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今回の記事のテーマは、痛みです。慢性痛と、関連する変化について、書きます。

 

痛みが長期化して、3か月以上続いている状態を、慢性痛と呼びます(痛みの頻度は「時々」、例えば週に複数回くらい痛みを感じるような状態であっても、慢性痛に含まれます)。

 

このような状態は特殊という訳ではなく、頭痛や腰痛、変形性関節症の痛み等、様々なタイプの長期化している痛みが慢性痛に含まれます。何らかの形で、痛みが続いている人の数は多いです。

 

慢性痛について、その名前の通り、主な特徴は痛みです。

 

しかし、痛みが長期化している状態では、痛み以外の様々な問題も起こる可能性があります。

 

ここでは、長引く痛みに苦しむ状況について、ストレスと合わせて考えてみたいと思います(痛みは、ストレスを感じる要因の一つ)。

 

人が痛みやストレスを感じる時、様々な反応も現れます。

 

例えば心拍数の増加、血糖値の増加、血流の変化(例えば大きな力を発揮する筋への血流は増え、消化器系への血流は減る)といった変化です。

 

これらは、自分の身を守るための反応と考えると、分かりやすいです。

 

例えば、危険な野生動物に襲われた時のような状況(強いストレスを感じる)を想定してみてください。

 

このような状況では、例えば心拍数を増やすことで、身を守るために役立つ組織に迅速に血液を届けられるようになります。

 

そして、食べ物の消化のように、状況が落ち着いてからでもできることは後回しにして、戦ったり、逃げたりする際に役に立つ「大きな」筋が優先されるようになります。

 

このように、危険な状況から身を守るために、ストレスと関連する様々な反応は協力して働いています。短期的には、身を守るために、ストレスは役に立ちます。

 

そして、通常、これらの反応は一時的なものであり、目の前の危機が過ぎ去れば、元の状態に戻るようになっています。

 

しかし、痛みやストレスが長期化すると、こうした様々な反応も、長く続くことになります。元々は短期的な脅威に対応するためのシステムなので、それが長く続くことによって機能不全が生じ、体に有害な変化が現れるようになっていく可能性があります。

 

例えば、認知機能への影響が挙げられます。

 

痛みが長期化(慢性痛)している人は、集中や学習(記憶)などに悪影響が現れる可能性が指摘されています(Moriarty O, et al. The effect of pain on cognitive function: a review of clinical and preclinical research. Progress in Neurobiology 2011; 93: 385-404)。

 

疾患の例を挙げると、線維筋痛症(慢性痛と関連)では、集中や記憶などの機能不全が特徴の一つとされています(Bertolucci PHF, et al. Cognitive impairment in fibromyalgia. Curr Pain Headache Rep 2013; 17: 344)。

 

痛みと認知機能の関係について、痛みに注意が向いてしまうことで、痛み以外のこと(例えば、何らかの課題に対する取り組み)に集中しにくいことが考えられます(人間が注意を向けられる量は限られているので、注意が分散されると、一つのことに集中しにくくなる)。

 

そして、ストレスと関連する物質(コルチゾール)が多いと、認知機能に悪影響を及ぼす可能性が指摘されているので、ストレスの長期化が影響を及ぼしている可能性も考えられます。

 

他にも、慢性痛の人は、疲労や睡眠の問題など、様々な変化が現れる可能性が指摘されています。そして、これらの要素は互いに影響を及ぼし合って、問題を複雑にしています。

 

慢性痛は、痛みだけの問題ではありません。痛み以外の様々なネガティブな変化も含めて、全体として対応策を考える必要があります。

 

こうしたことについて、多くの医療従事者に知ってほしいと思います。慢性痛に詳しい医療従事者が増えることで、長引く痛みや、関連する問題に苦しんでいる患者さんの助けになると思います。

 

(この記事について、当ブログの管理人が運営しているサイトにて、管理人自身が執筆した記事を見直して修正を加えたものです。https://www.tclassroom.jp