ガビッボ(Gabibbo)イタリアの娯楽番組のマスコット | 知られざる いろんなもの

知られざる いろんなもの

日本では殆ど知られていない、海外の珍しいものの紹介。

今回は、

イタリアのテレビ番組のマスコットをご紹介いたします。

 

Let me introduce you the Italian version of the Big Red, the GABIBBO : r/NotTheExpert

 

Gabibbo | Fiction Taxonomy Wiki | Fandom

 

Gabibbo: chi è Gero Caldarelli e tutto sul personaggio cult di Striscia la notizia e Paperissima Sprint - DonnaPOP

 

ガビッボ(Gabibbo)

というのですが、

放送作家のアントニオ・リッチ(Antonio Ricci)が、

1990年に作ったそうです。

彼がデザインしたのですかね?

他にも何か絵を描いたりしているのですかね?

その辺どうなのかな?って。

 

チャンネル5(Canale 5)の、

「ズルズルニュース」(Striscia la notizia)

「ヴェリーネ」(Veline)

「ヴェローネ」(Velone)

「現代文化」(Cultura moderna)

など、リッチの手掛けるテレビ番組の司会進行役として活躍。

 

エリトリアのマッサワ(ምጽዋ)港の港湾労働者のことを、

「ハビーブ」(حَبيبْ)と呼ぶそうです。

「最愛の人」を意味するそうですが、

ジェノヴァの船乗りたちが、その言葉から、

彼らのことを「ガビッボ」と呼んだそうで、それが、

このキャラクターの名前として取り入れられたと。

 

後にこの言葉は、イタリア北西部の

リグーリア州(Liguria)に住んではいるが、

元はリグーリア出身者ではない人や、

南イタリアからの移民が多かった時代に、

南部人に対してそう呼ぶようになり、

軽蔑的な言葉として使われる様になったそう。

 

これは、北イタリア人の南イタリア人に対する蔑視語、

「テッローネ」(Terrone)のリグーリア版と考えられており、

ミラノなどの北イタリアで普通に使われているのだとか。

 

Gabibbo Peluche Striscia La Notizia Giochi Preziosi Pupazzo Originale Vintage | eBay

 

Mediaset vince la causa, il Gabbibo non ha copiato da nessuno - Digital-News.it

 

番組のガビッボは赤い姿をしていますが、

リグーリア人やジェノヴァ人を表わしているそうで、

リグーリアやジェノヴァの訛りを喋るという。

(ジェノヴァはリグーリア州の州都です)

 

ダミ声でけたたましく喋る、

〝ザ・おっさん〟という感じのキャラです。

 

当初は挑発的なキャラクターだったそうですが、

番組の視聴者による不正の告発を取り上げるなど、

市民の味方の立ち位置に変わっていったそうです。

そのため、

〝赤い報復者〟

〝ぬいぐるみのロビンフッド〟

などとも呼ばれているとか。

 

ガビッボは、アニメになったり、

歌を歌ったり、映画にカメオ出演もするなど、

枠組を超えた活躍を見せています。

 

 

映画「こいぬ」(Cucciolo, 1998)

の1時間3分辺り

 

映画「キャプテン・バジリコ2」(Capitan Basilico 2, 2011)

という映画そのものも、バットマンのパロディというか、

「Xメン」とかのマーベル系ヒーローとか、

「テレタビーズ」のパクりみたいなキャラも出て来て、

凄く気になるのですけど…。

 

映画「グッドタイミング」(Al momento giusto, 2000)

にも出ているそうですが、確認できませんでした。

 

〝中の人〟は、ミーモ(マイマー)で俳優の、

ジェーロ・カルダレッリ(Gero Caldarelli)

でしたが、2017年に死去したため、

ロッコ・ガウディモンテ(Rocco Gaudimonte)

がその跡を引き継ぎました。

 

ガビッボの声は、

ロレンツォ・ベッカーティ(Lorenzo Beccati)

が演じていますが、歌は、

アントニオ・リッチ自身が歌っているそうです。

 

Il Gabibbo – My Name Is Gabibbo (1991, CD) - Discogs

 

ガビッボおしゃべりぬいぐるみ(Gabibbo Peluche Parlante)

もあります。

 

今でも現役で音声を発する人形はある様で…。

 

ところがですよ!!

