今回担当させて頂いた方の経過を書かせて頂きます。

もちろん、個人情報が分からないように、所々ぼやかしながらの書き方になりますが、


正常化理論


標準的な理学療法(とリハビリ)


入院生活の中で、片麻痺がどう作られるのか、異常部位がどう作られるのか



を実際に体験させて頂き、

・今現在入院されている方やその家族様

・退院して在宅で過ごされている方

の方々に、是非ともシェアした方が良い内容だと感じましたので、書かせて頂きます。






リハビリ開始時の状態

起き上がり、座位保持、移乗が介助必要

座っていると、すぐに血圧が下がり、強い疲労感あり

食事は食べれず、チューブで鼻から

排泄も、トイレに行けないため、管を通す+オムツ


高齢者では無い

疲労感あるけど、意識ははっきり

認知機能もはっきり

麻痺は強く、ほぼ動かない、触られたり動かされても感覚が分からない

感覚が分からない事をはっきりと分からないと言える




という状態でした。

この情報を見ると、恐らく標準的な理学療法士は、


    血圧をチェックしながら、

・座位保持の練習をする

・移乗やトイレ動作の練習をする

というリハビリを選択すると思います。



それに加えて

・装具を付けて、立つ練習をしたり、麻痺側に荷重練習をする

・寝た状態や座位で、体幹や骨盤を動かす、麻痺側に荷重練習をする

という方法や(一般的なアクティブなリハビリ)



・麻痺している筋肉に、電気刺激を行う

・麻痺している筋肉に、振動刺激を行う

(一般的な、機械を使う物理療法)



などが、今の日本のリハビリの主流の方法になります。

(歩行アシストロボットや、再生医療などの新しい方法は、数える程の病院でしか行っていないはずです。)



僕も病院勤務ですので、もちろん、それらのリハビリの内容を行う事が求められます。🏥



しかし、正常化理論を知っていると、それらのリハビリをする事が多くの方に取って過度な負担😭、過負荷😡、高難易度☹️である事がよく分かります。



一見座れている、立てているように見えても、

○実は、麻痺した方の足は使えておらず、いい方の手や脇にガチガチに力が入っている

○しかも、移乗やトイレ動作の際に、いい方の手で手すりを握りしてて動作を行う

状態にほぼ100%なる訳です。



すごくジレンマがある所ですが、病院の職員の中では、

「リハビリを頑張ったという事実が欲しいような空気😤」

「生活を自立するために出来る事を自分でするように進めていく空気」

があるため(私見ですがまぁ確実にあるでしょう)、



歩いたり立ったり座ったりしていなければリハビリの職員から

食事を取っていなかったり、トイレに行っていないと看護師から

色々と問い合わせがある訳です。

勿論、向こうからしたら仕事をしているに過ぎません。むしろ善意や義務で言ってくれている訳です。



もう少し付け加えると、「早期退院を進める」「生活動作に介助がどれぐらい必要かの点数を国が評価している」という事情が絡んだ結果、そのような空気感が流れているように感じます。




国の方針としては、お金が無く、リハビリしても治らないと判断した結果、そのような方針を取っているらしいので当然の流れだと思います。💰





しかし、正常化理論を知っていると、、、

脳卒中後の方が、介助をやめて、自分で動き出すと、ほとんどの場合、身体に過剰な負担を掛け、悪くなっている事が分かるため、心苦しさがある訳です。😫




そんな中、今回担当させて頂いた方は、

*座ると血圧が下がる

→リハビリが無い時は座っていない

*食事自分で取っていない

→いい方の手を過剰に使う事が少ない

*排泄行っていない

→いい方の手で手すりに捕まって立つ事が少ない


と異常部位が出来る機会が、偶然にも少なくて済む環境でした。



同時に、

*自分が感覚が分かっていない事を分かっている→客観的に自分の事が見えている?


*過労で脳卒中になったから、あまり動きたくないと思っている

→片麻痺の方によくある、自分で出来る、とにかく動きたいという思考回路では無い


と、考え方や認知機能まで、異常部位が出来にくい状況でした。



その結果どうなったのか。

勿論良くなりました😄😄


正確にいうと、身体を休ませる事が出来て、自然回復を阻害しなかったので、勝手に治っていった、という表現が正しいでしょう。



その間、僕はその患者さんに説明し続けました

「立つ練習をする時は、立つ事が目的じゃないようにしましょう。

麻痺した方の足に体重が乗っているかどうか

麻痺した方の足に乗っている事が分かるかどうかの感覚があるか

足底は?膝は?

太ももの筋肉に力が入る感じは?

麻痺してない方の足はずっと力が入っていませんか?反対の足に体重を乗せると勝手に力が抜けるのが正常です。これが出来ていないと歩く練習をしてもずっと力が入り続けているので、めちゃくちゃしんどいですよ」



「麻痺した方を下にして、横向きに寝る練習もやります。

肩が、太ももの横が、付いている感じはありますか?

この状態で麻痺してない方の腕を動かしたり、両足を後ろに伸ばしても不安定にならないのが正常です。

これが出来ていないと立つ練習をしても、腕に力が入ったまま、足が伸びにくいままだと思います。」



などなど。他にもたくさんありましたが、、

※病院勤務の身なので、「動作練習をしたら駄目!動いたら駄目!」などは、口が裂けても言えません。






「トイレに行く」「車椅子からベッドに乗り移る」「歩く」などの動作練習を、

リハビリ病院ではよっぽど全身状態が悪くない限りは行いますが、

その時、100%


動作を行う事が第一目的になって、麻痺側を使うことや健側を使い過ぎない事が目的にならない


現象が発生します。

高次脳機能に問題が無さそうな方でも

運動学習が出来る方でも

どんな方でも、です。



車椅子に移る時

トイレに行く時

立ち上がる時

寝返りをする時

よっぽど軽度の方以外は、まず健側の手で何かを持ちます。✊




最初は、何も持たないはずなんです。

しかし、何回も動作練習をしていく中で、「こけそうにならないためにはどうすればいいか?」という運動学習が起こり

トイレやお風呂に行く時など、「手すりを持ってくださーい」という声が掛かる事で運動学習が起こり


「まず健側の手で何かを持つ」✊


という運動パターンが意識せずとも出来上がっていきます。




この方はどうだったのか?

勿論100%では無かったですが、こちらの意図した事を汲み取って頂いていました。🤗


リハビリでベッドから車椅子に移る際、僕の顔を見てくるんです。

「今日は何か持っていいの?」

って意味です笑

この方が初めてでした。自分から確認してくださる方は😃



なので、たまに手すりを使った動作確認をする時以外は、介助して移ってました。

その時に麻痺側の足どうかなぁ、健側使いすぎてないかなぁなどと確認する訳です。



と、ここまでは

健側を使いすぎない

異常部位を作らない

という条件が、現状の環境の中ではかなり揃った中でリハビリを進める事が出来ていました。


自然回復も進み、元気になってきたのです😄

しかし、元気になった事が、逆に異常部位が出来始めるきっかけになります、、、、



長くなりましたので次回に続きます。