのツアーの一環として1月17日にSEMBL STOREにて開催されたSPEED SPECTER / ANOTHER MASH UP
レギュラーのSPEED SPECTERとは異なり、
SEMBLだけでなく、高蝶が親交のあるブランドをピックアップ、それぞれのブランドのコンセプト/テイストを彼なりに解釈し、制作するのがおそらくANOTHER MASH UPの趣旨。

Loud Style Design
http://www.loudstyledesign.com/

SPEED SPECTER
http://www.speedspecter.com/

さて、今回のエキシビジョンの話を書く前に、以前SEMBL STOREにて開催されたSPEED SPECTERの話を書きたいと思う。

2014年に清澄白河のアートスペースMitsumeにて開催したアート・エキシビジョンFASHION PRIMITIVEで、SEMBLはファッションのジャンルの一つであるプリミティブ・ファッションではなく、ファッションというもの自体のプリミティブ化をコンセプトとした。
それは、「知らないで作る」、「あるものから作る」といった、デザインに対する考えだけでなく、
生産面で工業生産を捨て、自らの手で縫うという事等、そういった行為自体に意義を見出しているという宣言だった。

その翌年の2015年、SEMBL STOREで開催されたSPEED SPECTER / BACK TO THE PRIMITIVE -THE TERRITORY-において、合作という形でAnjoがSPEED SPECTERへ参加する。



Anjoのテーマが先のFASHION PRIMITIVEに基づいたBACK TO THE PRIMITIVEという原始回帰であるのに対し、高蝶のテーマはGO TO OUTER SPACEと僕が呼称した、宇宙的な解釈、未来志向だった。

つまり、二人のテーマは真逆の方向性だった訳だ。

ところが、Anjoと高蝶、2つの作品を合わせ完成した作品は、相反するテーマを持ちながら、不思議なマッチングを見せた。
僕はぼんやりとその根拠をスタンリー・キューブリック2001年宇宙の旅での猿とスターチャイルドの存在に重ねた。


Tomoki Takacho / Anjo
Unknown
SEMBL STORE; 2015

2001年宇宙の旅で映像化された未来がもはやレトロに見える現在なら尚更の事。
原始的、未来的という事より、現在から乖離しているか?いないか?が重要に思えてくる。

原始と未来、ループするイメージ、実際、どちらが過去で、どちらが未来なのか…

原始と未来、二つは現在からの乖離である事は変わりなく、僕にはどちらも原始とも未来とも捉えられる。

高蝶と出会ったばかりの頃、よく話したテーマを思い出す。

100と-(マイナス)100は同じ。

原始と未来。
神と悪魔。
最高と最低。

最高に素晴らしいものを目指すのと最低を目指すのは同じエネルギーが必要。

乖離。

また、不思議なマッチングは物を通して様々な事を感じるという事をあらためて認識させてくれた。
だから物は、そして、何かを作るのは面白い。

そんな極北志向な制作を経て、再びAnjoが参加する今回のSPEED SPECTER。
二人は何処へ向かうのか?
僕はそんな期待を持ちつつ、今回のエキシビジョンを観戦した。


まずは賄いのご紹介…
高蝶が作ってくれたカレーポタージュ。



まろやかな味わいで旨い。
高蝶のお客さんへの心遣いが伝わる一品。
今回はこちらがどうにも動けぬ事情もあり、僕らにとっても有難かった。

さて、現在も継続中のエキシビジョン、100tと同じく、ほぼいつも通りのセッティングのAnjoと丸太を持ち込んだ高蝶。
丸太はスタンプをハンマーで叩き込む際の強固な土台となる。



デヴィッド・ボウイが1/10に亡くなったので、毎度、勢い任せに描くポスターは今回はコレ。



ボウイは僕が音楽にはまるきっかけになったアーティストの一人。
今でも覚えているが、初めて買ったアナログレコードはジギー・スターダストで、東寺の蚤の市で確か1000円だった。ヴィンテージ価値のない小汚い日本盤で、今から考えると高いが、レコ屋に足を踏み入れた事もなかった当時の僕は蚤の市のお祭り気分に煽られて購入したのだった。
なぜ、そのアルバムだったのか?というのは中学生の時に好きだったBOØWYの布袋さんが雑誌で勧めていたのを覚えていたのと、それ以上にCD時代にアナログレコードを買うってのが、何か特別なものに思えたからだ。
そんな理由だから、プレイヤーは家にあったのに、特に聞きもせず放置していた。