 

ウェスタン・ケンタッキー大学

(Western Kentucky University)

のマスコット、

ビッグ・レッド(Big Red)

を盗作したのではないか?という疑惑が浮上!!

ビッグ・レッドの方は1979年なので11年も早いです。

 

WKU's Big Red to take on lookalike for second round in Italian court

 

2003年に「アドフラ」(Adfra)という会社が、

ガビッボがビッグ・レッドの盗作であることを確認するために、

ビッグ・レッドの作者ラルフ・ケアリー(Ralph Carey)も交えて、

法廷闘争を開始しました。

(ブロック機能盗難防止装置特許所有の会社でしたが現在は倒産)

 

2017年に大審院が、

ガビッボがビッグ・レッドの盗作には当たらず、

ビッグ・レッドが知的作品とみなされるほどの

創造性のレベルにも達していないと見做し、

原告側が敗訴となりましたが、

2018年には原告側の主張が認められ、

被告側の敗訴となりました。

 

アントニオ・リッチが雑誌のインタビューで、

ビッグ・レッドに触発されて

ガビッボを制作した旨の発言をしているからです。

 

この発言を根拠に、

ケアリーが非金銭的権利の侵害に対する補償を求めて新たに告訴をするも、

2021年5月15日、ケアリーが相手方への訴訟費用の償還を言い渡され、

またもや敗訴。

 

さらにその過程で、

ケアリーがビッグ・レッドの作者であることを証明するために寄託した文書が、

ウェスタン・ケンタッキー大学の記録保管所に保管されていた

オリジナルの文書とは異なることが判明したため、

ケアリーは民事訴訟と刑事訴訟の両方で偽造の罪で訴えられた。

 

2020年10月、ミラノ検察庁は、

ケアリーに対して刑事手続きを実施し、

公文書を偽造したとして公文書虚偽記載の罪で起訴した。

Gabibbo - Wikipedia

Wikipediaイタリア語版なんですが、

こんな内容になっています。

 

こちらの記事では、2002年以来、

ビッグ・レッドの権利を所有する企業から訴えられているとのこと↓

La lotta infinita tra Big Red e Gabibbo - BasketballNcaa

微妙にWikipediaの内容とズレがありますが、

2007年にイタリアのとある裁判官は、

「似てはいるが、ガビッボは喋るけど、ビッグ・レッドは喋らない」

という認識を示しガビッボ擁護に回っているそうで。

 

こちらの記事では、

ラルフ・ケアリーが新たに訴訟を起こしたものの、

訴えが却下されてしまい、訴訟費用の償還を言い渡された上に、

ウェスタン・ケンタッキー大学の保管文書とは異なる内容だったため、

民事、刑事の両方において、公文書虚偽記載の罪で有罪を下されたと↓

Il contenzioso Big Red contro Gabibbo - Gente con le PalleQuadre

Wikipediaと大体同じ内容という。

 

英語版Wikipediaでは、

訴えられた側であるアントニオ・リッチが、

雑誌「ノヴェッラ2000」(Novella 2000)のインタビューで、

ビッグ・レッドの影響を受けてガビッボを制作したことを

認める発言をしていると。

しかしこの後、これは冗談であると述べ、更に、

「ビッグ・レッドに似たキャラは100人もいる」

と付け加えたそうで。

Gabibbo - Wikipedia

この発言で、2018年には一旦原告側の主張が認められて、

裁判のやり直しとなったのですけど、

最終的には、ガビッボ側の勝訴となってしまいました。

 

更に、弱り目に祟り目、虚偽の文書を用いたことで、

原告側の方が逆に有罪となってしまったという。

でもなんでそんなつまらないことするの?

 

アチャーって感じですね。

どちらも夢を売る存在。

愉しく和気藹々にやって欲しいところですが…。

 

共存を図るとか、

そういった度量の広さを見せるとかしてたら、

また違った世界線になっていたかもしれませんが。