マルチプレイヤー 列伝 | Get Up And Go !

Get Up And Go !

音楽を中心に、映画、文芸、スポーツ など・・・。

より高く! より深く! けれど優雅に・・・ 冗談も好きなんですけどね (*゚.゚)ゞ







マルチ・プレイヤー または マルチ・インストゥルメンタリスト。 そう言ってすぐに名前が出てくるのは、ポール・マッカートニー、トッド・ラングレン、プリンス、レニー・クラヴィッツ ・・・あたりか。 でもただ単に複数(マルチ)の楽器をこなすという意味では、ブライアン・ジョーンズ、スティーヴ・ウィンウッド、ジョン・ポール・ジョーンズ 、ジャック・ブルース などなど切りがないほど出てきそうです。 そんなわけでいくつかの基準を設けて、と言うより個人的に勝手な括りを作ってその中から何人かを選んでみました。

マルチプレイヤーと言うと、アルバムの中で曲によっていくつかの楽器を持ち出して演奏するひと。 それもマルチプレイヤーには違いないのですが、イメージとしては、ほとんどすべての楽器を演奏して歌って録音してアルバムを作ってしまうひと。 ホーム・レコーディング、宅録の指向を、アーチストの資質として持っているようなひと。 ではないかと・・・。 様々な個性を集めてその化学反応から大きな個性を作っていこうとする、"バンド指向" とは対極に位置するエネルギーで作品を作る人。 そんなふうに言ってもよいかも・・・。 でも "宅録列伝" じゃ、タイトルとしてかっこ悪いんでね (^o^;)


トッド・ラングレン
部屋に籠って、音の実験をくり返して、密室性の高い音楽を作り上げていくアーチストとして、最初に出てくる名前としては "全能の人" トッド・ラングレンですかねぇ・・・。 でもこの方は、もともとはバンド・サウンドが好きで、60年代はそういった指向を持って活動していたのに、それがまったく売れなくてという挫折がひとつのきっかけとなって、"宅録" に進んでいった経緯があるようです。

多くのトッド・ファンが言うように、僕も72年のアルバム 『SOMETHING/ANYTHING』 が最も好きなアルバムです。 アルバムは、ロスにある住居を兼ねたスタジオで (冒頭の写真)、8トラックの機材を用いて、ほとんどがトッドの演奏によって多重録音されています。 素敵なメロディ満載で、トッド・ラングレンのポップ・ワールドが2枚組CDに余すことなく展開されたアルバムです。 宅録による密室性(解放的ではないという意味)もあるのですが、手作り感を感じる雑さもあり、そのへんが味にもなっていて、やっぱり名盤なのです。

僕がトッド・ラングレンを好きになったのは、80年代末にトッドの全作品が再発CD化されて、日本でちょっとしたトッド・ブームになった頃。 その頃、渋谷の宇田川町でCDやレコードを輸入する会社に勤めていたのですが、タワーレコード (まだ宇田川町にあった)でトッドのサイン会があると聞き、職場を抜け出してサインをもらいにいった記憶があります。 目の前にいるトッドを見て 「トッドって、やっぱり顔が長いんだなぁ」 と、とても感動したのを思い出します ( ゚ロ゚)。




TODD RUNDGREN / I Saw The Light (1972)
名曲! 大好きです。 『SOMETHING/ANYTHING』 に収録されています。 トッドに夢中になったのは80年代でしたが、この曲は70年代から知っています。


ロイ・ウッド
一般的な洋楽ファンのレベルでは、現在でも "知る人ぞ知る" というアーチストであるのが、ロイ・ウッドです。 日本では最も過小評価されている人と言ってもよいかも。

60年代は THE MOVE、70年代は ジッフ・リンらとE.L.O. を結成して活動していたこともあるひとです。 ジェフ・リンが70年代80年代90年代と、アーチストとして プロデューサーとして華やかに活躍していたのと比べると、あまりにも地味な印象。 いい曲多いんですけどね。

