S-202 パルテノン首像 (すみません。大事な追記アリで、再アップです) | きょうの石膏像 
2012年06月18日(月) 23時12分13秒

S-202 パルテノン首像 (すみません。大事な追記アリで、再アップです)

テーマ:石膏像 S-首像  


きょうの石膏像     by Gee

S-202 パルテノン首像       H.55cm    (パリ・ルーブル美術館収蔵 紀元前430年頃)





ここいらでまた石膏屋さんらしい記事に戻りましょうか。



古代ギリシャのアルカイック期(B.C.700頃~480年)は終了して、次は”クラッシック期(B.C.480~323年)に突入となります。


クラッシック期というのは、ギリシャ彫刻が飛躍的な発展を遂げた時期で、現在まで語り継がれるような名匠達が、次々と革新的な彫刻スタイルを生み出した時代です。。


まずは、パルテノン神殿をプロデュースしたといわれるフェイディアス、それから彫刻に”コントラポスト”と呼ばれる重心移動の概念を導入したポリュクレイトス、その他にも”円盤投げ”のミュロンとか、”ヘルメス像”のプラクシテレスとか・・・。



さて、そこできょうの石膏像。


もうこれは言わずと知れた、「パルテノン首像」ってやつで、美術大学を目指したことのあるみなさんにはおなじみですね。


オリジナルは、パリのルーブル美術館に収蔵されていますが、この彫刻はすご~く由緒正しくて、あのアクロポリスの丘のパルテノン神殿の破風彫刻の一部なのです。



オリジナルの映像はこちら、


きょうの石膏像     by Gee-FR053

さすがに本物は耳とか、髪の流れがシャープですな~~。


ちなみに、これは女性の彫像です。頭髪部分の側面に、”金属製の冠”をはめこんでいた穴があったり、耳たぶの部分にイヤリングを取り付けていたと推測される穴が残されています。制作された当初は、もっと華やかなイメージの彫像だったのでしょう(パルテノン神殿というのは、建立当初は彫刻などにも着色されていたと推測されています)。


みんなで触りまくってるし、2400年も経過してるから黒光りというかなんというか・・・すごい色ツヤ。。。



この彫像は一見綺麗に(欠損している部分が少ない・・という意味で)見えますが、”鼻”、”アゴ”、”唇”、の部分は後世の修復です。鼻の部分なんて、古代ギリシャ彫刻の本物にしては、あまりにも欠損がなさすぎて不自然極まりないです。


大英博物館に収蔵されている他のパルテノン神殿の破風彫刻の部分を見ればよくわかりますが、こんなに修復しちゃっていいのか?という疑問が付きまといます(大英のは、ボロボロのまま・・)。



この辺は難しい問題ですが、19世紀末までのフランスで、古代彫刻に対して行われた修復行為というのは、かなり過剰な部分があるように思います。展示するときの見栄えをより良く・・・という気持ちはわからないでもないですが、どの辺までやるのかというのは・・・。


大英博物館に収蔵されている、この破風彫刻の他の部分は、極力オリジナルを”保持”したまま展示しようとしているように見えますし、ギリシャに残されているパルテノン神殿の遺物も、比較的節度のある管理がなされているように思えます。




きょうの石膏像     by Gee-FR021

正面だけど、自前写真なんで暗いな・・・。94年の日付がありますね。


この頃はデジカメなんて夢のまた夢で、フィルムで一枚一枚大切に撮っていたのです・・。美術館の中って暗いからね、フラッシュなしで、どれくらいの露出がいいんだか見当をつけるのが難しかったんですよ。。。





このパルテノン首像という彫刻は、パルテノン神殿の西側破風彫刻の一部として製作されました。



File:Parthenon - facade ouest.jpg

これはパルテノン神殿の西側ファサードの写真。2008年頃の様子ですけど、まだまだボロッボロですね~。オリンピックに合わせて、かなり作業が進んだみたいですけど、大変ですな~。



それで、柱の上に横棒部分があって、さらにその上にのっかっている横に長い三角の部分、これが”破風”と呼ばれる部分です。パルテノン首像は、この破風の部分に取り付けられていた彫刻群の一部なのです。


それでは、この三角の部分にどんな彫刻が取り付けられていたのか?


