『ティル』~TILL(Based on a true story)、年末にすべりこみで鑑賞してきました。

     

パンフレット 約23cm×15cmの小型版だが48ページで読み応えも十分です。

 

 事件の発端となったブライアント食料品店の女主人キャロリン役のヘイリー・ベネットさんでさえ知らなかった!というエメット・ティルの惨殺事件。風化とは怖ろしいものですが、そこはウーピー!二度あることは三度ある!久しぶりの公民権関連映画でした。

 「ティル」でも活躍したメドガー・エヴァース暗殺事件を扱った「ゴースト・オブ・ミシシッピー」(1996年)、ティルと同じ頃起こったバス・ボイコット事件を扱った「ロング・ウォーク・ホーム」(1990年)、両方に出演していたウーピー、今回は制作と出演という入れ込みよう。

 冒頭Moonglowsの「Sincerely」(R&Bチャート1位、ポップ・チャート20位)で一気に1955年にタイム・スリップ(出来ます)。自由な雰囲気のシカゴ(北部)から、かのウィルソン・ピケットが一目見るなり帰りたくなった綿花畑(南部)へと移り、服装も変わり一気に空気が重くなる。

 1940年ミシシッピ州ウィルキンソン郡生まれのアン・ムーディさんの自伝『貧困と怒りのアメリカ南部~公民権運動への25年』(2008年彩流社刊)の「第10章:14歳の少年エミット・ティルの死~口笛を吹いただけで・・・」では9歳から家計を助けるためにメイドの仕事をしていた高校生のアンが遭遇した当時の気持ちなどが綴られている。タビリン一家焼死事件、ブラウン裁判などリアル・タイムでの経験を語った記録も必読、かな?

 アン・ムーディさんの自伝、リアル・タイムの体験

 

 エメットの無残な姿が発見された、タラハチ川(Tallahatchie River)と聞いて激しく反応されたあなた、南部にはかなりお詳しいとお見受けしました。そう、そのタラハチ橋から身投げしたビリー・ジョー・マカリスタのお話、B面曲だったが全米第1位に輝いた「ビリー・ジョーの唄」。プア・ホワイトの世界も悲惨。独特の文化を持つ南部は本当に興味深い世界です。今回は、その「ビリー・ジョーの唄」に行ってみた。

  

日本盤 CR-1789、米盤に倣ってB面扱い  赤盤でした

 

大ヒットを受けての便乗盤、同じく1967年の発売、オハイオのC&W歌手とのこと

 

  レコード・コレクターズ誌2012年6月号、ジョージ・カックルさんの人気連載!「ロックの歌詞から見えてくるアメリカの風景」第25回、ボビー・ジェントリー「ビリー・ジョーの唄」は、その歌詞についての詳しい解説が南部の生活などにはあまりなじみのない我々にはありがたい。その文中、『ボブ・ディランの”The Death Of Emmett Till”という曲は、黒人の少年エミットが殺され、タラハチ川に捨てられたという実話を歌っている。』とあり、映画と繋がった(って、強引すぎないか・笑)。 事件を受けて63年?の録音。しかし、COLUMBIAという大会社ではリスクが大きすぎたのかお蔵入りとなり、2010年発売のブートレッグ・シリーズで初披露という事態に・・。

 このビリー・ジョーの物語を映画化しようとの動きは幾度かあったようだが、原作権を持つボビー・ジェントリーのOKが出ず、76年になってようやく映画化され、新たに吹き込まれた「ビリー・ジョーの唄」は再度チャート・インすることになった。

  

映画のサントラ盤(Australia盤)世界中で公開されたんでしょうね。

右は日本盤、何と!当ブログ「トホホ盤」に乗せたいエラー表記!「唄」の字に注目