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January 29, 2005

故郷

テーマ:POEM


わたしは忘却した


最後に父に告げた言葉を

商店街のパン屋の娘の名前も

置き忘れたLPのメロディも

小さな家の形も

その屋根瓦の色も

柱に誰かがナイフで抉った傷跡も

フィラリアで死んだ犬の空っぽの小屋も

そのだらりと垂れた鉄の鎖も

その鎖の先の

弧を描く傷んだ首輪に刻まれた名前も

意識して忘却した


海辺の防砂林の松は

いつも過去の色をしていた

錆びた針の群れを擦らせ 

乾ききった音をたて揺れていた



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January 25, 2005

夢で逢えたら

テーマ:ESSAY
アメブロのサーバーが混む時間ってありますよね。
その時間帯って多分、色んなブロガーの方が、パソコンに向かいやすい時間、お仕事や家事や学校が終わって寝るまでの間が多いのかな、と思うのですが、
夜、眠りについて、夢の中に知らない人が出てくる時って、
やっぱりみんなが寝ているはずの、深夜の二時から四時頃までが、
一番多いような気がするのです。
夢もネットの世界みたいに、みんなが出たり入ったりして混雑してるのかな。
想像にしては、顔立ちもリアルすぎるし、喋ることもわたしの想像だに出来ないことだし。
もしかしたら、ネットの世界みたいに、眠っている誰かと繋がっているのかも。

一度、高速道路をドライブした見ず知らずの男性の夢が鮮明で、
あまりにも鮮明だったのと、顔はそんなに好みじゃないけど爽やかで優しそうな人だったので、
その人とまた夢で出会えるんじゃないかと、ちょっと真剣に思った時があったのですが
もしかしたら、夢のサーバーが混雑してて、うまくその後、繋がらなかったのかも知れません。

夢の中には、現実で出会える回線もあるのかな。
やっぱりネットでコミュニケーションしてもずっとネットの中だけみたいに、
現実にはならないんだろうな。
でも、ネットの中でも約束すれば、モニターから抜け出した現実の世界で会えるみたいに、
夢の中でも約束すれば、現実の待ち合わせ場所で会えるのかも。

今度見知らぬ誰かに会えたら、待ち合わせしようかな。
夢だから、きっと日本じゅう、世界じゅうのどこに住んでいる人かも分からないし

「○日に○○駅に何時に待ってるね」

なんて言えないのだけど。
じゃあ、携帯番号を教えるとして、起きてから電話をかけてもらって

「昨日の夜、夢で会った者ですが…」

こっちが覚えてなかったら、ちょっと怖いかも。
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January 23, 2005

コンタクト

テーマ:POEM


コンタクト外してみて


静かな闇に はがした透明な鱗を流して

わたしの世界が見える?

すべてがぼんやりとして

でも何もかも霞んで見えないわけじゃない

視力0.2のわたしの世界

ぼんやりとしたテーブル ぼんやりとしたワインボトル

ぼんやりとした白い半月

ぼんやりとしたあなたの輪郭


この世界が嫌いじゃないの

コンタクトをすればと勧められても

今はこれでいい

ぼんやりとしか人の顔が見えなくて

ぼんやりとしか街が見えなくて


わたしが密かに取っている 人との微妙な距離

見たくないものまで見えることより

見たいものを見ないことを取ったのよ

でもね

こうして近づけば

すっぽりと あなたは わたしの瞳に映し包まれるの

この暗闇で その囁きほどに 鮮明に


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January 13, 2005

ふたりきり

テーマ:POEM




夜明け 大通りを時を止めたような静寂

青い若葉 並木道の朝靄

ベランダのガジュマルの木の傍を

弾んでいく 音符みたいな小さな鳥

窓から 朝の空気を入れたら

冷たく乾いた風に揺れるカーテン

そして  抱擁を交わす  ふたり


陽が天辺まで昇り

出窓のサボテンの刺が

産毛みたいに 柔らかく耀く

大通りは石鹸みたいな車が

秩序よく信号待ちで並んでいる

買い物帰りの親子連れ

昼間になればスーツ姿の一群は昼食へ

そして  抱擁を交わす  ふたり



夕暮れ  薄紫のカーテンだけから明かりを採って


天井の電気のスイッチには手を触れない

離れていく唇を 指先でなぞられながら

「ごめんね」

一日中 失われていた言葉を呼び戻して

わたしが云った

時間も 場所も 言葉も

忘れる ふりをする わたし

忘れて ここにいる あなた


時間もない 


場所もない 


言葉はない 


他に誰もいない

ここから もう 帰れない

もう ふたりきり

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January 11, 2005

いずみのねこ

テーマ:おはなし
うすちゃいろのねこは
森のおくの泉でやすんでいた
つめたい水がおいしかった
ねこはまっ白な貝がらをひろった
なんでここは泉なのに
貝がらが落ちているのだろう

ねこは家にかえった
「ねえねえ、こんなにきれいな貝をひろったよ」
家にはだれもいなかった
「どこでひろったと思う?」
ねこは部屋で貝がらを両手に上げて
しっぽも上げて、くるりと回転した
「泉だよあの泉だよ」
ねこは奥の部屋まで走りながら声をかけた
「あの泉には
なぜ貝がらが落ちているの?」
「あの泉はひょっとしたら
海とつながっているの?」
だれも答えてはくれなかった
テーブルの上には
みんなの分の白いお皿が
並んだまましんとしていた

うすちゃいろのねこは
森のおくの泉に貝がらを持っていった
つめたい水はおいしかった
ねこはまっ白な貝がらを泉にかえした

海につながっているなら
きっと帰ってきてくれるから

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