その後、ボウイにハマったのは、ハンキー・ドリーの輸入盤CDを手に入れてからで、素晴らしく繊細でポップな楽曲もさることながら、それよりも裏ジャケのボウイの長髪と彼の履いていた女性もの(?)のワイドパンツに僕は釘付けになった。
大変だ、大人になる前にはやるべき事が沢山あるぞ!と変に興奮したもんだ。

ハンキー・ドリーに収められていたLife On Mars?は、今までの人生で一番涙を流した曲で、当時の僕の現実逃避の為のサウンド・トラックだった。(逃避とはいえ、火星の生活に涙するとは思いもよらなかったが)


David Bowie
Hunky Dory
RCA; 1971


David Bowie
Life On Mars?
RCA; 1971

ロバート・スミスザ・キュアー)の発言「ボウイなんて『ロウ』を出してすぐに死んじまえばよかったんだ」を信じ、(でも、ヒーローズを聞いてスミスは粋がっているだけだと分かったけど。)決してティン・マシーンには触れない正統派だった僕には90年代のボウイはスター像を獲得しようとしているハリウッドの住人みたく、権威的で、空虚で、インディ・マインドからはあまりに遠く、馴染めなかった。(もちろん今はそうでもない、遂にティン・マシーンも一枚聞いたし。)
その後、闘病している事も知らず、忘れかけた頃に発売されたザ・ネクスト・デイは本当にビビった。


David Bowie
The Next Day
ISO; 2013

まさか、過去の焼き増しや、懐かしさではなく、2013年の音楽として訴えかけてくるなんて!!!

おい、お前、この音楽は特別だぞ、その音楽はそう呼びかけていた。

ザ・ネクスト・デイは一人の人間の生の証としても最高のものだと僕は思う。

そして、遺作となったブラックスターも素晴らしい出来だった。
ここからまた…という雰囲気の矢先の死。
ケンドリック・ラマートゥ・ピンプ・ア・バタフライを聞きながらレコーディングしていたというのも、ボウイが現在の音楽に向き合っていた事がわかる実にいいエピソードだ。)


David Bowie
Blackstar
Columbia / RCA / ISO; 2016

友人じゃないし、涙は出なかった。(電話で聞いた時はえっ!って声あげちゃったけど)
亡くなって、あぁこれで新しい曲は聞けないのか、と思った。

当然、エキシビジョンのBGMもボウイ祭りとなるのが話の流れなんだろうが、
もともと2015年のメタルのアルバムを幾つかと決めていた。
なので、どれをセレクトするか悩んでいた。
そんな時、サンフランシスコのグループ、デフヘヴンニュー・バミューダに収録されたBrought to the Waterの一節が飛び込んできた、

A multiverse of fuchsia And violet surrenders to blackness now
(フクシャと紫の多元性は黒に屈服する)

正に高蝶にぴったりだと(勝手に)思った。
フランスのアルセストが切り開いた「もはやこれメタルじゃねーだろ」という、ブラック・メタルの多様性を存分に発揮した2ndアルバム、サンベイザーから、その変化を踏まえた上でメタル回帰したデフヘブンの最新作。


Deafheaven
Brought to the Water
Live at ArcTanGent Festival 2015 w/ interview

今作を制作する為に、中心人物であるボーカルのジョージ・クラーク、ギターのケリー・マッコイは自らの原点であるメタリカスレイヤーテスタメントヴァイオレンス等を聞き直したというエピソードも
最近、会う度に「ベース(基本)を作る」と話していた高蝶にはズバリだと(勝手に)思った。
また、二人が強い労働倫理を持っているのも実に似ている。


Deafheaven
New Bermuda
Anti-; 2015

という事でBGMはデフヘヴンのニュー・バミューダをリピートする事に(勝手に)決定!!!
爆音の中、ハンマー、リューター、ハサミ、縫い針達のセッションがスタートした。

SPEED SPECTER / ANOTHER MASH UP、ここからはフォトレビューにて。
シルバーの一枚板を叩き、削り、彫り、熱し、曲げ、そしてまた叩く。
ラウドに。
まずは高蝶の力の業を。


Anjoは静かに、書き、刺し、切り、縫い、そして踏む。


そして出来上がった作品がこちら。
まずは高蝶の作品から。

Copyright © 2016 HEAT co.,ltd. All Rights Reserved.

