みなさん、こんにちは
Q大②年のT田です(●^o^●)
「発想法」も終わり、これからのBCは新しい文献の「自由と規律」を読んでいきます
どんな本なんだろうと気になる方もいるんではないでしょうか
小島さんが「自由と規律」について書いてくださっているので、是非ご覧ください
『自由と規律』について
FUN部員の皆さん、こんにちは。小島です。
今日は、今週からのBCで扱う新文献である『自由と規律』の紹介をさせていただくため、self-neoに文章を載せてもらっています。
さて、幾多の名著を読み継いできたFUN Business Cafeは、土曜の早朝に集まって一冊を輪読するという、社会人になってから本領を発揮する習慣を形成する、大切な勉強会です。
休日の早起きこそ成功者の必須条件であり、また、これを人生に拡大すれば、本気の学生時代こそは人生の早起きです。
そのため、「学生時代の週末の朝」という貴重な時間に読む本は、もうすぐリニューアルされるホームページにも詳しく掲載されると思いますが、選りすぐりの名著だけをピックアップしてきました。
ちょっと振り返れば『論語と算盤』、『いきいきと生きよ』、『論語物語』、『みあと志たひて』、『人を動かす』など、FUN部員なら誰もが知る名作ばかりです。
さて、そんなBCで、この夏から読んできた『発想法』に続いて読むのが、池田潔氏が1949年に書いた名作『自由と規律』(岩波新書)です。
短く分かりやすい本なので、もう全部を読まれた方もおられるかもしれませんが、本書はイギリスの「パブリックスクール」という、中学・高校に相当する年齢の学校教育を扱った作品です。
世界を制覇し、スポーツ、学問、文化、言語など、あらゆる分野で世界標準の文物を築き上げてきたイギリスの強さと伝統を教育の分野から語った本書は、戦後の記録的ベストセラーとなりました。
ちなみに、僕は学生にあげたり、mai placeのスピーチ大会の景品で差し上げたりしてきて、今持っている本は「第82刷」です。
去年卒業した第6期生なら、本書を持っている先輩は、僕が直接知っている限りでは、竹中君、鶴田君、中江君です。
本書で主に取り扱われているのは、イギリスの支配階層を形成するオックスフォード大学、ケンブリッジ大学に進学するパブリックスクールの教育で、「紳士道」を叩き込むための伝統教育の姿が体験とともに深く鮮やかに述べられています。
パブリックスクールや両大学で、学生が一人の紳士として遇され、教師や生徒たちが魂のぶつかりあいを通じて人格を陶冶していく様子には、「さすが世界を制覇した国の教育だ」と思わずにはいられないのでしょうか。
わが国の大学の中には、どの程度か知りませんが、試験前に他人のノートを見せてもらったり、「過去問」なるものを集めたりする不正行為がまかり通っていますが、真に思想と精神の自律を重んじる本物の学生は、そんなことはせず、いつもフェアプレーであることも本書から感じられます。
もちろん、本書はエリート中のエリートを育てる教育なので、これがイギリスの一般的な教育とは言えませんが、その内容は、将来ひとかどの人材たらんと自負するFUNの学生も、ぜひ学ぶべきものがあります。
想像を超える厳しさ、愛情、人間尊重の精神、伝統への忠誠、高貴なる義務への奉仕、頑固なまでの保守主義…。
合理的に割り切れない部分を有機的に並存せしめるイギリス人の知恵や、伝統を重んじながらも革新的な学術、産業を生み出してきたイギリス人の発想の秘訣は、まさしく青年期のこの教育にあると読んだ誰もが感じるでしょう。
僕が本書を読むたびに思い出すのは、おそらくわが国史上最高の教育であろう、薩摩藩の郷中(ごじゅう)教育です。イギリスの紳士道はわが国の「武士道」と同じだと思います。
あまり内容を紹介すると、読む楽しみがなくなってしまうかもしれないので、書評はこの程度にしておきます。
著者の池田潔氏は、去年の夏のBCで読んだFUN歴代の名作セレクション『若者が燃えた名著12冊』の中で取り扱った「学生を思う」(講談社現代新書・1965)の著者で、慶応大英文学科の教授でした。
「戦後の日本の欠点をあげ、こんな国は愛する気になれないといった人間がいる。
どんな姿になろうと、日本はぼくらの祖国だ。うらぶれた姿になったなら、いっそうこれを恋い慕うのがまともな国民の気持ちというものだろう。どんな姿に変わり果てようと、日本以外に日本人の祖国がどこにあるか。
その日本の将来を思いそれを大切に考えるからこそ、これからの日本を背負って立つ方々に、責任をきびしく考えていただきたい。それには、まず、自分の頭でものを考える習慣をもつことが大切である」
という言葉を覚えている方もいるのではないでしょうか。
もっとも、池田潔氏よりも、三井財閥の総帥で日銀総裁、大蔵大臣だった父の池田成彬氏の方がずっと有名かもしれませんが…。
イギリス伝統のエリート教育機関・パブリックスクールで学んだ青年たちの最高の理想とは何か?
官僚や実業家、政治家になってわが身の栄達を極め、立身出世を目指すことか?
もちろん、それらも国家にとってたいへん価値があることですが、彼らの理想はそうした現世的、実利的なものではありません。
かの教育を受けた若きエリートたちの夢は「中学の校長」です。つまり、「自分の死後の祖国」が夢の舞台なのです。
これもまさに、幕末のわが国の教育と同じで、若い魂に霊感と生命を吹き込み、永遠の国家繁栄の基盤を担う人材に尽くすことこそ、エリートの使命だというのです。
多感で揺れやすくも、この時期に人生の大半が決定される青少年期に、人格的な感化を与える仕事は、並大抵の人物では務まりません。
多くの人は、意識するしないにかかわらず、案外、12~18歳頃に一番影響を受けた大人を模範か、あるいは理想の下限としていることが多いものです。
FUNの中でも、この時期に工学の道を志した永井君、出会った塾の先生を慕って学問の道を志す金山君の姿を思い出します。
他にも、青少年期の感化や影響を人生の指針に据えている方も多いのではないのでしょうか。
この秋から冬にかけては、ぜひ、みんなで理想の教育を語り合い、つかんだ理想を現実の中に生かし、振り返って「あの時期に私の人生の基盤が固まった」と言える3ヶ月を過ごしましょう。
なお、本書の序文は、池田潔氏が師と仰いだ小泉信三博士が書いています。
多くの方々とこの名作を一緒に読むのを楽しみにしています。
小島尚貴
小島さん心から「自由と規律」が読みたくなるような素晴らしい記事をありがとうございました

皆さんいかがでしたか??「自由と規律」を読まずにはいられない気持ちになったのではないでしょうか
この冬、BCに参加したいなって思った方は、今すぐ永井さん、佐伯さん、富田の誰かまでご連絡くださいね
