秋葉生白 ブログ 『おかげさま』 -4ページ目

ひと時の時間

わたくしの生徒の中にはお茶人が何人かおられる

彼女たちは月に一回のおけいこの後で私のためにお茶をたててくださるのが習慣になっている

立礼なので簡単な小さなお茶会なのだが

茶道具にこだわりのある方々なので茶碗もいくつも持参され

香合 茶入れ 茶杓の類まで素晴らしい道具をいつもお持ちくださり恐縮している

季節に合ったお菓子とお茶の一服の時間は書の稽古の後に心を和ませてくれるのである

忙中の閑というが彼女たちも普段第一線で活躍されている方なので多忙を極めているだけに

墨を磨り紙に向い茶碗と向き合う時間がとても大切だと言える

先日は人間国宝の浜田庄司の大ぶりの茶碗でお茶を頂きうれしかった

写真はわたくしの書いた桃花笑春風を飾り春らしいひと時であった

書とお茶は切り離すことができないもので茶室に入っても床のお軸から拝見するように

取り合わせが素晴らしいのである

ひと時の癒しの時間をいつも持ちたいと願っている

 

 

 

きものは日本の宝

 

花という文字はたくさん書いたが

写真は私の書いた花をデザインしたきものである

日本を代表するきものの着付けの先生の所有のきものである

ご婦人のきものは好みもあるがその人の生き方やセンスがそのまま出るのもきものの特徴であり

まずは自分に合うものを時間をかけて作り上げることが大切だと思う

よく呉服屋さんに丸投げで小物の類までお任せの人もいるが

初心者の場合には仕方ないが自分流の姿の確立をぜひ目指してもらいたいと思う

民俗学者の鶴見和子はきもののセンスが抜群で国際会議もきもので出席していた

彼女は後藤新平の孫であり幼少より日本舞踊を習っていたし育ちも確かに良かったとはいえ

きものの楽しさや機能性などをよく熟知していた

きものは贅沢なものでなくむしろお得で長く着られるものである

事実わたしの久留米絣は50年も着ていてなんともない

流行に流されないきものは日本人の真のお宝である

 

 

 

 

陶片から学ぶ

写真は古唐津の陶片である

この陶片は昔陶片集めに夢中だった時に購入したものである

これは辻清明の旧蔵のものでNHKのやきものを楽しむの本の中にも紹介されたものである

桃山から江戸初期にかけてのものだが私は書の資料としてそばに置いて楽しんでいる

理由はこの絵唐津の鉄釉の線が勉強になるのである

やきものに線を引くことは紙に墨の線を引くのと違い技術がいる

筆の腹を使って書くことは容易だが筆を立てて線を引くことは何であれとても難しいのである

書は古今の様々な名品から学ぶ姿勢が大切である

田能村竹田の書が優れているのは常に筆を立てて直筆で書いていることに関係する

だから当然絵も優れているわけで竹田の画論を読めばすぐわかることである

陶片から書を学ぶというと不思議に思う方がいるかもしれないが

線を引くということはそのくらい苦労のいることだとお解り願いたい