ホームレコーディングを行うマルチプレイヤーを見ていくと 「ドラムが叩けるかどうか」 というのが、打ち込みなんて当然なかった70年代などは、大きなポイントになるように思います。 個人的な話で申し訳ありませんが、僕もギター、ベースに加え、鍵盤もそこそこに弾けますが、フィジカルな要素が多く必要なドラムとなると出来ません。

トッドもドラムを叩きますが、ロイ・ウッドの場合も自らドラムを叩き、他にギター、ベース、鍵盤、そして管楽器までこなしてしまうんですね。 40種ほどの楽器をこなすというロイ・ウッドこそが、マルチプレイヤーと呼ぶに相応しいと思います。




ROY WOOD / Any Old Time Will Do (1975)
1972年リリース。ロイ・ウッド2作目のソロ・アルバムとなった 『MUSTARD』 に収録。 ロイのファルセット・ヴォイスが印象に残るポップな佳曲。 ドラムはちょっとバタバタしているかな。


カール・ウォーリンガー
このひととなるとさらに知名度が低い! 元ウォーター・ボーイズ (これも知らないか!?) のキーボード・プレイヤーとして活動していたことでも知られています。 このひとだけをとり上げていずれ記事にしようと思っているので、今回は短めにしておきます。

カール・ウォーリンガー (Karl Wallinger) は、ワールド・パーティーのメンバーとなっていますが、実際のレコーディングは彼ひとりで行っているため、ワールド・パーティーはツアーを行うさいのツアー・メンバーといったところ。

1957年、北ウェールズ出身の彼の音楽は、ビートルズ、ストーンズ、ボブ・ディランなどの60年代ロックの影響を感じさせますが、シンセサイザーやコンピューター・リズムも使っていたりするので、そのあたりは80年代的です。 80年代には 「白いプリンス」 なんて呼ばれていたのを思い出します。 プリンスも好きなアーチストのひとりのようです。

80年代から90年代にかけてのどのアルバムを聞いても、素晴らしい出来。 現在の活動のことはよくわかりませんが、楽曲の良さを考えれば、もっと売れてもよかった人なんですけどね。




WORLD PARTY / Put The Message In The Box (1990)
90年のアルバム 『GOODBYE JUMBO』 に収録。 温かみのあるオルガンが印象的なフォーク・ロック調の楽曲です。アルバム全体として、環境問題がテーマにあります。


ポール・マッカートニー
多くの説明は不要ですよね。1970年4月、ポール・マッカートニーのビートルズ脱退宣言後すぐに発表されたポール初のソロ・アルバム 『McCARTNEY』 は、ポールが自宅のスタジオに籠り4トラックの機材を使って、ほとんどすべての楽器を自分で演奏し多重録音したアルバムです。

ポール・マッカートニーというのは、楽器演奏者としても天才的です。 ポールのベース・プレイの素晴らしさについて、ここで言うまでもないことですが、ピアノなども左利きの特性を生かした発想豊かなプレイであるし、ギターに関しては、特にアコースティック・ギターを弾くさいなどに、音楽的センスの素晴らしさが発揮されます。 もちろんドラムも叩きます。

現在このアルバムを聴けば、音としてはデモ・テープのレベルでしょう。 けれど装飾を取り払ったところで演奏されたポールの楽曲には、他のアルバムにはないポールのむき出しの才能を感じせてくれる楽曲が何曲かあります。

4月の日本公演でも演奏されたこの曲を最後にあげておきます。




PAUL McCARTNEY / Maybe I'm Amazed (1970)













ハロー・イッツ・ミー(サムシング/エニシング?)/ワーナーミュージック・ジャパン

¥2,592
Amazon.co.jp

Mustard/Roy Wood

¥価格不明
Amazon.co.jp

Goodbye Jumbo/World Party

¥1,663
Amazon.co.jp

ポール・マッカートニー/ポール・マッカートニー

¥2,571
Amazon.co.jp