汗、頭皮、加齢臭…皮膚科医が教える「男のニオイ問題」原因別3つの対処法とは | ~たけし、タモリも…「1日1食」で熟睡&疲れナシ~

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さあ、元気に歳でもとりますか!それに女性は明日の美しさを迎えにいこう。

 今回のテーマは「男のニオイ」。

 何でもかんでも「コロナ禍」に絡めるのもどうかとは思いますが、ここに来て“お父さんのニオイ”がちょっとした問題になっているそうです。リモートワークで自宅にいる時間が長くなったお父さんが発する体臭が、世の奥様方から不評を買っているらしいのです。

 特に寒さが本格化してきたこの時期、一見すると夏場に比べておさまりそうなものですが、不思議なことにそのニオイは威力を増しているとか……。

 対策はあるのでしょうか。

男女で意識がズレた「夫がルーズになった身だしなみポイント」

 男性化粧品大手のマンダムが、35歳から49歳の既婚男女444名を対象に行った「外出自粛により増えた家中での過ごし方や気持ちの変化」という調査がある。その中で「夫がルーズになってしまったと感じる身だしなみ」を問う質問に対する回答が興味深い。

「夫目線」での回答は次の通り

・1位「シェービング」(60.6%)

・2位「髪のスタイリング」(48.5%)

・3位「洗髪」(20.2%)

・4位「ニオイケア」「鼻毛処理」(15.2%)

・5位「体毛処理」(13.1%)

 一方「妻目線」の回答はこうだ。

・1位「シェービング」(56.5%)

・2位「ニオイケア」(42.0%)

・3位「髪のスタイリング」(34.8%)

・4位「洗髪」「洗体」「洗顔」(27.5%)

・5位「鼻毛処理」(18.8%)

 ここで注目したいのが「ニオイケア」だ。

男女の間に流れる「深くて暗くてニオイ立つ川」
 在宅勤務が増えたことでニオイケアを怠っているという意識を持つ亭主は15%しかいないのに対して、女房側の42%が「うちの亭主はニオイケアを怠っている」と感じている。その差はじつに27ポイント。男と女の間には、深くて暗くてニオイ立つ川が流れていたのだ。

「男性の体臭は、男性自身よりも女性のほうが敏感です。しかも、男性にとっては気にならないニオイが、女性には“不快”に感じられることが多いようです」

 と語るのは、順天堂大学医学部附属浦安病院皮膚科准教授の木村有太子医師。「男のニオイ」について解説してもらった。

「男のニオイ」3つのピーク
「じつは男性の体臭には大きく3つのピークがあります。1回目は思春期から20代の“汗臭”、2回目は30代から50代前半にかけての“ミドル脂臭”、そして最後は50代半ばから増加する“加齢臭”。これらはそれぞれニオイの原因と出どころが異なります」

 思春期のニオイの元は主として汗で、ニオイの発生源は“腋”。腋汗と皮脂が常在菌によって代謝分解されることで発生する「酸っぱいニオイ」が特徴だ。

 対策は清潔を保ち、制汗剤を使うしかないのだが、言い換えれば、この年代のニオイは清潔さえ保てばどうにかなる。世間もこのニオイには比較的好意的な姿勢を示しており、話し合い次第では“青春”という括りで処理できなくもない。若いってすばらしい。

世間の目も厳しくなる30代からのミドル脂臭
 ところが、30代から始まるミドル脂臭となると、世間の目も厳しくなる。

 こちらは首筋や後頭部がおもな発生源。汗の中の乳酸が皮膚の常在菌で分解されて「ジアセチル」という物質が作られ、これが皮脂のニオイとブレンドされて完成する「使い古した油」のようなニオイ。

「この世代の男性は、入浴時のケアが雑になっていく時期でもあるようです。ミドル脂臭対策としては頭皮や首筋のケアが重要なのですが、洗髪時の抜け毛を怖がってシャンプーを適当に済ませてしまう人が意外に少なくない。その結果、頭皮の皮脂が蓄積されて、ニオイを作り出してしまう」(木村医師、以下同)

