あるところに、くわの助という働き者の百姓がおった。

くわの助がいつものように畑をくわで耕していると、土の中にくわがどんどんめり込んでいったそうな。

くわの助は、このままくわがめり込んでいったら畑仕事ができなくなってしまうので、くわを離すまいと力一杯に握った。

しかし、くわの助の抵抗も虚しく、くわは土の中にすっぽりとめり込んでしまったのじゃった。


くわの助が途方にくれていると、土の中から、両手に何かを持った舞妓はんが現れた。

「あなたがめり込ませたのは、この金粉仕様のくわですか?それともこの銀粉仕様のくわですか?」

くわの助は正直に答えた。

「おらのくわはそんな高価なもんじゃねぇ、けどもそんなもんよりよっぽどしっかり土を耕せる丈夫なくわだ。」


舞妓はんはにっこりして、くわの助に金粉仕様のくわと銀粉仕様のくわと、くわの助のくわを渡して、再び土の中へめり込んでいった。


その様子を見ていた、三味線の助は心の底から思った。

「あ、あの感じいいな。」

三味線の助も見よう見まねで、土の中に三味線をめり込ませてみた。

すると土の中から、三味線の助がめり込ませた三味線を持った舞妓はんが現れた。

「べんべべ、べんべべ、べべべべべん」


舞妓はんは三味線の助の三味線をかき鳴らしていた。

そして、そのまま再び土の中にめり込んでいったのじゃった。


くわの助の時と全然違うじゃない!と思った三味線の助は叫んだ。

「なんか、おらの時だけお金を入れる代わりに三味線めり込ませて一曲聞く、ジュークボックスみたいになってる!」
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