こんな様子だったのではないか、と言われています(これはあくまで記録として残っている絵画をもとに製作された推測のイメージ彫刻です)。

File:Reconstruction of the west pediment of the Parthenon 1.jpg

群像彫刻のテーマは、「アッティカの土地をめぐる、アテナとポセイドンの争い」



このエピソードはギリシャ神話でも有名です。おおざっぱに書くと・・・、


現在のアテネ周辺の地域であるアッティカの土地の守護神の座をめぐって、アテナとポセイドンが争いとなり、住民により素晴らしい恵みをもたらす方が守護神となることになった。


ポセイドンは大地から海水の泉を湧かしたが、アテナはオリーブの木を生やした。。


当然、住民たちはアテナを守護神として選んだ。


ウププ・・・って感じですよね。ポセイドン塩水じゃね~~。。




でも、きょう紹介している石膏像ということでは、アテナよりもポセイドンの方が重要なんです。


なんといっても、この”パルテノン首像”という彫刻は、ポセイドンの奥様である”アンピトリテ”の姿なんですから。




上の群像彫刻写真の、中心で一番大きなサイズで向かい合っているのがアテナとポセイドンなんですが、そのポセイドンの右側に馬が2頭いて、ひとり人物をはさんだ馬車に乗っている人物、これが”アンピトリテ”です。


二頭立ての馬車を御している様子ですね。旦那さんが、激突中なもんで奥様の馬車の馬たちが大暴れでございます。頼むよ、父ちゃん・・・。




皆さんもご存じのことと思いますが、このパルテノン神殿の破風彫刻のオリジナルの大半は、19世紀初頭に英国のエルギン卿によってイギリスへと持ち去られて、現在も大英博物館の至宝となっています。


File:Elgin Marbles east pediment.jpg  

これは大英博物館に展示されている、本物の東側破風彫刻の一部。こちらは”アテナの誕生”の様子を表す彫刻群。



ではなぜアンピトリテの頭部だけがフランスのルーブル美術館にあるのか?

その経緯は、ちょっとよく分らないのです(すみません、勉強不足で・・・)。


アクロポリスの丘から発掘されたことは確実ですし、19世紀中ごろには既にフランスにあって、レオン・ド・ラボルト伯爵によって、パルテノン神殿の破風彫刻の一部であると結論づけられています。


英国のエルギン卿が、不明朗な流れの中で破風彫刻のほとんどを奪ったように、このラボルトの頭部もいろんな経緯でフランスへと辿りついたのでしょう。




この辺の事情については、昨年の11月に「パルテノン・スキャンダル」っていう本について書いたときにもちょっとふれています。興味のある方は下のリンクからどうぞ。


パルテノン・スキャンダル」






(追記です : 2012.06.18)


すみませ~ん。追記です。


この彫像は一見綺麗に(欠損している部分が少ない・・という意味で)見えますが、”鼻”、”アゴ”、”唇”、の部分は後世の修復です。


って、↑で書いてますけど、大変な事実が発覚しました!


現時点で、ルーブルに展示されている”パルテノン首像(ラボルトの頭部)”はこんな状態です!


File:Weber-Laborde head Louvre Ma740 n3.jpg


あ~~~!言ってるそばから、その修復による追加部分がキレイに除去されてます。。



これは、以前にもこのブログでお名前が登場していた、荒木先生からいただいたコメントでご指摘をいただきました。


さっそくWikiを探っていたら、この写真を発見してビックリしてしまいました。


う~~~ん、いざこうなってみると、どうなんだろ~~?鼻があった状態の方に慣れてるからな~?、いやいや、やっぱり本来の姿なんだからこれでいいのか?



そうなると石膏像はどうなっちゃうんだろ~~?いっそ真似してノミでカンカン削ってみましょうか(笑。ウソです)。



File:Weber-Laborde head Louvre Ma740 n2.jpg



File:Weber-Laborde head Louvre Ma740.jpg

彫像の配置を考慮すると、本来はこの角度から鑑賞するのが正解ですね。



全体に、かなりクリーニングが施された印象も受けますね。ドス黒かった汚れがかなり除去されて、細部の表情がすごくよく分ります。



ああ、いったいいつ頃こんな大手術が行われたんだろう?


僕がルーブルを最後に訪れたのって、1994年というはるか大昔なんですよね~。だんだん自分の体験が古臭いものになっていることを痛感いたしました。


ヨーロッパへ行きたいな。。。取材旅行ということで、経費で・・・、ダメですね。。ハイ。





私共の運営するオンラインショップ「石膏像ドットコム」では、パルテノン神殿にまつわる彫刻の複製品も実際に購入していただくことが出来ます。以下のバナーをクリックすると、ショップに入れます。よかったら覗いてみてください。


きょうの石膏像     by Gee-sekkouzou.com



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