洗髪と抜け毛の関係
 木村医師によると、洗髪が原因で抜け毛が促されることはないという。

「健康な頭皮の人でも1日に100本程度は髪が抜け落ちます。抜け毛が心配なら、シャンプーをする前にブラッシングをして、抜けるべき髪をあらかじめ落としてから洗髪をすればいい。いい加減な洗髪は皮脂や汚れをため込むので、ニオイだけでなく抜け毛を促進することにもつながって逆効果です」

 マンダムの調査によると、1日の中でジアセチルが増える時間帯は、「夕方4時頃」と「朝6時頃」の2回。

「夕方の汗や皮脂は夜の入浴時の洗髪で流せますが、夜間寝ている間にも汗はかきます。ニオイが気になる人は、朝もシャンプーをすると効果的です」

加齢臭対策で「使ってはいけないもの」
 そして50代から始まる加齢臭は、胸や背中などの“体幹”がおもな発生源。皮脂腺から出る皮脂の中に、加齢とともに増える「パルミトレイン酸」という物質があり、これが酸化すると「ノネナール」という加齢臭の原因物質ができあがる。ニオイの専門家の間では「枯草のようなニオイ」と表現されるとか。個人的には枯草のほうがよほどいい匂いだと思うのだが……。

「こちらも入浴が重要。お風呂で皮脂をよく洗い流すことでニオイの予防は可能です。といっても石鹸をゴシゴシ肌に擦りつけてもあまり効果はありません。石鹸やボディソープをよく泡立てて、その泡を使って手で撫でて洗い流すようにします。この時“垢すりタオル”を使うのはNG。肌にキズが付いて乾燥がひどくなり痒くなるだけです」

 加齢臭の原因物質は着ているものにも移ってしまう。下着と違ってコートやジャケットなどは毎日洗濯するわけにもいかないので、ニオイ成分は日々蓄積されていく。コートを脱いだ時に「モワッ」と漂う加齢臭は、周囲の人たちに緊張感をもたらすものだ。

「加齢臭やミドル脂臭対策はお肌の手入れだけでは不十分。コートなどは家で脱いだら裏返しにして、抗菌消臭スプレーを振りかけて干しておくくらいの対策は講じたほうがいいでしょう」

乾燥で増強される「男のニオイ」問題
 ここでこの記事の冒頭の記述を思い出してほしい。寒さが本格化してきたこの時期、つまり冬は、男のニオイが増強されるのだ。原因は「乾燥」だ。

「乾いた空気で肌が乾燥すると、肌の潤いを補おうと体が反応して過剰に皮脂が産生されてしまうのです。結果として余分な皮脂が酸化してニオイを発することになる。だからこそ、冬場は“保湿”が重要になってくるのです」

 特にお風呂から出たときは、保湿クリームを使って肌の潤いを保つ努力はすべきだ。というより、ここにひと手間かけるか否かが、「不快なニオイを放つおじさん」になるかならないかを左右する重大な局面なのだ。

女性の加齢臭問題は?
 ちなみに木村医師によると、女性も更年期を迎えるとエストロゲン(女性ホルモン)が低下し、相対的にアンドロゲン(男性ホルモン)が優位になることで汗や皮脂が増え、加齢臭に似たニオイを発することもなくはないとのこと。ただ、そうは言っても男性のニオイと比べると非常に小さく、あまり研究の対象にもなっていないとか。

 そんなわけで、世のお父さん方に呼びかけます。

 せっかく家にいる時間が増えたことだし、少し自分の体に目を向けて、自分のニオイに鼻を向けて、ケアを試みてはいかがでしょう。いずれコロナ禍が収束してマスクをしなくていい社会に戻った時、周囲のご婦人方の見る目が少し変わるかもしれませんよ。

 ああ、結局コロナ禍に絡めてしまった……。(長田 昭二)