アルツハイマー型認知症の治療薬は、いま日本に2種類、4剤ある。

コリンエステラーゼ阻害薬の、ドネペジル(アリセプト)、ガランタミン(レミニール)、リバスチグミン(イクセロンパッチ)と、NMDA受容体拮抗薬のメマンチン(メマリー)である。

 

意外とまだ一部の人にしか知られていないことだけど、この2種類の薬はBPSDに対する効果がちがう。

コリンエステラーゼ阻害薬は、無気力に効果があると言われている。

NMDA受容体拮抗薬は、暴言や暴力に効果があると言われている。

 

実際にドネペジルを処方すると、それまでぼんやり1日中テレビを見ていた人が、家事をしたりするようになる。

一方で、ドネペジルを処方すると、イライラして怒りっぽくなったり、ソワソワして落ち着かなくなり徘徊してしまう人も何人かいた。

 

僕は、ドネペジル以外の処方経験が少ないので、ガランタミンや、リバスチグミンにも、同様の効果や副作用があるのかについては、残念ながら経験がない。

でも同じ種類の薬だから、起こりうると考えておいたほうがいいだろう。

 

NMDA受容体拮抗薬のメマンチンはどうか。

実際にメマンチンを処方すると、それまで不機嫌だった人が穏やかになる。一方で、メマンチンを処方するとぼんやりして活気がなくなってしまう人もいる。

 

アルツハイマー型認知症のBPSDの治療には、ドネペジルとメマンチンをうまく使い分けたり併用したりすることが、重要だと思う。

 

そういえば、電子カルテで「どねぺじる」と入力して変換すると、いつも「どねぺ汁」になる。東北地方の郷土料理にありそうな名前だ。吹雪の夜に、じさまとばさまがすすっている姿が目に浮かぶな。