孔雀の夜 | 七色遠景
March 06, 2005

孔雀の夜

テーマ:POEM


光も音も時間もない闇の中

細い銀色のリップスティックを天辺まで捻り

桜色に唇を染めて

テーブルに一つだけ置かれた

遠い月みたいに光るライチを剥いて齧る

薄紅色のサテンのドレスで横たわり

ベッドに溢れる水を掬えば

白い指先に沁みる冷たさに

あの夜の記憶が蘇る

あなたが捨てたふたりの夜が

鮮やかな孔雀の羽根になって

スローモーションで

闇の宙から舞い降りる

手を広げるわたしに降り注ぐ

青と緑の天然色の

グラデーションで

暗闇に輝きながら舞い踊る


孔雀の羽根はそれでも一つも拾えず

この胸に受け止められないまま

光のない水面に 

浮かんでは流されてゆく

劣情の金魚が一匹

紅の花弁の尾を振って

ベッドの傍をしきりに泳ぎ回り

口を何度も開けているから

水に浮かんで色褪せた

孔雀の羽根を食べさせる

記憶の水に浸されたまま

ベッドが沈む夜が訪れるまで

わたしはここで横たわり

あなたの捨てた夜たちを

こうして拾い集めては

今宵も孔雀の夢を見る






“日常妄想絵本”のKyokoさま
朱夏さんの言葉たち。 という絵を描いてくださいました。

その絵からイメージして、更に詩を書かせていただきました。
イメージのイメージ、ですね。


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