ジャージー・ボーイズ | Get Up And Go !

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『 ジャージー・ボーイズ 』 (2014年 アメリカ映画)
● 監督・制作 クリント・イーストウッド
● 制作 グレアム・キング ロバート・ロレンツ 
○ 出演 ジョン・ロイド・ヤング エリック・バーゲン クリストファー・ウォーケン 他



世界が愛した4人の若者  
その栄光と挫折、そしてその再生の実話

以上が映画のチラシにあったコピーです。 60年代から70年代、多くのヒット曲を生み出したグループ、フォー・シーズンズの物語を描いた映画 『ジャージー・ボーイズ』 を観てきました。 日本全国で公開されている映画なので、すでにご覧になった方は多いと思いますが、映画の紹介記事ということではなく、映画でのエピソードを交えながらのフォー・シーズンズの音楽についての記事ということで。

映画のタイトルにある "ジャージー" というのは "ジャジー(Jazzy)" というジャズ風の、と言う意味をもつ音楽用語を意味するものではなく、ニュージャージー州 のジャージー (Jersey) を指してのもの。フォー・シーズンズの4人はニュージャージー州のベルヴィルという街の出身なのです。 

フォー・シーズンズというと、蝶ネクタイに揃いのスーツ。 音楽的にも美声のリード・シンガー、フランキー・ヴァリを中心にしてのハーモニー・ポップ。 さわやかで健全な優等生の集まりなのかと思いきや、リーダーのトミー・デヴィートとニック・マッシは、盗品を売りさばく犯罪によって何度も刑務所を出たり入ったりしていたようなかなりの不良。 彼らを助けることにもなったギャングともつながりがあったり、このあたりはフォー・シーズンズのあまり語られることのない面であり、ちょっと意外にも感じる面です。






ニュージャージーという都市郊外の貧しい街で育ったイタリア系白人のグループ。 それがフォー・シーズンズであり、音楽はそこから抜け出すための手段でもあったわけです。 フランキー・ヴァリは、同じニュージャージー出身の大スター、フランク・シナトラに憧れていたそうですが、僕らの年代でのニュージャージーと言うと、これはすぐにブルース・スプリングスティーンの名前が出てきます。その後に続いたボン・ジョヴィとか。

映画の中に "ジャージー・ハンドシェイク" というのがあって、ジャージー出身者同士は契約のさい、書面ではなく握手で約束する。 いわばジャージー流の約束の仕方です。同郷者同士の結束や仲間意識を大切にするんですね。 このあたりスプリングスティーンのE・ストリート・バンドや ボン・ジョヴィとも共通するものがあって、なるほどと思いました。

それから地理的に、大都会ニューヨークに近い街の郊外都市出身というのも抜け出す際のパワーになったりすると思うのです。 手の届きそうな憧れの都会。 成功の象徴である摩天楼が見える位置と言う意味で。

「シェリー」 という曲は、フォー・シーズンズ初のナンバー・ワン・ヒットです。 成功を夢見てニューヨークに渡った彼らも、しばらくはバック・コーラスの仕事しか与えてもらえませんでしたが、メンバーのボブ・ゴーディオが15分で書き上げたという曲 「シェリー」 が状況を打破します。

グループのシングルとしてリリースされた曲 「シェリー」 は、1962年9月 瞬く間に全米チャート1位を獲得し5週間その座にとどまる大ヒット。 続いての2曲も1位を獲得し、ビートルズ上陸前夜のアメリカにおいて、大スターの地位に登り詰めることになったわけです。

この 「シェリー」 という曲。 フランキー・ヴァリの特徴あるファルセット・ボイスによる "シェ~リ~ ♪" という歌声は、今聴いても確かにインパクトがあります。




Sherry (1962)


映画の中でフォー・シーズンズがブリル・ビルディングを訪ねるシーンがあるのですが、ビートルズ登場以前のアメリカのポップス・シーンというのは、歌、演奏、作詞、作曲 などが分業制の時代。 最も有名なのが、ニューヨークのブロード・ウェイにあるブリル・ビルディングというビルです。

そのビルの中にある各個室にピアノが置かれ、そこで多くの作詞・作曲者が曲を作り、歌手がそれを歌って覚えるという、言ってみれば "ヒット・ソング大量生産工場" のような場所。 ゴフィン & キング やバカラック & デヴィッド のコンビなども、このビルディングの中でヒット曲を生産していたということです。 このあたりも映画では描かれていて、オールディーズ・ファンなどは思わずニヤっとしてしまう場面でしょう。

ビートルズ全盛の時代にあっても、ヒット曲を生み出していた彼らですが、成功の後には大抵 挫折が訪れるもの。 フォー・シーズンズも例に漏れず、メンバーがグループの金を使い込み、またグループを脱退するメンバーが出たり。 あるいはスターになったがゆえに起こる家庭の不和なども。

「君の瞳に恋している / Can't Take My Eyes Off You」 は、失意の中にあったフランキー・ヴァリが、ソロ名義で発表し、全米2位となるヒットとなった曲です。 ボブ・ゴーディオは 「シェリー」 を作ったとき19歳であったそうですが、映画の中で 天才 と語られているように、親しみやすいヒット・ソングを書く才能には天賦のものを感じさせます。




Can't Take My Eyes Off You (1967)


僕の年代ですと、フォー・シーズンズと言うと、76年の 「愛なまぼろし / Who Loves You」 や 「1963年12月 (あのすばらしき夜) / Oh What A Night」 がリアル・タイムで聴いたヒット曲です。 この2曲もボブ・ゴーディオによって書かれた曲。 ただこの頃のゴーディオはすでにメンバーではなく、フォー・シーズンズのオリジナル・メンバーはフランキー・ヴァリだけになってしまった、60年代のフォー・シーズンズとは別物といってもよいグループです。

「December 1963 (Oh What A Night)」 は、フォー・シーズンズとしては12年ぶりの全米ナンバー・ワン・ヒット。 そしてイギリスでも初めてチャート1位となった曲です。 当時ブームとなっていたディスコ・サウンドを取り入れています。僕にとっては、ラジオで夢中になって洋楽を聴いていた頃の "あの素晴らしき夜" が甦ってくる名曲です。




Dcember 1963 (Oh What A Night) (1976)



映画 「ジャージー・ボーイズ」 の監督は、現在ではもう巨匠と言われているクリント・イーストウッドです。 音楽を題材にした映画をこれまで何本も作ってきた人だし、何よりも音楽への愛情の深いひとです。そういう意味で、最初から安心して観ることのできた映画です。












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