BENNIE K - FINALE | Get Up And Go !

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少し古い話ですが、昨年の12月1日にBENNIE Kの新曲 「FINALE」が発表されました。ファンは驚き、そしてそれは喜びに変わったわけですが、その喜びも一瞬のこと。BENNIE K のふたりの活動は、今年1月24日、この新曲をもって終止符を打つと伝えられると、今度はガッカリ。新曲を聴き誰もが思ったのは、「これだけの曲を作れるわけだから、活動を再開すればいいのに!」 です。 何とも罪作りなふたりです。「FINALE」 というのは、2009年から活動休止状態にあったユニットのピリオドを意味するわけです。

シンガーYUKI ラッパーCICO によるユニット、BENNIE K が結成されたのは1999年。 二人の出会いはアメリカ・ロサンゼルス。 留学先で出会ったということです。 意気投合したふたりが、帰国後に結成したのがBENNIE K です。 2001年に、シングル 「Melody」 でデビューしています。

BENNIE K のことをよく知らなくても、2005年にコカ・コーラのTV-CM で使用され、ヒットとなった「Dreamland」なら聴いたことがあるでしょう。 人気が上昇中であった頃、さらにその人気を決定づけた曲です。



Dreamland (2005)


YUKI が歌を封印してプロデューサーに徹するとして、ふたりによるユニットが活動休止の状態に入ったのが2009年。 理由はよくわかりませんでした。 「Dreamland」 のヒット後、4th アルバム 『Japana-rhythm』、5th アルバム 『THE WORLD』 と、よりアーティスティクな成長を見せたアルバムをリリースしていただけに、活動休止というのは唐突な印象を受けましたからね。

アーティステックに成長した分、勢いはやや後退したかなという印象はありましたが、応援していただけにただただ残念でしたね。ファンの多くが同様の気持ちであったはずです。





BENNIE K の魅力はどこにあるのか。21世紀に入ると、日本でも才能ある女性アーティストが一挙に登場した感がありますが、BENNIE K はどの系統にも属していない音楽であったように思います。 音楽的にはラップとポップ・ミュージックの融合という事になるのでしょうか。 ですが、ふたりが組むときに生み出された音楽は、それまでありそうでなかった音楽だったと思います。

曲はメロディアスで、日本人が好むウエット感もあってヒット性のあるものでした。 一聴すると、YUKIの歌唱によるオーソドックスなポピュラー・ミュージックの側に、ヒップ・ホップを引き寄せた印象があります。 ですが、引き寄せられたCICOのラップが骨太でパンチがあって非常に魅力的で存在感があります。 ポピュラー・ヴォーカルとの絡み方にセンスも感じます。

個人的には 「サンライズ」 という楽曲で決定的になりました。 この曲にはロックを感じます。 とりわけCICOのラップに。 歌詞も同世代への応援歌的な部分があって、そのあたりによっても共感が生まれたのかも知れません。 本来は、「ここでギター・ソロだろ!」 ってところで勢いのあるラップが入ってきて、それまでのロックのパターンに捕らわれたていた僕のような旧型音楽人間にとっては、やられたなという感じでしたね。



サンライズ (2004)


2004年発表の3rd アルバム 『Synchronicity』 に、「Okay」 という素晴らしいバラードがあります。 バラードという形態はどうしてたって情緒的になってしまうわけで、その主たるメロディというのは言葉 (歌詞)を制約してしまうんですね。

ことば数が多すぎて、さらにメロディが邪魔をしてしまい音楽に乗せられない言葉たちをラップによって補っています。いや補うというよりも、完成度の高さゆえ歌もラップも一体化してしまっています。 白状してしまうと、BENNIE K の楽曲の中で、最も好きな曲です。歌詞の中に "またどこかの交差点で会おう" という言葉がありますが、ファンは皆 待っていたはずです。



Okay (2004)


発表された新曲 「FINALE」は、数年前に完成していたようですが、コロナの終息も近いと感じての、この時期の発表となったようです。 歌詞には寂しさを感じる部分もあります。 それでも前向きさを感じるのはBENNIE K らしいところです。

拡大再生産の道を選ばず、いや選べなかった BENNIE K のふたり。 「BENNIE Kが青春だった」 というファンへの最後の応援歌となった曲です。



FINALE (2022)