突然の宣告。 | 秘密の恋~いつか消える恋ならば~

突然の宣告。

高田さんたちのイヤミは続いていましたが、中尾さんが見るに見かねて少しずつ味方してくれるようになったこと、高橋さんがフォローしてくれることで、大分救われていっていた10月。

私はいつものように翼くんのうちに遊びに行っていました。


翼くんのうちは私のうちから車で15分。

なので毎日よように晩御飯を作ってお酒を飲んで、週末にはお泊りという楽しい日々を過ごしていました。

そんな日がずっと続くと思っていた、ある日のことでした。


ご飯を食べて、ゲームして、ごろごろしていると・・・、急に翼くんに強く抱き締められる私。


「どうしたのー?」

そう聞いても答えない翼くん。

肩が震えています。


「何??どうしたの??」


不安になる私。


「・・・。」

翼くんは何も答えません。


そして、そのまま翼くんは私を抱き締めたまま、泣き出しました。


「るな、俺のこと、好き?」

泣きながらそう聞く翼くん。


「うん、大好きだよ。

翼は?」

何を言われるのかとどきどきしています。


「俺も大好き・・・。」

そのまま声を出して泣き出す翼くん・・・。


嫌な予感がして、指先が冷たくなっていきました。


そして、

「俺、出向が決まったんだ・・・○○へ・・・。」


そう告げると、身体を離して私を見つめました。


その勤務地は、今いる場所とは数百キロ離れた他県。

とてもすぐに会える距離じゃありませんでした。


「嘘でしょ・・・?

やだよ・・・。」


身体が震える私。

目の前が真っ暗になっていくのが分かりました。


頭がうまく働かなくて、涙ばかりがぼろぼろとこぼれました。


いてもたってもいられなくて、誰かに話を聞いてほしくて、私はその場で友達に電話をしました。

いつもいろんな相談を聞いてもらっていたコモモちゃん。

中学時代からのお友達です。


「もしもし・・・。」

泣きながら電話をした私に、コモモちゃんは驚いたようでした。


「どうしたの!??」

そう言うコモモちゃんに、私は泣きながら状況を説明しました。


「付いていきなよ!」

その言葉に、はっとしました。


そういう手があったか・・・。


離れることに頭がいっぱいで、付いていくことは考え付きませんでした。


「うん・・・。

考えてみるね・・・ありがと・・・。」

そう言って電話を切りました。


翼くんに付いていく・・・。


ここまで彼に依存しきっていた私は、その考えしかありませんでした。


偶然にも大学生の妹が住んでいる町と同じ場所だった勤務地。

どうにかなるような気がしました。


「付いていきなよって言われたよ。

どうしよう・・・。」

と翼くんに言うと、

「付いてこいよ!

るなの親には、俺がちゃんと挨拶しに行くから!」


その場はそれで収まったのですが、私にはいろいろな不安があり、その後、決断を鈍らせることになるのでした。。。