コンチョは高蝶がこのエキシビジョンに合わせて事前に制作。
通常のコンチョとしてはもちろんだが、高蝶曰く「ループタイがおすすめ」との事。
確かに擦り切れ、色褪せたデニムシャツに実に合いそうだ。

オーソドックスな意匠ながら、使い勝手の良いギリギリの肉厚さ。
手にした時のウェイトがたまらなくいい。

そして、何より高蝶がオーセンティックなインディアン・ジュエリーを手掛けたというだけで希少性は十分だ。

そして、ライブで制作されたバングル。


Tomoki Takacho
ONE MAKE Bangle
SEMBL STORE; 2016

バングルはオーセンティックな意匠をベースにしつつも高蝶らしいロマンティックなニュアンスが込められており、オリジンと呼ぶに相応しいスタンプ&カットワーク。
ネイティヴなデザインでは使われないミルタガネが使用されている等、独自のミクスチャー感がある。

また、3mmという肉厚のシルバーを使用した重量感は圧倒的で、このバングルの深みをウェイトから直接体感できる。
まさに一生もの。
個人的にもかなり物欲をそそられる。

HEAT co.,ltd.ブログでの紹介記事
ANOTHER MASH UP feat SEMBL
http://www.h-e-a-t.net/news/event/7788/


高蝶の作品はコンチョとバングル。
共にSEMBLでは素材として度々使用しているデニムやシャンブレーといったインディゴ・カラーに相性のいいネイティヴ=インディアン・モチーフ。
シルバー・アクセサリーの中ではポピュラーなジャンルだが、高蝶の作品としては実はとても珍しい。
もともとシルバージュエリーの制作を始めた頃はよく作っていたらしいのだが…
おそらくは制作に意識的になればなる程、求めているものとの違いを感じたのか長い間制作されていなかったジャンル。
僕の知る限り、インディアン・モチーフは、2014年のSPEED SPECTER / THE 7th SIGNでその萌芽があるが、今回の製作はそれとは、また趣向が全く異なるようだ。
それについては高蝶自身がブログで語っているのでぜひご一読を。

SEMBLに於けるクリエイション
http://speedspecter.jugem.jp/?eid=4623

意図的なズレをクリエイションに盛り込む、という点で
ディアンジェロがドラマーであるクエストラブザ・ルーツ)にクオンタイズ(自動的にリズムを調整してくれるプログラム)を使うなと言った話を思い出す。
「酔っ払いが演奏してるのを誰も気にしなかったみたいだな」ってヤツだ。(「Voodoo」録音時のエピソード。詳しくはコチラ
それが「人の手による温もり」って事になる。
クエストラブの話を思い出したのは高蝶の技術がそれ程までに高度に研ぎ澄まされているから。(おそらく、それに関してはSPEED SPECTERをクエストラブが目の当たりにする事があれば納得してもらえると思う。事実、スティーヴン・タイラーでさえその仕事に一目で魅了されたのだから。)

高蝶が手縫いに於けるズレにフォーカスしているのは、SEMBL、Anjoの表現を見事に捉えてもらっていると思う。
実はAnjo自身、縫いながらメチャクチャになればいいと意図している部分があるからだ、手縫いを始めた2010年の頃は可能な限り規則的で綺麗な縫い口だったのだが、それをAnjoは機械みたいだと嫌がっていた。
僕は手縫いという方法自体が十分に冒険だと思っていたので、それには素直に同意できなかったけど。
それから、続けていくうちにAnjoの縫い口はどんどん乱れていき、今の巻き込むような法則のない完璧に乱れたスタイルが出来上がった。

また、他にも注目すべき点は、高蝶はインディアン・ジュエリーにおけるズレからくる「温もり」を良さとしてとらえる風潮をとても面白がっているように思うところだ。
これは推測でしかないが、以前の高蝶はそれを面白がってはいなかったのではないだろうか?
クエストラブがDJプレミアQティップに「お前はまるでドラムマシンだな」、「お前は正確だな」って言われることを大きな誇りにしていたように。

