日経平均が、次の上昇を探り始めている気配を感じる。10月1日の終値は6万8,956円72銭で、前日比2,203円高、約3.3%の上昇となった。
この動きは、夏以降の調整から抜け出そうとする兆候として前向きに捉えてよいと考える。その背景には、企業収益への期待に加え、高市政権の経済政策が具体化する先を、市場が見始めている可能性がある。
日本みらい研では、日本経済の現状を分析するために、日経平均株価のチャート分析も継続して行っている。その視点から見れば、9月25日時点の「底固め」から、10月1日は「上放れを試す局面」へと評価が進んだ。
株価は20日移動平均線を明確に上回り、値動きの勢いを見るMACDも改善している。ただし、8月の戻り高値や6月の高値をすべて抜いたわけではないため、上昇の兆しは強まったが、本格的な上放れの確認はこれからという評価をしている。
ここで注目したいのは、当日の上昇幅だけではない。チャートでは、7月末ごろの安値圏に対し、9月の安値圏は切り上がっており、下落後に再び買い直されている。
これは、高市政権下で相場が底堅さを示していると見る根拠の一つである。ただし、その底堅さを何が支えているのかは、別に検証する必要がある。
ところが、ここから直ちに「高市政策が株価を押し上げた」と結論づけるのは早い。10月1日の上昇は、米マイクロンの好決算を受けた半導体株への買いが目立った。TOPIXも上昇したが、上昇率は約0.6%で、日経平均との差は大きい。
この点を考えると、市場全体が日本経済の全面的な回復を織り込んだとまではいえない。この偏りは、強気で相場を見る際の重要な留保点となる。
円相場も見逃せない。同日午後3時のドル円は158円前半で、朝方から円安が進んだ。円安には海外収益の円換算額を押し上げる面があり、株高の背景を考える際には、為替要因も考慮する必要がある。
一方で、輸入物価を通じて家計や内需企業を圧迫するため、円安で日経平均が上がることと、日本経済の足腰が強くなることは、同じではない。
高市首相は9月30日の経済財政諮問会議で、「強く豊かな日本」投資枠、複数年度の予算管理、補正予算への依存からの脱却を具体化する方針を示し、国内投資と生産性向上を通じて供給力を強めると語った。
年末の来年度予算編成に向け、こうした方針を具体的な制度設計や財源配分に落とし込む段階に入っている。
企業が大規模な設備投資を決めるには、需要だけでなく、制度や支援が数年先まで見通せることも重要になる。政策が予算、制度、発注へと具体化すれば、関連企業の受注や利益への見通しも変わりうる。
株価は、その成果が統計に表れる前に動くことがある。「何を目指すか」が「どこまで実行されるか」に変わる過程で、政策への期待が段階的に高まる余地はある。
もっとも、経済には明暗がある。10月1日公表の日銀短観では、大企業・製造業の景況感を示す業況判断DIが22から24へ改善した一方、非製造業は37から35へ低下した。
製造業の改善は株価を支える材料だが、その勢いが消費やサービスに十分広がったとはいえない。ここに、国内投資の促進と家計の購買力回復を結びつける政策の役割がある。
想定される反対論のひとつは、積極財政への期待が、財政不安や金利上昇に打ち消される可能性である。諮問会議の資料でも、長期金利は足元で3%程度とされ、家計や企業への影響が論点となっている。
投資を増やしても、金利上昇や物価高が企業収益や家計の購買力を圧迫すれば、成長を促す効果は弱まる。政策の規模とともに、財源、投資の効果、国債発行の管理を示すことが信認につながる。
相場の上昇が持続するかを見極めるには、まず6万9,000円前後、さらに8月の戻り高値圏を越えて定着できるかを確認したい。調整時に切り上がった安値や20日移動平均線を維持できるか、買いが半導体以外にも広がるかも重要である。
RSIは、チャート上で70近辺に達しており、短期的な反落もありうる。逆に、上値を抜けず下値を切り下げるなら、今回の上放れの可能性は見直す必要もある。
それでも、現時点では日経平均が上放れに向けた動きを強めているとの見方を持つ。高市政権への期待も、年末までに政策の実行が見えるほどに高まる可能性がある。
ただし、期待がどこまで株価に織り込まれているかは、チャートだけでは測れない。市場の期待を、国内投資の拡大や賃金、暮らしの改善につなげられるか。次に問われるのは、高市政権の実行力である。今後の動きを注目したい。
