中南米では貧困層への支援としてCCTプログラム(条件付現金給付制度)が多くあります(最近アジアやアフリカでも始まっているようですが)。特に有名なのがメキシコのOportunidades、ブラジルのBolsa Familiar、チリのSolidarioだと思います。CCTは貧困層の人的資本形成(多くの場合は教育と保健に焦点を当てて)を促すことによって、受益者の自助努力を促しつつ、世代を越えて受け継がれる貧困の悪循環を断ち切ることを目的としています。

ホンジュラスでも「Bono 10Mil」(「1万レンピーラのボーナス」とでも訳しますか・・・)という名前のCCTプログラムが2010年から実施されています。これは貧困層を対象に、子供の学校への登校、妊婦の保健所への定期健診受診等を義務として、女性を対象として子供の年齢等に応じて10,000レンピーラ(約4万円)を上限として支給するものです。

勿論、まだまだ実施上の難しさや改善すべき課題がたくさんあると思います。
例えば、国全体の約60%が貧困層に位置づけられるホンジュラスの場合、分け隔てなく全ての受益者であるべき人々に支援が出来るか、1回きりの支援ではなく継続的に支援出来るか、というそもそもの資金的な問題もあります(今のところ2014年まではドナーの融資等で確保されているようです)。また、適切な給付を行うためには適切なマネジメントとそのコストも必要です。そして、給付を受けた人々が「義務」を遂行しているかどうかのモニタリングも簡単なことではありません。

しかしながら、既にある、これからもありそうな制度(モノ)を利用しない手はありません。
CCTによる給付金受給者の人々を巻き込んで、何か出来ないかなと。
給付金をもらうということを、もらうという事実のみで終わらせるのではなく、「義務」を遂行するだけではなく、何かを始めるきっかけに変化させられないかと。勿論、みんなをみんな巻き込むことは出来ないと思いますが、中には「せっかくだから何かやってみようかな」と思う人がいるはずです・・・、多分・・・。

そこで使えるのではないかと思うのが、生活改善アプローチの経験。
給付金を受けたからといっていきなり大きなことをするのではなく、「3つの改善」にある出来る改善から取り組むことを始めたり、グループ作りやグループ強化を始めたり、生活改善の勉強会を始めたりと、何か出来ることから一歩を踏み出すきっかけ作りができないかなぁと。幸い「Bono 10mil」実施のために結構な数の普及員が存在するので、この普及員の皆さんに生活改善アプローチを知ってもらって、給付金支給業務に少し追加して生活改善支援をしてもらうことは出来ないかなぁと。

給付金を受ける人で、既にある色々な農村開発支援プログラムや、女性支援プログラムを利用出来る人はそれでもよいと思います。でも、なかなか最初のスタートが切れなかったり、背伸びをして(させられて)失敗してしまうケースが多いような気がしています。その間を繋ぐ、基礎体力をつけるようなサポートが生活改善アプローチとCCTプログラムのコンビネーションで出来るのではないでしょうか。

というわけで、ボチボチやって行きたいと思います。
まずは、CCTプログラムを支援している世銀や米州開発銀行との構想(妄想?)のすり合わせ、そして何よりもホンジュラスのCCTプログラム関係者に生活改善アプローチのことを知ってもらうこと、これからCCTプログラムをどういう風に良くしていきたいかの聞き取り調査から始めています。

高砂 大 ( たかさご はじめ )