久しぶりに諸君に会うことが出来て、まことに喜ばしい限りです。
私はね、これからの日本というものをいろいろ考えておるわけです。
専門家の話も聞き、研究もし、この国は素晴らしい国になるという結論を持っています。
ただ!ただそうなるにはひとつ条件があるのです。
それはね、皆さんが全員働くことです。
働くというのはね、働くというのは本来、とても楽しいことなのです。
夢を描いてね、知恵を絞る、努力をする、その果てに笑ってくれる人がいる。
そしてその対価として報酬がついてくる。
これがねえ、楽しい。
いやもう、実に楽しいことなんですよ。
自分の人生がここにあると感じることが出来る。
努力はね、絶対に報われなきゃなりません。
報われると嬉しいでしょ。立場が変わったら今度は報いようとするでしょ。
そういう循環を持つ社会は、頼もしいことになると思うんです。
皆さんは知らないでしょうね、働いても働いても報われない、そんな時代が長く続いてしまいましたからね。
ですが、皆さんはとにもかくにも生き抜いてここにいる。
生き抜いて今ここにいることが出来る。
ここまで、今日まで来られたのだから、きっと遠くない未来、この国は頼りがいのある国になります。
この国で働くことが誇りであり、徳であり、物心両面に報われることが最も多い国になると思います。
皆さんなら必ず出来る、そう期待しています。
どうも有難う、これからもしっかりやって下さい。
小林 一三(こばやし いちぞう)
阪急電鉄・宝塚歌劇団・阪急百貨店・東宝をはじめとする阪急東宝グループ(現・阪急阪神東宝グループ)の創業者。