K-139 ダイアナ胸像 | きょうの石膏像 
2010年08月08日(日) 08時12分56秒

K-139 ダイアナ胸像

テーマ:石膏像 K-胸像  

きょうの石膏像     by Gee-K-139
K-139 ダイアナ胸像      H.63×W.40×D.29cm (1882年、A.Falguiere作、フランス・ランス美術館収蔵)



通常営業のブログ記事に戻ってまいりました。またよろしくお願いします。。。


さてきょうの石膏像は、月の女神ダイアナです。


頭上に三日月型の髪飾りがあるのでダイアナであることは明確ですが、この石膏像は、長い間由来がよく分からなかったのです。作家と、収蔵場所が判明したのは最近なんです。まずは、それが判った顛末から。。。



2007年の夏に、家族で軽井沢に旅行に行ったんです。その時になんとなく立ち寄ったのが、ワインメーカーのメルシャンの美術館。


なかなか素敵な美術館で、印象派なんかの展示を観たり、ウィスキーの醸造過程とか酒蔵を見学したりと楽しくすごしてたんです。


きょうの石膏像     by Gee-merusian1
(これは、ロビーのミュージアム・ショップの写真。この手の私設美術館のショップとしては、すごく充実してました。)


さて、帰り際になって家族がトイレに寄っている間、ロビーに展示されていた過去の企画展のポスター(ちらし)を見ていた時、!!!、一枚の写真に目がとまりました。そのチラシ(A4サイズ)がこちら、


きょうの石膏像     by Gee-merusian4

このA4サイズのチラシの中のこの写真、


きょうの石膏像     by Gee-merusian2

これをチラッとみて。。。キラ~ん(  ゚ ▽ ゚ ;)


なんとこの小さい写真から、いままで由来のよく判らなかった石膏像の手がかりを二つも発見してしまったのです!(あまりにも石膏像に特化している自分がさみしくなりました・・・・・)


写真左端の一番奥に写っているのが、今回取り上げている”ダイアナ”の胸像。この胸の部分のカットの形にピンときちゃったんです。


もう一つが右端一番手前に写っている少女像。これは”ラファエル少女胸像”として石膏像になっている彫刻です(こちらについてはまた別の機会に・・・)


あわてて受付のお姉さんにお願いして、この展示の時の図録を分けていただけないかお願いしたのですが、もう販売できるものは無いということでした。でもご親切に、この二点の彫刻の部分だけコピーをとってくださいました。


そんな経緯でやっと判明したんです。


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作家の名前は、アレキサンドル・ファルギエール(1831~1900)。フランス人で、ロダン(1840~1917)とほぼ同時代に活躍した彫刻家・画家です。


ローマ賞を受賞し、サロンでも活躍、レジョン・ドヌール勲章も受勲しているという、まさに”アカデミー”側の王道を歩んだ人物です。古典的な神話などにテーマを求め、現実社会とはかなり離れたところで”美”を追求する”アカデミズム”の作家であるとされています。


ファルギエール自身は素晴らしい彫刻家で、大きな足跡を残しています。


ただ現代の我々にとって、最も印象深いファルギエールのエピソードというのは、ロダンとの関係です。言うまでもなく、ロダンはそれまでの彫刻の常識を覆して彫刻界に”革命”を起こしました。それは、ロダン以前に彫刻界を支配していた”アカデミズム”との戦いでもあったわけです。


今回のファルギエールとロダンは対照的な作家なのです。そして、この二人は作家”バルザック”の記念像の制作をめぐって対決することになってしまいました。


正確に言うと、ロダンの作ったバルザック像のあまりの先進性に、依頼主であった作家協会が受け取りを拒否し、ファルギエールに制作依頼し、そちらが採用されてしまったのです。


File:Balzac4.jpg

こちらが、ロダン作のバルザック像


File:Balzac parAlexandre Falguière2.JPG

こっちがファルギエール作のバルザック像



ファルギエールは、ある意味で”ロダンに勝った”作家なんですよね。ただその後の評価は皆さんもよご存知の通り。ロダンは、その”うち捨てられたバルザック像”ゆえに圧倒的な評価を受けていきました。


それに対して、現在ではファルギエールの名前に親しみを持っている人は少ないでしょう。(実は、私もこの2007年の出会いまで名前も知りませんでした。恥ずかしい・・・・・・・)


ただ、作家同士はお互い尊敬しあっていたようで、後日二人はお互いの肖像を作り相互に贈り合い、和解しました。


こちらが、その肖像2体。コペンハーゲンの美術館には、2体並んで展示されています。

Fichier:Falguière Rodin Copenhague.JPG

左が、ファルギエール作”ロダン像”。右がロダン作”ファルギエール像”



ファルギエールは、今回のダイアナ像の全身像も作っています。こちらは左手に弓を持っていて、右手は高くあげているポーズです。全身の写真があると判り易いのですが、Wikiにはちょっと映像が見つからないので・・・


胸像の本物の写真はこちら、

File:Falguiere Diana p1070131.jpg


File:Falguiere Diana p1070130.jpg

このブロンズの胸像は、アメリカのスタンフォード大学美術館にあるそうです。ランスの方は大理石製なのですが、その映像はWikiにはないみたいです。




ファルギエールの他の作品も貼っておきます。実はオルセー美術館に行ったことのある人は、ファルギエールの作品を目にしているはずなんですよ。


File:Alexandre falguiere's statue winner of the cockfight version with long drape vbig.jpg

”闘鶏の勝利者”というタイトルの像ですが、これはオルセー一階のドームの空間の中央に展示してあります。


File:Falguiere Asie.jpg

これは、1878年のパリ万博のために制作されたもので、六大大陸を擬人化した彫刻シリーズの”アジア”をファルギエールが担当したもの。オルセー美術館の前の広場に展示されています(アジアがごちゃ混ぜになっていておもしろいですね)。





今回取り上げた、K-139 ダイアナ胸像は、私共の運営するオンラインショップ「石膏像ドットコム」で実際に購入していただくことが出来ます。以下のバナーをクリックすると、ショップに入れます。よかったら覗いてみてください。


きょうの石膏像     by Gee-sekkouzou.com




久しぶりなんで、午前中いっぱいパソコンに向かってドド~んと書いてみました。このファルギエールのネタはずっと書いてみたかったんです。長々読んでいただいてありがとうござました。

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