街角ウオッチング21「エストニア編」その3 山本紀久雄氏 | 清話会

清話会

昭和13年創立!政治、経済、社会、経営、トレンド・・・
あらゆるジャンルの質の高い情報を提供いたします。

街角ウオッチング21
「エストニア編」その3
山本紀久雄氏(経営ゼミナール代表)



エストニアで感じるのは親日国だという感覚である。

エストニア人が日本に親近感を持つことに影響を与えたのは、天皇・皇后両陛下によるエストニア訪問も大きい。2008年 5月24日である。


当時の報道によると、大統領官邸のカドリオルグ宮殿で会食をされ、午後は「歌の原」にてコンサートを楽しまれ、夕方には旧市街にある旧市庁舎をご訪問したとある。大統領官邸前では多くの市民や在留邦人が両陛下をお出迎えし、中には在ヘルシンキ邦人も多く見うけられ、エストニアご訪問にあわせて青・黒・白のエストニア国旗カラーのスーツとお帽子を召された、皇后陛下のお姿はとても印象的だったらしい。


天皇陛下はお言葉の中で、自らが即位された1989年はバルト三国にとって激動の時代で、かの「人間の鎖」が形成された年でもあり、一方、エストニアで「歌の祭典」が開催された年は1869年で、これは明治維新の翌年であったなどを交えられたが、このスピーチは印象的であったらしい。


「歌の祭典」とは5年に一度の歌の祭典で知られ、140年の歴史を刻むもので、2003年にはユネスコの無形文化遺産に登録されていて、今年の7月に開催される予定である。


昨年の両陛下訪問時には、この歌の祭典が開かれる「歌の原」でコンサートを開催し、小学生から大人までのコーラス団体とソリストなどを含め、集まった歌い手は約 3600人。彼らが披露したのはほとんどがエストニアの歌であったが、締めくくりの歌は、幾度かの日本公演で有名な少女合唱団エッレルヘインによる「さくら」で終えた一大イベントで両陛下を大歓迎したことで、エストニアの日本に対する認識度がわかる。


さて、エストニアは森が多い。タリンの中心地を出ると、走る道路の両側は、ずっと森林地帯がつづき、すぐにラヘマーLAHEMAA国立公園となる。700㎢の広さがあり海が半分占めているが、ここにはアカマツと白樺、もみが多い。しかし、花粉症はないという。木材を日本に輸出している。


つまり、タリン市街を出れば、すべて北海道みたいな景観が続くのである。したがって、欧米人はあまり北海道に関心がない。


そのことは次回のエストニア美人との会話でもお伝えするし、3月フランスで始めて出版された日本の観光ガイドミシュラン「ギール・ベール」を見ればわかる。


ミシュランの格付けによると、北海道地区には三つ星ブランドの観光地がないのである。理由は推測だが、北海道のような広々した景観は、欧米ではいたるところにあるからであろう。タリンの郊外も同様で、狭い国であるが、広々とした自然が展開されている。


エストニア人のスポーツは個人技が強い。柔道、相撲、スキー、日本の武道は人気。エドサールさんも小学校時代から合気道を習っていて、中学三年生の時、急に柔道の絵を描きたくなり、コンテストに提出したら賞をもらったことから、日本に興味を持ち、それから一生懸命日本語を学び、日本に関する本を読んでいる。


何冊くらい持っているのかと聞くと、50冊くらいは持っていて、いつも日本のことを心の中で想っているので、家族との話題も日本のことばかり出し、前世は日本人ではなかったかと母に言われている、というほどの日本好きである。今の希望は日本に行って、日本人と日本語で十分話せる日本語を習得することだと、一生懸命伝えてくれる。


こういう人は世界に結構いる。ドイツでもフランスでも日本ファンは多い。特に、ドイツでは国内各都市に「独日協会」という組織が確立していて、毎月日本研究の例会を開いているくらいである。ドイツのカールスルーエに滞在した時、日本食店で開かれている独日協会の例会に参加したこともあるが、極めて参加者は熱心な日本ファンだった。


しかし、ここエストニアは、この間まで旧ソ連体制下にあったわけで、日本との関係はまだ短いし弱いのに、天皇・皇后両陛下のご訪問や把瑠都関などの影響もあってか、思わぬ親日国という感じを体感した。


日本という国は世界各地から好意的に受け入れられていると、改めて実感する。



山本紀久雄氏の連載・「街角ウォッチング」バックナンバー


(毎月、時流解説を行っています)

渋谷「山本時流塾」2009年5月8日(金)16時~18時
講師  経営ゼミナール代表 山本紀久雄
会場  ㈱東邦地形社 8階会議室

     参加費1000円 どなたでも歓迎
渋谷区神宮前6-19-3 東邦ビル 03(3400)1486
   (渋谷教育学園 渋谷中学高等学校前)


(経営ゼミナールアドレス)
http://www.keiei-semi.jp/


(山岡鉄舟研究会アドレス)
http://www.tessyuu.jp/