砥石:菖蒲谷高山天井巣板内曇を挽く | 勢州たぬき工房の木工したり直したり

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こんにちは。たぬきです。

京都に行って菖蒲谷高山内曇の原石を入手しました。


さて、言わずもなが京都は砥石の産地。そのへんの埋立用の砂利にも砥石が混じってます。蓮久寺の砂利の中にも原石がありましたね。道の周りにもコッパになりそうな原石がそこかしこに落ちてます。今回私も京都の山道を走って驚きました。

でもこれ拾ってきてはダメです。そもそも砥石にならない品質だから砂利扱いな上、凍ててるので中がグズグズになっていて上等の物はまずありません。どうやら、こういうのを拾い集めてオクに出品する悪い人達が居るらしいので御注意の程を。そういう悪意の輩に騙された結果、質の悪いのを掴まされたのも知らず天然砥石は上手く砥げないと諦めるのは不幸です。ちゃんと正しく沼にハマりましょう(笑)

ちゃんとしたのは坑道から掘り出して凍てない様に管理した上で整形検品されたものです。そういう出所がしっかりしたコッパを安く買い集めると、割と安価に沼にハマれるのでは? そういう安価ななのは基本小さいコッパですが、かなり小さくても慣れたら寸八だって研げるものです。人造の性能が良くなった今日日、天然砥石では数分しか使わないので、小さくても問題ないと思いますよ。平面出し楽だし。


前置きが長くなりました。

これがその内曇。これを整形しましょう。

出所はさざれ銘砥さん。


左側面を挽き落としたら両木口を落とします。


タガネで斫った跡が良く見えますね。

4面挽けました。

210x70x45mmとなりました。
真中の大きなヒビは凍てかもしれません。坑道の場所によってはこういう事もあるということで(笑)
てか通常は、こういうヒビがあるものを挽いた後に検品でハネているので、ハズレが商品になりにくいわけです。
もう少し側面をきれいにしないと分かりませんが、ほぼ巣無しに見えますね。これは有難い。巣板の巣だらけは本当に厄介ですから。以前、長四郎の薄い小さい巣板を持ってました。めっちゃ下ろすので良かったのですが、巣だらけの層になってしまい5mm程削ったことがあります。5mmはアトマでは無理です。タガネで剥がしました。巣無しはこういう手間が要らないのと、特徴があまり変わらない処が良いのですよ。

下面は大きく角が落ちています。
ヒビで剥離したら30型。このままなら40型かな。さぁ、高価いのはどっちだろう。
ちなみにこのヒビ、層に添ってキレイに入っています。大抵、天井巣板みたく火が強く入って柔らかい砥石は、層状に剥離する性質が弱くなっています。その為、斜めに割れたりして、層に添って剥離する事が難しくなります。
ところが、菖蒲谷高山は柔らかいにも関わらず、層状の性質が強くてきれいに剥離するそうです。確かに鋸で挽いている時も、細かく層状に剥離する性質を感じることが出来ました。

面を出しました。
おぉ。筋がない!これは良いね。

三徳包丁の地金を当ててみました。地金が曇るのは普通ですが、不思議と鋼が簡単に曇りますね。研ぎ感は泥で急に突っ張ります。泥の水分調整がシビアに感じます。研ぎ始めのシャーシャー→スースー→ニュルニュル→ビチャぁズズズー。までが早く感じます。柔らかいと言うより、泥が粘いですね。
内曇はもっとグズグズと思っていましたが、普通に使えました。
たぬきはこれが初内曇なので、まだ色々分かってません。分かってきたらまた書いてみたいと思います。

当てた三徳。
鋼が一様に曇ったおかげでの腐食や傷が目立ちますね。


こっちの写真の方が分かり易いかな。
刃物の質感を撮るのは難しい。

と言った所で今日はここまでです。
以上、たぬきでした。ではでは。