「レコードと言うよりは、カセットテープで生じるノイズ。そんなズレが今のSEMBLの良さ。」

思えば、3331Arts Chiyoda3331 GALLERYでSEMBL初の個展STORE ONEを開催した際のフライヤーの推薦文でも高蝶はSEMBLを取り除かれていくべきノイズを大切にしているようだと書いていた。

SEMBL

SEMBL
STORE ONE
3331 GALLERY; 2013

そこにインスパイアされ、FOREVER NO ISというフレーズが生まれた。

SEMBLにとってノイズは大きなテーマだと思う。
音楽でもノイズを(聞いて)初めて克服した(好きになった)時に得た、「もう何でも大丈夫」という感覚は、苦痛の克服等ではなく、自由を得たような快感を感じさせるものだった。

100と-100は同じ。

「ソコに合うシルバーアクセサリーを考えると、インディアンジュエリーのスタンプワークに行き着く。」
ってのも合理性があり実に高蝶らしい。

一方、Anjoの作品は、100tを始めてからほとんど使用していなかった布帛(大雑把に言うと、シャツ地やパンツ等のカットソーでない素材)とスウェットのミックス。
しかも、フォトレビューをご覧の通り、手縫オンリーではなく、ミシンを交えた制作。


SEMBL
Untitled
SEMBL STORE; 2016

カセットテープからの脱却?
手縫いと機械のミックス。

布帛の使用にも驚いたが、それに伴ってのミシンの使用。
ハンドメイドのアナログ感は変わらないが形として既視感のあるものへと近づいている。

100tもそうだが、最近は事前に何を作るのか?どうするのか?詰めない。
詰めると面白さが減少する気がするから。
様々な制限はあるが、主としてAnjoの感じるようにSEMBLは生み出される。

さて、二人の作品を紹介し、僕のレビューも終わりを迎えたわけだが、冒頭の原始と未来はどうなったのか?
それを書いて締めたいと思う。

僕としては他人事ではないので、笑えた事ではないが、つまりは原始でも未来でも現在から乖離していたら、どうやらダメなようだ。
いや、ダメというのは語弊がある。
SPEED SPECTER / BACK TO THE PRIMITIVE -THE TERRITORY-で見せてくれた原始と未来、平たく言うと「わけのわからなさ」は不安なのか、生きるには必要のない妄想なのか…
つまるところ、何らか現在に立脚していないと歩み続けるのは難しいということなのか?

SEMBLのブランドコンセプトが「ensemble(調和のとれた全体)の文字を省略し、人が着て初めて完成する、洋服というものを表現」している以上、猿とスターチャイルドの為のものづくりをしてもしょうがないという事なのだろうか?

ノイズは取り除かれていくべきものなのか?

いや、そうではないはずだ。

僕自身、音楽を例に挙げると、パンク以前の作為なき純粋さや、誰に聞かせるの?という新しいサウンドにこそ、生きる希望を見出してきた。

誰が言ったか、
料理業界の次のヒットは現在業界にあるものではない。

ヒット云々はともかく、
「わけのわからなさ」の多くはわけのわからないまま終わるのかもしれないが、わけのわからないものがわけがわからない故に、新しいと認識される可能性はわずかながら存在しているという事だ。

二人の「わけのわからなさ」の種子は現在に向かう仕事の中にも必ず含まれているはずだ。

未来や希望は現在に立脚した確かな仕事より、むしろその「わけのわからなさ」にしかないと僕は信じている。

原始と未来、その乖離こそが鍵。

FOREVER NO IS

僕にとってノイズこそが大切にする価値のあるものなのだ。

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毎回、声をかけてくれる高蝶と
HEAT co.,ltd.小野田社長ジバゴには、本当に感謝しています。

そして、エキシビジョンに来てくれた皆さん、「ありがとう」
皆さんのおかげで面白くなっていける。

ナシーム・N・タレブが言うように、アイデアより強いのは物語だから。

ここまで読んでいただいた皆様、長駄文にお付き合いいただき感謝。

そう言えば、エキシビジョン後はボウイ祭りで終えた事もご報告いたします。

それでは。
MAKIOでした。

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