【技術編 教育シリーズ全4回】第3回目「チームにはOJTをすすめる職場環境が必要」 | 清話会

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小池浩二氏の [プレイングマネージャーの仕事術] シリーズ (12)

【プレイングマネージャーの技術編 教育シリーズ 全4回】
第3回目「チームにはOJTをすすめる職場環境が必要」

小池浩二氏(マイスター・コンサルタンツ(株)代表取締役)

■OJTとは

OJTとは、オン・ザジョッブ・トレーニングの略語で、現場での教育であります。
教育には、外部研修もありますが、一番効果を上げるのがこのOJTです。
このOJTは、日常の職場において、メンバーに対して仕事への与え方やその仕事のやりかたを具体的、実践的に理解させ、習得させることがポイントになります。

OJTの場面は、ごく自然に行われる場を基本的に想定したほうがうまくいきます。
メンバーは日常業務の中で仕事を覚える機会が多く、その機会に対して常に人から見られている環境を作り出すほうが、牽制機能が働いて人は成長できます。

日常の場面とは、
●仕事の指示・命令を出すとき
●個人面談時   
●メンバーが報告に来たとき
●計画・目標作成時   
●会議やミーテイングとき
●営業同行時   
●仕事の進捗確認をするとき
●現場立会い時   
●1日の仕事が終わった終了報告時
●書類提出時 
です。

逆に特別な場面は社内研修会、勉強会です。その理由は1年間で社内研修会や勉強会はよく行っている会社で30回前後だと思います。

そうすると年間220日前後の稼働日で30回しかないわけですから、特別な場面になります。この特別の場面は、その仕事を知る、理解する場であり、その仕事をできるようにする機会ではありません。

仕事をできるようにする機会は、やはり日常業務の中しかありません。

■説明することと、教えることは違う


説明することと、教えることは違います。

OJTの目的は教えることが目的ではありません。
メンバーができるようになって、初めて仕事を教えたことになります。
ひと通り教えたから、できるとは限りません。

説明とは仕事を分かるように説明すること、それに対し教えるとは仕事ができるようにすること。
 
教えられる側には、『知る・解かる・できる』のプロセスがあり、教える側のプロセスは「伝える・理解させる・実務指導」となります。相手が覚えていないのは、自分が教えていないという視点が大切になります。

●自分はどのようにして、その仕事ができるようになったのか?
●その時の自分のレベルはどのくらいだったのか?
●そして、今教えている人のレベルはどうか?何が理解できていないのか?
●何がやりにくいのか?等々の配慮が必要となります。

■「気づかせる・引き出す」という観点の指導方法

自分で気づき、引き出した答えは、納得性や理解度が高くなります。
そのためには、メンバーに「気づかせる・引き出す」という観点の指導方法を用いると効果を上げやすくなります。

その代表格が指示の仕方で、相手の能力に応じて、指示の方法も「言い渡す」「頼む」「相談する」といった違いがあります。

●言い渡す……指導を受けながら、その業務ができるケース
●頼む…………自分一人でその業務ができるケース
●相談する……状況変化でも自分で判断して、対応できるケース

これは相手にとっては、リーダーが自分の力量をどう評価しているかを知る機会にもなります。
指示をするときに重要なポイントがメンバーの理解を確認することです。
指導を受けながら、その業務ができるケースでは、その仕事の手順を確認することが重要。
自分一人でその業務ができるケースでは、状況変化のときに、自分で判断して、対応できるように、「もし、~の場合はどうする?」「こういう事態のときはどうする?」等を考えさせることです。

考えさせる指示命令にはリーダーの質問の仕方が鍵になります。
メンバーの気づいていない点、問題点を気づかせる狙いもあり、またリーダーの求めているレベルを伝える場にもなります。このときに、メンバーが助言・援助を求めてきた場合には、その原因と解決に必要な能力を見極め、現在の能力レベルでの協力方法を考えます。

・こうしてはどうかと、解決策を教える
・こういう考え方をしてみてはどうかと、ヒントを与える
・こうしないからいけない、と原因を教える
・こういうことを調べてはどうか、と情報のヒントを与える
・そのやり方をもう少し突っ込んでみてはどうか、と自信を与える
・必要知識・視点のヒントを与える

相手に考えさせるために色々と質問することでリーダーの指示命令の意図が分かり、ピント【価値判断基準】が合う仕事につながります。

 
(第4回に続く)


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■ 小池浩二氏 (マイスター・コンサルタンツ(株)代表取締役)

実践に基づいた「中小企業の基礎打ち屋」として、中小企業成長戦略のシステムづくりを研究。これまで500社以上の中小企業経営に関わり、経営診断、経営顧問、研修等を実践。多くの経営者から「中小企業の特性と痛みをよく理解した内容」と熱烈な支持を得ている。
  http://www.m-a-n.biz/
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         筆者 小池浩二氏が
【プレイングマネージャーの仕事術】の概論を
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     http://www.m-a-n.biz/8-1-0.html