【今月のそうだん】
家族が困っているときに、どの程度助けてあげないといけないの?



【Q】
私は、妻、25歳で仕事をしている長男、18歳で高校生の長女とともに生活しています。別に暮らす80歳の父母、60歳で定年退職をした兄、若くして亡くなった妹の子で19歳の姪がいます。

それぞれ、法律上はどの程度生活を助ける義務があるとされているのでしょうか?



【A】

夫婦は「同居し、互いに協力し扶助」(民法752条)し「婚姻から生ずる費用(=婚姻費用)を分担」(同760条)するとされているため、夫婦互いの生活水準を同程度に保持する義務(生活保持義務)があると解されています。そのため、妻に対しては生活保持義務があります。

「直系血族及び兄弟姉妹は、互いに扶養をする義務」(同877条1項)を負うとされていますが、関係性や生活状況によって扶養義務の範囲が変わります。

長女に対しては、まだ自分で生活ができない未成熟子であること、婚姻費用の中に含んで考えることもできることから、妻と同様に生活保持義務があると解されます。長男に対しては、自分で仕事をして生活ができる成熟子なので、自分の生活に経済的余裕があるときに余裕がある範囲で支援する義務(生活扶助義務)があると解されます。

「直系血族」である父母や「兄弟姉妹」である兄に対しては、基本的には自立できるはずなので、生活扶助義務があると解されます。

「三親等内の親族」である姪に対しては、「特別の事情があるとき」に限り、家庭裁判所の審判によって、審判で下された範囲で扶養義務が発生します(同877条2項)。姪の母である妹が亡くなっているという事情から、いくらか扶養してあげる義務が生じるかもしれませんね。




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宍粟市社会福祉協議会発行『こんにちは!社協です!!』N0.185(2020.11.15発行)7頁「権利擁護のそうだんコーナー」より

https://www.shiso-wel.or.jp/cgi-bin/bbs/data/magazine/attached/aa95879c7550-60cb-3e16-8f81-1605853460.pdf